1. はじめに
庄原市は、2009年度決算で財政健全化比率の一つである「実質公債費比率」が23.5%と広島県内で最も高い状況にあります。このことについては、職員も市民も地方債償還が財政を逼迫させている厳しい状況ということは認識しているものの財政健全化に向け、適正な予算執行がなされているのか? その実態を知らないのが現状です。
また、庄原市では、2005年から2009年に財政状況悪化を理由として独自賃金カットを行っています。自分たちが賃金カットを受けた理由は何か? また、日々の仕事の中に財政を悪化させる要因があるならば、「財政分析を行い、当局へ提言すべき!」という財政分析の必要性を強く認識しているところでした。そんな折、広島県本部では、2009年10月に財政分析講座が開催され、私たちはその中で基準財政需要額と決算額をシートへ入力する方法を学びました。このレポートでは、入力したこのデータを基に、基準財政需要額と決算額の比較で見えてくる庄原市の特徴的な事項や今後さらに分析が必要な部分について、中間的に取りまとめました。
2. 基準財政需要額と決算額の比較による財政分析の意義
(1) 財政健全化4指標
現在、国が定めている財政健全化4指標は、収支が赤字かどうかという「実質赤字比率」「連結実質赤字比率」、自治体の借金である地方債等の償還状況を示す「実質公債費比率」「将来負担比率」で自治体の財政状況を計っています。この基準を一つでも超えると早期健全化団体・財政再生団体として財政健全化の取り組みが義務付けられています。しかし、決算額トータルから導き出される「収支」と「借金」の状況のみの4指標では、財政状況が厳しいということは分かるものの、自治体のお金が何にどう使われているのか、また、私たちが日々行っている仕事が適正なのか計ることができません。
(2) 基準財政需要額と決算額の比較で見えてくるもの
そこで、今回、財政分析講座で学んだ財政分析の手法が「基準財政需要額と決算額の比較」です。基準財政需要額とは、国が定める基準に基づき、日本全国どこに住んでいても同等の行政サービスが受けられるよう算定された行政需要に対する必要な経費の額のことです。この基準財政需要額は費目ごとに積み上げられ算定されています。つまり、行政需要に対しどのように予算執行されているか、基準財政需要額とその決算額について検証することによって、適正な予算執行をしているか、事業仕分けをするなら、どの事業を縮小・廃止していくべきか明らかとなるのです。
3. 庄原市の現況と財政状況(庄原市ホームページより抜粋)
① 庄原市の現況:
・人口:40,888人
・65歳以上人口:15,327人 37.5%
・世帯数:16,033世帯(※参考 合併時:44,151人 35.6%・16,219世帯)
・面積:1,246.60km2
・沿革:2005年3月31日に近隣の1市6町が新設合併して誕生
② 2008年度普通会計決算状況:
・標準財政規模:19,272,962千円
・歳入総額:31,215,920千円
・歳出総額:30,004,702千円
・財政力指数:0.30
・経常収支比率:95.1%
・実質公債費比率:23.5%
・財政調整基金残高:1,153百万円
・将来負担比率:223.5%
・ラスパイレス指数:94.4
4. 庄原市の基準財政需要額と決算額(充当一般財源)の比較 |