【自主レポート】

第33回愛知自治研集会
第2分科会 「新しい公共」を再構築する

1. 京都交通労働組合を取り巻く状況
2. 京交エンパワメントプラン・都大路作戦について
3. 活動状況とお客様の声
4. 今後の展望



◎京都交通労働組合におけるボランティア活動
京交エンパワメントプラン・都大路作戦
~お客様への感謝の気持ちをこめて~

都市交・京都交通労働組合・書記次長 田中 直人

1. 京都交通労働組合を取り巻く状況

 地球環境問題の深刻化に加え、人と環境が共生する街づくりの中核を担う地域住民の移動手段として欠くことの出来ない公共交通は、利用者減少や規制緩和の影響等による経営難から事業撤退を余儀なくされています。このような事態をうけ、国交省による「生活路線補助」や総務省による「事業費補助」等の支援方策が図られていますが、少子・高齢化や過疎化に加え自治体財政の逼迫が重なり生活交通としての活性化がままならない状態が続き、残念ながら「交通空白地帯」が拡大する事態を引き起こしています。とりわけ、不採算路線・生活路線を多く抱え守り続けている公営交通においては、自治体の一般会計から補助金を受けているということで「スケープゴート」にされやすい状況にあります。確かに、公営で運営するエリアは民間と比較するとまだまだ高コスト体質ということもあり、「公営=非効率」というレッテルが貼られるなど厳しい立場に置かれています。
  公営交通は、これまで地域における生活交通の核としての役割を果たしてきました。老人福祉パス制度の導入や低公害・超低床バスを率先して採用し、地下鉄ではエスカレーターやエレベーターを積極的に設置するなど、環境・福祉面で先駆的な役割を果たしてきました。それは、公営交通が利潤のみを追求するのではなく、「公共の福祉の増進」という基本原則に則る行政サービスであるからです。「まちづくり・地域づくり」の鍵を握る公営交通が、充実したネットワークの品質を保証しつつ「シビルミニマム」を確保してきたのも事実であります。にもかかわらず、いずれの都市においても、一度失った財産は二度と戻らないと分かっていながら事業縮小や事業廃止を推し進め、市民をはじめ利用者、議会に見放された仲間が次々と暖簾をたたんでいる状況にあります。こうした現実を目の当たりにすると、今まで築き上げてきた公営の礎が否定された気持ちになり残念でなりません。いずれにせよ、まず健全な事業基盤を築くことはもとより市民をはじめ利用者、議会の賛同を得るためのアクションを起こすことが重要であると考えています。
  我々京都交通労働組合(以下京交)では、労働組合が率先して、「公共交通の頂」を目指し、「創造と挑戦」というスローガンを掲げ運動を展開しているところであります。将来に亘って京都の街の公共交通の担い手が私たちの交通局であり続けなければなりませんし、責務と役割をはたさなければなりません。私たち公営交通は、「安心・安全」が崩壊している現在社会において、市民の皆様に「安心・安全」を提供しつづけなければなりません。その日々の積み重ねが社会的に「信頼」を産み、「信頼」されることが、「必要」とされる存在に結びついていくと確信しています。お客様を「安心・安全・快適」にお運びするために、「職員のスキルアップ」と「質の高いサービスの提供」を目指し、努力しているところであります。我々は、未来の公営交通のあるべき姿を「創造」し、それに向かい「挑戦」し続けています。組合員一人一人が「公共交通の頂」を目指す「気概」を持ち、常に「何が求められているのか?」「何ができるのか?」を考えて行動するよう心がけています。
  これからも京都の街の公共交通の担い手が私たちの交通局であり続けるために、市民の皆様に愛され、必要とされる公営交通事業者となるよう精進していく所存でございます。

2. 京交エンパワメントプラン・都大路作戦について

 「京交エンパワメントプラン」とは、「エンパワメント」すなわち「一人一人の力の結集」を図ることを目的としています。組合員一人一人の力の結集は、恒常的に運動を展開していくための「礎」であり、必要不可欠な「力」であります。その「力」を十分発揮することで「お客様を味方につける運動」に繋げていこうとするものであります。
  このエンパワメント運動は、大きく分けて2つのカテゴリーで構成しています。まず一つは、支部が主体となって取り組む活動です。そしてもう一つは、本部が主体となって取り組む運動です。支部単位で行う運動と、本部が行う運動を連動させることでより大きなうねりを創り出し、市民を始めとするお客様に私たちの活動や考え方を発信していきたいと考えているところであります。本部主体の活動では、「春」と「秋」の観光シーズン異常な混雑を見せる「京都の街」において、「入洛された観光客の皆様や市民の皆様に少しでも気持ち良く市バス・地下鉄をご利用して頂くこと」を目的に取り組みを行っているところであります。また、各支部が主体の活動では、地域に密着した取り組みが行われています。各支部の受け持ち路線における主要停留所付近や地下鉄主要駅、また、近隣の小学校や地域のイベントにおいて、日頃の感謝の意を表すとともにさらなるご利用案内等を実施しているところであります。

3. 活動状況とお客様の声

・1998年10月5日~8日   延べ約800人参加
・1999年5月17日~20日   延べ約800人参加
・2001年11月16日~18日   延べ約450人参加
・2002年5月3日~5日   延べ約360人参加
・2003年5月3日、4日   延べ約400人参加
・2003年11月1日、2日、22日、23日   延べ約500人参加
・2004年11月13日、14日、20日、21日   延べ約500人参加
・2005年(GW中5日間)   延べ約150人参加
・2005年11月26日、27日   延べ約300人参加
・2006年5月3日~5日   延べ約220人参加
・2006年11月25日、26日   延べ226人参加
・2007年5月3日~5日   延べ210人参加
・2008年5月3日~5日   延べ212人参加
・2008年11月22日、23日   延べ210人参加
・2009年5月3日~5日   延べ210人参加
・2009年11月21日、22日   延べ210人参加・路線図1万5千部配布
・2010年5月1日~3日   延べ184人参加

☆活動の様子
京都駅バスターミナルの様子
長蛇の列のバス乗り場
啓発ビラ配布の様子
乗降案内の様子

 「京交エンパワメントプラン・都大路作戦」や各支部における趣向をこらした地域密着型の「エンパワメント活動」は、地味ではありますが着実にその成果をあげているところであり、京都市議会、さらには地域自治会などからも評価を得ているところであります。

4. 今後の展望

 「京都」は、歴史・文化・先端技術など優れた観光資源を有する国際都市であり、奥深さや精神性を秘めた街であります。この世界に誇る先進観光都市「京都」において、公共交通は「都市の装置」として大きな役割を果たさなければなりません。また、地球環境や長寿化社会を考えた時、公共交通というものがこれからも必要不可欠な存在であることは、紛れもない事実であると考えています。その公共交通の担い手が交通局であり続けるため、市民の皆様に愛され、必要とされる公営交通事業者を目指し、運動を展開しているところであります。市民生活における「安心・安全」が崩壊しつつある現在社会において、私たち公営交通は、お客様を「安心・安全・快適」にお運びするという責務と役割を担っています。我々京交は、将来に亘ってその責務と役割を果すため、「職員のスキルアップ」と「質の高いサービスの提供」が図れるよう様々な取り組みを行う所存であります。
  これからも私ども京交に対し、ご協力とご理解の程よろしくお願い致します。


京交オリジナルキャラクター
都夢(とむ)ちゃん