【自主レポート】

第33回愛知自治研集会
第1分科会 自治体の「かたち」を変える

 2歳未満の乳幼児や、保護者がなかったり児童虐待その他環境上養護が必要な2歳以上就学前の児童を養育している名古屋市若葉寮では、離乳食への配慮や調理への児童参加体験などの食育推進、行事食の企画・提案、アレルギー食の工夫、創意を凝らしたお弁当作り、災害時の献立作成、立案など、現場の職員からの取り組みを進めている。



現場からの提案・企画
施設調理員の取り組み

愛知県本部/自治労名古屋市連合労働組合・民生支部 三住 正明・後藤 喜一

1. 若葉寮調理員の業務内容

① 調理業務
 ・食材の検品(栄養士不在時)、保管、数量調整在庫管理(栄養士と連携)
 ・1日3食のほか、通園弁当、遠足弁当、手作りおやつ、行事弁当、行事食(秋祭り、クリスマス、おせち料理)の調理  
② 施設行事の参画
 ・流しそうめんの企画、提案
 ・秋祭りの食事内容の企画、提案 (栄養士、保育士と連携)
 ・クリスマス会の食事内容の企画、提案 (栄養士、保育士と連携)
 ・行楽【遠足】弁当の作成 年間15回以上(旬の食材を活用)
 ・各種お弁当コンテストへの出品(児童の外出にあわせて)
③ アレルギー食
 ・アレルギー児に代替え食、除去食の提供 
 ・障害児食の対応
④ 厨房内の点検・清掃
 ・厨房内の清掃 (毎日、季節ごと)
 ・厨房設備の点検、清掃 (毎日、季節ごと)
⑤ 献立、調理方法の検討
 ・新たな食材の活用法、新メニューの開発、提案 (栄養士と連携)
 ・食育などの提案、企画 (栄養士と連携) 
⑥ 調理方法の改善
 ・検食簿、保育士の声などを反映し調理法を改善 (栄養士と連携)
 ・給食委員会(年間6回)で、保育士から意見集約 (栄養士と連携)
 ・体調の良くない児童にはお粥やうどんを提供 (栄養士・保育士と連携)
⑦ 研修の参画
 ・県乳協(調理員部会会長)などに参加し、他の乳児院と意見交換、調理実習の企画、提案
 ・衛生管理、食育推進、労働安全衛生などの研修に参加
⑧ 防災訓練の参画
 ・災害時の献立作成、立案 (栄養士と連携)

2. 現場が考える食育

  2007年11月に名古屋市が食育推進計画(案)を出したのをきっかけに、現場から食育を提案する。2009年度保育指針の中にも食育の推進が盛り込まれ食育の環境、一人ひとりの食への対応、離乳食など、配慮を考える。

(1) 離乳食について
 離乳食の時期に覚えた味覚を大切にして好き嫌いをなくしていきたい。
 離乳食時期に行う裏ごし(茹でた野菜などを、味付けをせずに裏ごしした物)
 乳児期にどれだけ多くの食材を口にするかで今後の食生活にも影響を及ばす可能性がある。
 裏ごしが開始になるといつ何を食べさせたか厨房職員が記録する。
 この時期の乳児食は月齢に合わせた硬さ、味付けなどの配慮が必要である。

(2) 児童参加体験
① 市職員のボランティアによるうどん打ち体験。
② 芋ほりなどで掘ってきたさつまいもなどを料理・おやつで提供する。
③ 野菜・果物のお絵かきコンテスト
  児童と調理員のコミュニケーション。児童自ら調理場に来てお絵かきしたい
  野菜・果物を選んでもらう。児童が絵を書く→調理員に見せる→人参入りマドレーヌとアンパンマンクッキーと交換→施設内に展示→表彰状を送る。

アンパンマンクッキー(上)と表彰状

④ みんなでシュークリームを作ろう
  シュー生地は調理員が作り、児童が絞り袋から生地を出し、オーブンでシュー生地ができるまでを見せる。クリームを中に詰めるまでの工程を調理員指導の下、一緒に行う。
  子どもたちは「いただきます」・「ごちそうさま」をだれに言うの?

3. 現場から提案・企画する行事食

 施設の子どもたちにとって若葉寮は生活の場であり、家である。ここで暮らす子どもたちにもお正月もあるし、クリスマスだってある。少しでも家庭に近いイベントを現場から提案・企画する。
① 8月夏祭り
流しそうめんを体験する子どもたち
   流しそうめん、かき氷、夜店、花火大会で大賑わい。
② 10月ハロウィン
  大きな(直径30センチ)クッキーを
  焼いてみんなのおやつに。
③ 11月秋祭り
  毎年趣向を変えて五平餅、焼きそば、お好み焼き、タコス、から揚げ、フライドポテト、ポトフなど。
  昨年はお店屋さんごっこを児童に体験してもらう。(アイス家さん・ワカバナルド)
④ 12月クリスマスパーティー
  前年度と違うものをコンセプトに。
  巨大シリーズ(でっかいオムライス・ながーい春巻き・山のようなケーキ)など。
  中華シリーズ(中華風三色団子・シュウマイの皮を使ったオードブル・杏仁豆腐)など。
⑤ 1月お正月
 元旦から3日まで毎日内容の違うおせち料理。
⑥ 2月節分
 子どもの幼稚園弁当に鬼弁当・夕食は恵方巻き。
⑦ 3月ひな祭り
 子どもの幼稚園弁当におひな様弁当
⑧ 3月卒園生を祝う会(お別れ会)
 小学生未満の施設のため、その年齢に達すると  家庭への引き取りか施設を変更する。
 毎年ホームパーティー形式で行うが、今年度は学校支部組合員で寿司職人の経験を持つ友人にお願いし、お寿司屋さんを施設内で開店。

4. アレルギー食

  2006年にアレルギー児童の入所をきっかけに開始。
① アレルギー食の児童に対して代替食の提供・除去
② アレルギー食のチェック機能
  配膳前に調理員が材料、調味料などを再確認。
③ 近隣の民間幼稚園に通うため幼稚園の献立に沿ったお弁当を毎日作る。

 

【主なアレルギーの種類】 2009年9月現在 
 
牛乳
小麦
大豆
豚肉
牛肉
鶏肉
イカ
えび
ごま
A君
×
×
×
×
Bさん
×
×
×
×
C君
×
×
×
×
×

 


 

5. お弁当

秋の行楽弁当 
① 近隣の幼稚園に通う児童に通園弁当・遠足弁当
  7・8・9月を除く毎週木曜日の8時までに作る。
  2008年度は14人分、09年度は8人分で、3月期にはほぼ毎日作っている。
  アレルギー児の弁当を毎日幼稚園の献立にあわせ、8時までに作る。
② 施設の外出にあわせ、行楽弁当
  2009年度1回の弁当(10人~20人)を15回程度
③ 東山動植物園・お弁当コンテストへの出品
  自治労名古屋マスコットキャラクターの「コッチコアラ」をイメージして作ったお弁当を出品。


6. 施設全体で防災を考える

災害時の献立作成、立案。(ライフラインあり、なし)
② ライフラインがストップした時の熱源の確保の提案。
③ 9月1日の防災の日に炊き出し訓練の実施・実演。

緊急時に炊飯で使う防災グッズ