【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第1分科会 「新しい公共」と自治体職員の働き方 |
越前市に30年前からあるご当地グルメ「ボルガライス」。2年前までは、市内の5店舗でしか提供されておらず、市民でも知っている人もほんの一部しかいませんでした。しかし、今では、市内19店舗、さらにコンビニ各社のお弁当で発売され、JALの機内食にも採用されるなど目覚しい活躍を見せ、市民の自慢のひとつになっています。このボルガライスの活躍には、少しのお金とたくさんの人のちょっと協力があったのです。 |
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1. ボルガライスと日本ボルガラー協会 ボルガライスとは、オムライスの上にトンカツが載った料理で、越前市内の飲食店で30年以上前から提供されていたご当地グルメである。名前の由来や発祥のお店などは謎に包まれており、このミステリアスさも魅力の一つとなっている。 |
2. きっかけ 「補助金を出しているんだからやってくださいよ」。市役所に入って、ときどき聞くこの言葉。行政からこれを言われたら市民の人は、何事も渋々ながらでもやらざるを得ない。その言葉は市民の自主性を少しずつ奪い、好きではじめた活動もいつの間にか「やらされている」活動になっていき、その活動は長く続かないように感じる。 |
3. 行 動 やりたいことが見つかった三人の頭は、ボルガライスでいっぱいになり、ボルガライスによる町おこしのアイディアが次から次へとあふれ出た。そして、地元に愛されるご当地グルメにしたいという思いから「ボルガライスを学校給食に」を目標に3つのことを行動に移した。 |
4. 協 力 ここでぶち当たったお金の壁。協会メンバーでお金を出し合ったが全然足りず、真っ先に思い浮かんだのは「補助金」である。しかし、本当にこれ以上、自分たちにできることはないのかを仲間で話し合った。ボルガライス提供店からお金をもらったら、大手企業にスポンサーになってもらったらなど様々なアイディアが飛び交った。 |
5. 変 化 こうした地元の盛り上がりにより市内のボルガライス提供店は、当初の5店舗から19店舗まで増え、チーズを乗せたボルガライス、中華あんかけのボルガライス、自家製うどんが入ったボルガライス、そばのフライをトッピングしたボルガライスなど、お店のこだわりを感じさせるボルガライスが次から次へと誕生した。 |
6. 全国へ そうした地元の盛り上がりは地元メディアで取り上げられ、その盛り上がりは日経流通新聞や雑誌週刊プレイボーイなど全国区のメディアでも紹介さるようになったのである。そして、BSのテレビ番組「ふるさと発・元気プロジェクト」にて協会の活動が取り上げられ、ボルガライスが初の全国テレビデビューを果たす。さらに日本テレビの「秘密のケンミンショー」でボルガライスが紹介されたときには、休日となるとお店に行列ができるほど、反響があった。益々、地元は盛り上がり、その盛り上がりがまた全国メディアで取上げられるまさに好循環である。 |
7. 学校給食に 2年前まで地元でも知られていなかったボルガライス。ついにこのときがきた。市内5つの中学校のスクールランチでボルガライスが提供されたのである。しかし、ここにも給食を担当した市職員のこだわりと苦労があった。ボルガライスはカロリーが高く、栄養バランスを重視している給食には不向きだったのである。それを「児童に地元の食にふれてほしい」という思いで調理方法を工夫し、なんとかカロリーを押さえ、調理時間を短縮し、給食として提供できるようにしたのである。 |
8. ふりかえり この2年間、学校給食を目標に取り組んできた協会の活動。まさかこんなに早く給食としてボルガライスが登場するとは、思ってもいなかった。もちろんコンビニやJALの機内食でボルガライスが提供されること、全国メディアにボルガライスが取り上げられることなどまったく想像もしていなかった。 |
ただ、今、2年間を振り返ると3つの取り組みをはじめ、ボルガライスの缶バッチを子どもたちに配ったり、のぼりを作りお店に提供したり、越前市にあるタクシー全台にボルガライスPR用のステッカーを貼ったりと単に自分たちのやりたいことをやりたいときにやっていただけで、協会メンバーとして辛かったことや活動を辞めようと思ったことはまったくない(いや、取材で1日4つのボルガライスを食べたときはさすがに……)。 |