「雇用と権利・生活と職場を守るたたかい(申入れ内容)」
さて、貴市(柏原市)において40~50年の長年にわたり一般家庭ごみ収集に従事し、市民・住民サービスの向上に向け奮闘していたところ、貴市は本年6月、現在の4業者に新規3業者を加えた7業者で指名競争入札を強行しました(実施は2011年4月1日)。この入札の結果、新規3業者で全世帯数(30,601件)の7割超の21,484件(大紀は8,278件、蓬莱谷清掃は8,886件、近畿クリーンは4,320件)を確保しています。しかし、長年にわたり一般家庭ごみ収集業務を行ってきた4業者の収集件数(世帯数)は、浜浦クリーンが16,500件から3,117件と8割超減少し、橋本清掃は4,750件から4,000件へと750件減少、畑中清掃は3,850件から2,000件とほぼ半減しただけでなく、カツミ商会は6,200件がゼロ件となり、4業者全体で9,117件と現在の3割以下になっています。そのため、現在の4業者は事業の維持・継続はもとより、各業者の下で働く私たち労働者の職場確保と雇用問題に重大な影響を及ぼす事態を招いています。
本来、一般廃棄物処理は、地方自治法で“自治体の固有の事務”と定められており、直営(公務員)がすべき業務であります。そのため、一般廃棄物処理に従事する業者は自治体の一部門的存在であり、その業者の下で働く労働者は準公務員的な地位にあるべきであります。
そのことは、近隣の堺市や羽曳野市、大阪狭山市などにおいて、一般廃棄物処理に関わる労働者については準公務員として位置付け、随意契約が維持されていることでも明らかであります。とくに堺市では、市と業者の協議はもとより、市と委託清掃労働組合との間でも毎年数回の協議や情報交換を行い、家庭ごみ収集業務の遂行と市民・住民サービスの向上をはかっています。
貴市においては、1960年頃、地方自治法に則り貴市直営で一般家庭ごみ収集を行っていましたが、直営だけでは収集が間に合わず、市民から多数の苦情が寄せられていた状況がありました。そうした状況を打開・改善するため、1961年頃より浜浦清掃(現・浜浦クリーン㈱)が貴市のお手伝いとして一般家庭ごみ収集業務を行ってきたのが、民間業者によるごみ収集業務参入の始まりでありました。その後、貴市の直営によるごみ収集業務は減少の一途を辿り、2000年頃以降は、市民生活や環境問題に直結した一般家庭ごみ収集業務はすべて現在の4業者(浜浦クリーン、カツミ商会、橋本清掃、畑中清掃)に任せきりでありましたが、一方で貴市は4業者に対し、一般家庭ごみ収集業務以外の事業を禁止する等の行政指導(圧力)を行ってきました。私たちは、柏原市のこうした行政指導は少なくとも、貴市が4業者の事業継続及びそこに働く労働者の雇用保障を前提としてなされたものと確信しています。それ故、貴市には現行の4業者の保護(事業継続)とその労働者の雇用保障の責任と義務が伴うと考えます。従って、私たちは長年にわたりごみ収集業務に従事してきた労働者の雇用保障を無視した貴市の今次の指名競争入札を断じて容認することはできません。
地域新聞(柏原新聞)によれば「寡占状態の是正」、「年間約1億円の削減」の見出しの中、市の担当者は「『設計(最低制限)価格は人件費、車両価格、ガソリン代など十分考慮し、安定して事業を継続できる額とした』と話し、決して業者泣かせでない」旨の報道がなされています。この報道が事実とすれば、私たちは重大な疑問を持たざるを得ません。
