隗より始めよ -購読者の拡大を訴えます

「月刊自治研」編集委員会

 

私たちはいつも自治体に対しては「情報を開示せよ」「予算を市民に分かりやすいものに」と厳しく要求していますが、自分たちの行っている活動・事業の情報公開には余り熱心でありません。月刊自治研は、自治研運動をベースとした地方自治の研究と活動報告の交流誌として独立採算で発行されており、読者の購読料がその経営を支えています。しかし、月刊自治研の定期購読者数は減少を続けており、このまま行けば、継続的な発行ができなくなることもありえます。「隗より始めよ」と言いますが、月刊自治研の発行の実情を訴え、皆さんの協力を呼びかけます。

 

採算ラインを割る『月刊自治研』

 『月刊自治研』は、自治労内組織の自治研中央推進委員会が編集の責任を負い、自治労出版センター(株式会社自治労システムズの一部門)が発行元となっています(その作られ方の実際は、「 『月刊自治研』はこのようにつくられてい ます」を参照)。以前は自治労が発行者となり、販売を行ってきましたが、恒常的な赤字状態が続いていました。2001年の自治労不祥事を契機に、自治労が直接、出版事業を行うことをやめ、以降は自治労出版センターが販売し、独立採算を維持してきました。自治労は、関係者配布分を買い上げるとともに、編集費用の一部を負担することによって支援を行っています。発行費用の大部分は読者の購読料によって支えられており、購読者の減少は 『月刊自治研』の経営を直撃します。

 『月刊自治研』の購読部数は、2005年度の5,354部(各号平均)から、06年度5,115部、07年度上半期4,724部と急激に落ち込み、定期購読部数ベースで05年4月5,054部から06年4月4,721部(333部6.6%減)、07年4月4,439部(282部6.0%減)、07年10月4,250部(189部減4.3%減)と、年間6%以上の落ち込みとなっています (グラフ1・表1)。購読を中止する理由は、組合財政のひっ迫を筆頭に、市町村合併、“活用していない、読んでいない”となっており、“自治労運動に必要な雑誌”としての認識が薄れていることがうかがわれます。

 

 本年度上半期(2007年4~9月号)の毎号の平均経費は302.5万円。内訳は、印刷・編集費210.1万円、原稿料48.4万円、送料39.3万円、その他4.7万円(他に自治労の直接負担分が12.5万円、買い上げ負担分が28.0万円。いずれも2006年度実績の月平均値)です。一方、売り上げは平均307.0万円(一冊650円、4,724部)で辛うじて上半期の黒字を維持しましたが、下半期の売り上げは上半期を下回るのが通例であり、これまでと同様のペースで購読部数が減少するとしたら、赤字転落は避けられません (グラフ2)。現在でも、原稿料は他誌に比べて低く(一字五円)、費用のかかる企画(座談会や取材など)を抑制している状態で、何らかの手を打たなければ、刊行し続けること自体が困難となります。

 

 ◆誌面をリニューアル

 『月刊自治研』は、読者を拡大するために、本年4月号から誌面を一新します。

 第一に、文字を大きくし、読みやすくします。

発行初期は、地方自治を扱う数少ない専門誌であった『月刊自治研』も、地方分権の流れのなかで登場した他の多くの雑誌と競合状態となっており、見やすい紙面が求められています。専門誌としての格調を維持しつつ、レイアウトを工夫し、イメージチェンジをはかります。

 第二に、特集企画プラスαへと幅を広げます。

特集企画のボリュームを少し抑え、単独の研究論文、報告を毎号掲載し、読者参加型の連載企画を始めるなど、内容の多角化をはかり、より読まれる雑誌をめざします。

 第三に、読者がつくり、共有する雑誌にします。

向こう一年間の特集企画案を公表し、読者からの投稿、情報提供を積極的に呼びかけます。そのための情報を誌面に載せるだけでなく、ホームページを開設して市民や研究者、自治体職員や地域公共サービス労働者に公開し、開かれた編集を心がけます。

 読者参加型の企画として、自治研活動家のリレー書簡による「自治研運動最前線」、たいへん優れているが余り他所に知られていない産品、観光資源、人などを紹介する「知られざるおくに自慢」、プロのカメラマンでなく読者が撮るグラビア「わが街、わがふるさと」を開始します。論文、活動報告と合わせて、どしどし投稿、情報提供をお願いします。

 これらの活動をよりオープンに進めるため、『月刊自治研』のホームページを近日中に開設します。また、現在ほとんど行っていないネット販売など販路の拡大にも取り組みます。

 

  ◆読者拡大は自治研活動の発展

 『 月刊自治研』は2004年4月から一冊650円(それ以前は600円)としてきましたが、採算ベースを考慮して2008年4月号から800円(消費税・送料含む。)に引き上げさせていただく予定です。ただし、年間購読料は7,800円に据え置きとします(単価650円相当、消費税・送料込み)。また、10部以上のまとめ買いも1冊650円(消費税・送料込み)とします。

 賃金が上がらず、組合財政もひっ迫するなか、売り上げ部数が減少してきましたが、誌代値上げは部数減の悪循環を招きかねません。年間購読者の負担を増やさないかたちで、誌面リニューアルと部数拡大に取り組みます。

 『 月刊自治研』には、他の自治労の定期刊行物(機関紙や自治労通信)と同じように、自治労の組合費で発行されているというイメージをもたれており、有料購読というスタイルに一定の抵抗感があるようです。自治研は、創刊された1959年(49年前)から有料販売されていますが、このようになった背景には、自治研運動を自治労だけのものとせず、ひろく市民が共有するものに発展させようとする先輩諸氏の思いも含まれていました。自治研運動の積み重ねの貴重な財産である 『月刊自治研』は、この運動に参加する自治労単組やさまざまな団体、個人(活動家、自治体職員、研究者、市民)のささやかな負担によって継続されてきたのです。

 売り上げが増大すれば、多くの経費をかけることが可能となり、さらに誌面を充実させることができます。もちろん、『月刊自治研』の部数増は、自治研活動そのものの発展と一体のものです。編集委員会は、各地で自治研活動や自治体と地域公共サービスをめぐるさまざまな仕事や運動、研究に取り組んでおられる皆さんに、 『月刊自治研』購読の輪を少しでも広げていただけるよう心から訴え申し上げます。

 

月刊自治研はこのようにつくられています

『月刊自治研』の企画は、月一回開かれる編集委員会(研究者、市民活動家などによる6人の編集委員と自治研中央推進委員会事務局長・自治労政治政策局次長を兼務する編集長で立てられています。また、年に数回開かれる自治研中央推進委員会や推進委員へのメーリングリストで編集方針、企画などを議論・確認します。実際の編集実務はアトリエ・レクラム(編集プロダクション)と自治研事務局(自治労政治政策局)が担っています。発行・販売は株式会社自治労システムズ(自治労出版センター)が行っています。

編集委員会へのご意見・要望は自治労政治政策局(fax:03-3263-0936)へお願いします。