【自主レポート】 |
第33回愛知自治研集会 第9分科会 都市(まち)のコミュニティを再生させる |
平成の大合併が始まってから10年余りが経過、北海道の212市町村は、現在179市町村となり各自治体における行財政運営もかなり落ち着きを見せたものと推察されます。合併によるメリットは多数ありますが、その半面、地域住民の苦労も相当あったものと感じております。両地域の活力を保ち続けるため、合併した町職員同士が一つになり、お互いの地域コミュニティ活動等を支えている現状をレポートします。 |
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1. 「森」と「海」の町「枝幸町」
2006年3月20日、旧「枝幸町」と「歌登町」が新設合併し、新たな「枝幸町」としてスタートを切ってから、早くも4年余りが経過しました。 2. 市町村合併のもたらす課題と取り組み
役場レベルでの行財政運営については、事務事業の統一を図ることで順調に進められ、一定の成果が表れてきておりますが、お互いの町が何十年にもわたり培ってきた、地域コミュニティ、文化や伝統の違いについては、一朝一夕に解決するものではなく、合併当初は、一つの町になったという意識が非常に薄かったものと感じております。 3. 地域イベントを通じた住民との交流 (1) 短い夏を住民とともに楽しむイベント そんな短い夏を住民とともに盛り上げていく地域イベントとして、仮装盆踊りや子どもフェスタが開催されます。広大な面積にもかかわらず、人口はわずか9千人程の町ですから、イベントのスタッフや参加者を募ることもままならない状況ですが、住民に少しでも楽しんでもらい、活力ある町づくりを進めるため、合併した両町の職員が一つになって、その準備から運営に携わっています。 仮装盆踊りでは、「今年の役場は何をやってくれるのか!?」という期待もあり、なかなか手を抜くわけにはいきません。約2週間前から企画構想を練り、仕事終了後、深夜まで製作を行います。当然、元気のでる水を飲みながらの作業となりますが、仕事外の作業は心身ともに疲れることは言うまでもありません。また、当初は、合併前の職員のみの作業でしたが、現在では、両地区の職員が積極的に製作や運営にかかわってくれています。 イベントは、一夜限りですが、多くの住民が会場へ集い、ビールを飲み、焼き鳥を食べ、仮装盆踊りを楽しんでくれます。子どもたちは、奇抜な仮装に泣いたり笑ったり、そんな表情を見ると、準備にかけた疲れも吹き飛んでしまうくらい嬉しいものです。 当日は、盆踊りのスタッフに加え、職員組合として屋台を出したりと大忙しの一日になりますが、住民とコミュニケーションを深める絶好の機会でもあります。 (2) 厳しい冬を乗り切るイベント この時期は、基幹産業である漁業活動ができないことから、水産加工業等の関連産業も一休みとなり、町はひっそりと息をひそめた状態になります。 そんな中、厳しい冬を乗り切り、逆に冬を楽しんでもらおうと開催しているのが、「えさし流氷フェスタ」です。 小さな雪まつりですから、もちろん観光客などおりません。住民が住民のために実施する地域イベントとして定着しています。 会場への雪搬入など、1カ月前から準備が始まり、10日間ほどかけて、メインとなる雪像を製作します。札幌雪まつりのように! とはいきませんが、役場職員をはじめ、商工会や小学校、サークル団体、警察署までが一緒に雪像を作ってくれます。 この時期、夜間はマイナス10度以下にもなり、仕事後の作業は大変つらいものとなりますが、住民とともに、一つの目標に向かい作業を行うことで連帯感がうまれ、地域コミュニティの活性化に大きく貢献していると考えております。 さて、イベント当日ですが、合併した両町職員の応援のもと、食べ物の屋台をだしたり、ジャンボ滑り台で子どもたちの相手をしたりと、私たち職員組合も大忙しです。 たった4時間程度のお祭りですが、子どもたちも大人たちも絶えず笑顔で楽しんでくれることが、私たちの励みとなっており、長い準備期間の疲れをいやしてくれます。 このイベントが終わるとともに3月の海明を迎え、町も一気に賑わいを見せ始めます。
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(3) 「日本一!」自慢のイベント 「毛ガニ」の水揚げ日本一を誇るイベント「枝幸かにまつり」では、漁業関係者、商工業者、役場職員等、全町をあげてその運営にあたっており、まさしく官民一体となった協働イベントでもあります。 道立自然公園ウスタイベ千畳岩を会場とし、毎年7月の第一土・日曜日に開催されますが、地元住民をはじめ、道内はもとより遠くは九州からもお客様が訪れ、その数は、人口の2倍を超える2万人にものぼります。 会場内では、メインとなる毛ガニをはじめ、タラバガニのほか、枝幸で水揚げされる新鮮な魚介類などが格安で販売されるほか、できたてのカニ飯やカニ汁を味わうことができ、まさしく海の幸三昧です。何年も続けて訪れているリピーターのお客様が大変多いことからも、その人気ぶりが窺えるところです。 また、かにまつりは、食べるだけのイベントではありません。歌謡ショーを楽しんだり、当町自慢の「よさこいソーランチーム~夢想連えさし~」の演舞等も観賞することができます。ちなみに、本年度の枝幸チームは、札幌で開催された第19回よさこいソーラン祭りで見事「大賞!」に輝き、日本一の毛ガニの町から、日本一のよさこいソーランチームが誕生することとなりました。おめでとうございます!! さらに、食べる・見るだけではなく、参加型イベントとして人気なのが、「カニの早食い競争」です。最近は、各地で似たような催しを行っていますが、枝幸のカニ早食いは、43年の歴史を持つ「元祖早食い」ゲームと自負しております。 このゲームは、1尾丸ごとの毛ガニを2分間でどれだけ多く食べることができるかという単純なゲームですが、トゲだらけのカニを食べるわけですから、そう簡単にはいきません。顔じゅうカニみそだらけにしながら、中には口を切って血だらけ?(注:そんなに危なくはありません。)になる参加者も。参加者よりも見ている方が面白い大変ユニークなゲームです。そのせいか、30人の募集に何百人もの人が行列をつくるほどで、運営側としては嬉しいような、困るような……複雑な心境でもあります。 とにかく、小さな町にしては盛大なイベントですので、このレポートをお読みになられた方も是非一度「枝幸かにまつり」を訪れてみてはいかがでしょうか。 4. 住民と共に歩む行政の実現に向けて
自治研活動と聞くと私もそうですが、非常に難しく堅苦しいことのように思えます。地域が抱える政策課題などについて、地域住民や市民グループと検討や研究を重ね、それを提案・実践する場等々……。活動先進地では、まさにこのような取り組みを行っており、相当の成果をあげているとも聞き及んでおります。
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