その第一に、同市は今次の競争入札導入に際し、過去数十年にわたり貴市の一部門的位置で一般家庭ごみ収集業務を遂行してきた業者及びその労働者の存在(貴市に対する貢献含む)をどのように評価していたのか明確にする責任があります。特に40数年にわたり貴市の一般家庭ごみ収集業務を行ってきたカツミ商会は落札に至らず、事業継続及び労働者の雇用保障が不可能な事態となっています。浜浦クリーンにおいても収集件数が8割超の削減で雇用問題を惹起させる事態を招いています。貴市はこのような事態を生じさせた責任をどのように考えているのか明確にする義務があります。しかも岡本市長は議会のなかで、長年にわたる収集業務の実績をもつ労働者の雇用保障(救済)についての質問に対し、「全く考えていない」と答弁する等、極めて無責任かつ不誠実な対応に終始しています。こうした岡本市長の態度は断じて許されるものではありません。
第二は、今日、大阪府下の自治体はもとより全国的にも政策入札(総合評価方式=基準は価格、公正労働、環境、障害者雇用、男女平等等)を採用している自治体は広がっています。ところが、貴市は今次の指名競争入札において、入札参加資格(指名業者の資格及び選定基準等)を何ら公開していません。指名業者の資格及び選定について、いつごろ、どのような機関で、何を基準に決定されたのか、公表(公開)すべき義務があります。
とりわけ、ごみ収集業者の入札参加資格いわゆる指名業者は、最低限でもごみ収集車の一定台数の保有が前提であるべきです。しかし、今次入札に参加した新規業者はいずれもごみ収集車を保有していない業者であると言われています。それ故、貴市の担当者は設定価格の中に車両価格を考慮しているとされていますが、一方で長年にわたりごみ収集の実績を持っている業者を結果として排除していることをみれば、これは全く無駄な経費であり、今回の競争入札の矛盾を浮き彫りにしていると言わざるを得ません。
第三は、貴市の入札事業に関わる関係者らからも問題があると指摘されている(多くの一般市民ですらその噂は聞いている)棒によるくじ引きに拘り、他の方法を採用しなかったのか、公正・公平性、透明性を担保するためにも、当然、その理由を明らかにする責任と義務があります。
第四は、区域割りと最低制限価格についても、貴市は、どのような基準で決定したのか明確にする責任があります。一般的に家庭ごみ収集業者が労働関係法令等を遵守し、正常な事業を遂行するためには、少なくとも収集件数は6,000~8,000件が必要であるとされています。何を根拠に、どのような理由・基準で7区域・平均4,000世帯前後にしたのか、また最低制限価格の積算基準、とりわけ一人当たり収集世帯をどのように設定しているのか、区域による価格差は何を基準に設定したのかなど、公平性・透明性を確保するためにも明らかにする義務があります。
私たち柏原委託清掃業務に従事する労働者は、貴市との長年にわたる随意契約の維持により、賃金と労働条件、職場と雇用が安定・確保されることによって市民サービスを維持・向上につとめ今日まで懸命に奮闘、努力してきました。
こうした長年の実績に基づく関係は今後とも維持・継続し続けていくべきであると確信しています。
そのため、私たち柏原委託清掃労働組合は、貴市に対して今回の入札に至った経緯を明らかにするよう求めるとともに、入札を撤回し、随意契約の継続を求めます。
ついては、私たちごみ収集業務に従事する労働者の生活・職場・雇用を守るとりくみについて、格別のご理解とご協力頂くよう要請しますとともに、本年9月17日までに貴市と当組合との協議の場(団体交渉)を設定し、その席上で下記の事項について、本年9月13日までに文書にてご回答・説明されるよう申し入れます。
記
1. 従来の随意契約から今回の指名競争入札に至った経過および指名業者の資格や選定基準を明らかにすること。
2. 家庭ごみ収集運搬業務に従事する労働者については、準公務員と位置付けること。
3. 現在の4業者に家庭ごみ収集業務以外の事業を禁止する行政指導を行ってきたことに責任を持ち、業者の保護(事業継続を可能とすること)及び労働者の雇用を保障すること。
4. 上記2及び3を基本に市民サービスのより向上をはかるため、指名競争入札が無かったものとして随意契約に戻すこと。
以 上 |