【自主レポート】

第33回愛知自治研集会
第6分科会 自治体から子育ち支援を発信する

 私たち保育部会は、一昨年度より子育て支援の観点から、自治研活動に参加してきました。子どもを取り巻く現状が、目まぐるしく変わる中、伊賀市の保育所(園)の子どもの休日の過ごし方をアンケートにて調査しました。その結果、外出していることが多いことがわかりました。そこで、1年目は公園マップづくり、2年目は図書館マップづくりを行い、室内外での親子で過ごせる場の提供に取り組んできました。



図書館(室)案内づくり~子育て支援~


三重県本部/伊賀市職員労働組合・保育部会

1. はじめに

 近年の急速な少子化や核家族化などの進行により、保育ニーズが増大し多様化する中で、子どもの発達や保護者の就労支援、育児不安や負担感など、子育てをめぐる課題や問題は幅広くなってきている。
 そこで私たちは、この伊賀市で安心して、また、楽しみながら子育てができるような情報を提供していきたいと考えた。

2. 現 状

 様々な社会状況の中で、保護者はそれぞれ子育てに対しての不安を持っている。そこには、不安を相談する人がいなかったり、子育てに対する情報が少なかったりするのではないかと感じるときがある。各支所においては子育て支援事業を行い、育児相談や親同士がつながれる場の提供をしているが、それらは平日の事業が多く働く親にとっては行きたくても行けない実態がある。そんな中で休日を過ごした子どもたちは、「お休みにお買い物に行った。」「~へ行って、ご飯食べた。」と話題にしていることが多く、外出をすることが休日の親子の過ごし方になっていることが多いと、昨年のアンケート調査でわかってきた。
 子どものことが大切で、休日は親子で一緒に過ごしたいという思いはあるが、どのようにかかわればよいのか具体的な方法が分からなかったり、仕事や家事に追われなかなか子どもと一緒に遊ぶ時間がもてなかったりする現状がある。
 そこで今回、室内で親子一緒に触れ合う機会の場の提供として、絵本を通して親子で楽しんでもらおうと図書館(室)について取り組んだ。


3. 取り組み

(1) アンケート調査
 まず、図書館(室)を利用したことがあるかないかを聞いた。次に利用の目的について聞いた。
 アンケートは、伊賀市内の公立保育所(園)22園の保護者を対象に行った。アンケート用紙は、日本語表記とポルトガル語表記とスペイン語表記を利用することとした。

  <アンケート配布総数>    1,068枚   
  <回収数>          717枚
  <アンケート回収率>     67.1%

【アンケートの結果】
問1  図書館の利用
  ある
  ない

問2  あると答えた人の利用の目的
     ①絵本が豊富にある
     ②読み聞かせの会がある
     ③大型絵本・紙芝居がある
     ④室内で楽しく過ごせる
     ⑤子ども用のスペースがある
     ⑥その他
   ☆「ある」その他
    ・家族が利用するから
    ・大人も子どもも楽しめる
    ・子どもに本に興味を持ってほしい
    ・本が好き、興味がある
    ・本が借りられるから
    ・マナーの練習
    ・ビデオが見られる
    ・休日の暇つぶし
    ・近い
    ・情報が豊富

問3  ないと答えた人の利用しない理由
     ①近くに図書館がない
     ②利用の仕方がわからない
     ③本に興味がない
     ④その他
   ☆「ない」のその他
    ・面倒、行きたいと思わない
    ・外遊びをしている
    ・迷惑がかかる
    ・行く機会がない
    ・保育所で借りている
    ・本屋で買う
    ・家にいっぱいある
    ・行く時間がない
    ・無回答


<考察>
  ・普段から図書館(室)に出かけている家庭と、そうでない家庭との意識に大きな差がある。
  ・親自身が図書館(室)を利用した経験がないと、子どもとの利用につながらない。(利用の仕方がわからない)
  ・自分の住んでいる地域の図書館(室)があるかないかわからない。特に公民館立図書室の存在が知られていない。
  ・絵本を通して同じ感情を共有することで親と子、人と人との信頼関係が育まれていく。そのような機会が持てる図書館(室)という場所を利用していない、活用されていない現状がある。

(2) 図書館調査
  伊賀市にある図書館に出向き、親子で安心して利用できるかを調査した。


① 上野図書館
 ・場所が分かりにくい、曲がり角に看板がほしい。
 ・駐車場がとめにくい。(スペースがない)
 ・本が豊富。
 ・子どものコーナーが学習コーナーと分かれているので利用しやすい。
 ・大型絵本がある。
 ・BGM(オルゴール)が生活雑音を消してくれて、和やかな雰囲気で本を選べる。

② 大山田公民館図書室
 ・駐車スペースが十分にある。
 ・建物がきれい。
 ・子どものコーナーが独立した部屋になっているので安心して本を見ることができる。
 ・アットホームな雰囲気で利用しやすい。
 ・とびだす絵本などしかけ絵本もある。
 ・子どもの目線に絵本が置かれている。

③ いがまち公民館図書室
 ・場所がわかりにくい。
 ・狭いので子どもの読むスペースがない。
 ・共通カード(図書利用カード)が使えない。
 ・移動図書がある。(今年度から各保育園へまわっている)
 ・ボランティアで読み聞かせをしている方がおり、絵本に詳しい職員がいる。

④ 島ヶ原公民館図書室
 ・場所が分かりにくい。(駐車場も分かりにくい)
 ・暗い。
 ・行きにくい雰囲気。
 ・共通カードが使えない。
 ・DVDを見ることができる。
 ・パソコンが使える。

⑤ 阿山公民館図書室
 ・静かすぎて入りにくい。(BGMがほしい)
 ・紙芝居だけの独立したスペースがあるが活かされていない。
 ・施設が新しくきれいで充実しているが活かされていない。
 ・大型絵本がある。
 ・明るい。
 ・DVDを見ることができる。
 ・絵本が豊富。
 ・駐車場も広い。

⑥ 青山公民館図書室
 ・子ども用の机、椅子があり、利用しやすい。
 ・絵本も多い。
 ・英語の本がある。
 ・絵本棚越しが学習スペースになっている。

(3) 図書館(室)案内マップ配布
 作成した図書館(室)案内マップは、各保育所(園)、子育て支援センターなど一般の方に広く配布する。

4. 成果と課題

 今回アンケート調査を行ったことで、図書館(室)の利用状況や、利用しない理由、保護者の思いなどを知ることができた。その中で、場所が分からない、利用の仕方がわからない、子どもと一緒では行きづらい、などの保護者の意見が多くみられた。実際私たちが図書館(室)調査を行った中でも、保護者の意見と同じような印象を受けることが多くあった。
 図書館(室)案内マップをアンケートにご協力いただいた方々に配布することで、より身近に図書館(室)を感じていただけたらと願っている。また、要望の多かった意見で、場所がわかりづらい、図書館(室)が静かすぎるので入りにくいという意見に対しては、看板設置や館(室)内BGMの採用などをワーキンググループでは市へ要望していこうと考えている。
 今後も、様々な保育情報提供をし、公立保育所(園)として地域の子育ての核になるような保育を目指していきたい。