1. 全道に先駆けての賃金手当削減
(1) 賃金削減先進自治体
① 賃金削減のパイオニア
三位一体の改革による交付税の減額、起債の償還額増加に伴う財政悪化に対応するためとして、増毛町では2004年度から職員組合の合意を得ずに基本給5%、一時金0.4ヶ月の賃金削減が行われました。
当然ながら組合と理事者との交渉は行われましたが、残念ながら交渉決裂状態のまま議案が提出され全道自治体に先駆けた賃金削減が行われてしまいました。
② 地域給導入と組合離れ
賃金の独自削減を行っている間は、マイナス勧告が出されても削減に上乗せしないということでしたが、2006年度からの地域給については、マイナス勧告ではなく制度の変更であるとして残念ながら導入されてしまいました。
今振り返ると、このころから職場集会へ参加する人数が減少しはじめ、組合活動への無関心が組合員に広がってきていたと感じます。
(2) 新たなる闘争手段の模索
① 闘争手段、戦意の喪失
では一連の削減において、組合側に問題はなかったかというとそうとも言い切れません。
対抗手段を失い、闘争に背を向けた組合にも付け込まれる原因がありました。
具体的には自分たちの労働条件よりも、地縁血縁を優先させてしまい町議会選挙において組合推薦候補を2期連続で落選させ、町職員の味方となってくれる議会議員を失ってしまっています。
そして、職場集会においては賃金削減に対抗するために勤務時間食い込み集会が提案されても、施設入所者、医療機関受診入院者の対応についての懸念、そして、いわゆる町民の目が気になり後ろめたいという後ろ向きな意見が少なからずあり、それに代わる闘争手段も議論されはしましたが、一斉昼休憩以外はあまり効果が見られず、それについても窓口を所管する管理職のみが苦労するという限定的効果に留まっていました。
このような闘争手段を失った状態におかれ組合役員も五里霧中となり、一般組合員についても怒る前に諦め、そして慣れ、思考停止、運動回避に向かい団結が綻んできてしまいました。
② 新たなる闘争手段の模索
そのような状態にありましたが、新たな闘争手段を検討するなかで、組合員による灯油の共同購入が提案されました。
より安価な業者からとなると、町外業者になることが想定されますが、賃金削減による購買力の町外流出は構わないという理事者の交渉での発言に対し、それを実践することによって起きるであろう外部からの理事者への圧力を若干期待しつつ、また組合員の購買力を闘争に結び付けることを狙いとしましたが、やはりこれも逆に町民を敵に回してしまうのではないかという結論に至りました。
では組合員の購買力が目に見える方法で、しかも町の人を味方にする良い方法はないかと模索した結果、JA南るもい増毛支所を通じて、増毛産米を一斉購入するという運動を展開することになりました。
運動に当たっては、増毛地区連合を窓口に産別の垣根を超え増毛町の労働組合員が一体となって取りかかり、増毛町を意識するために、町内産米に特化した共同購入を行いました。
(3) ホップ・ステップ
① ホップ 増毛産米の一斉購入
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