【自主レポート】

第33回愛知自治研集会
第9分科会 都市(まち)のコミュニティを再生させる

 大阪市では重点政策の一つに「ごみ減量」を掲げ、さらなる減量推進と分別排出を促進するための日常的な啓発・指導等の取り組みを進めてきています。しかし、大阪市域内には在日韓国人の方々が多くおられる区もあり、言葉や生活習慣の違いにより、啓発やごみの排出指導がスムーズにできないことから、担当職員が韓国語のレッスンに通い、ハングル文字によるビラ看板等を作成し、地域住民とともにごみ減量を進めてきています。



"なにわ"ともあれごみ減量


大阪府本部/大阪市従業員労働組合・環境事業支部 鶴本 佳子

1. 大阪市の政策課題

 大阪市における「元気な大阪」をめざす政策推進ビジョンの中に、ごみ減量の取り組みを盛り込み、2015年度までにごみ処理量を110万トン以下に減らす目標を掲げています。
 環境局ではこれまで、さらなるごみ減量推進と分別排出を促進するため、2008年1月「中身の見えるごみ袋(半透明袋)」を導入し、2009年4月には、事業系廃棄物対策として、許可業者・排出業者への指導・啓発体制の強化や処理部門でのチェック体制など、啓発業務の充実を図ってきました。
 日常作業時における普及啓発や排出指導の充実が今後の廃棄物行政にとって重要な課題となっていることから、啓発指導班が新たに設置されました。

2. 職場における取り組み

 東部環境事業センターでも新たに設置された啓発指導班が日々、市民・住民に、より理解を得るためにいろいろな手法で啓発に取り組んできています。
 東部環境事業センターは、ごみの収集運搬業務を大阪市の24行政区のうち、生野区、東成区の2行政区を所管していますが、他のセンターに比べると地域的に在日韓国人の方々が多く居住されており、言葉や生活習慣の違いによって、ごみの分別に対して理解を得るのが難しく、ごみ減量の普及啓発や排出指導のスムーズな対応ができず、他のセンターにはない課題がありました。
 日々、啓発の仕事を行う中で、マンションの管理人の方や残地ごみの多い近隣の住民の方、さらに韓国の方にもわかりやすい韓国語のビラや看板を依頼されますが、局や区役所に依頼しても専門職(本来業務)ではないため、出来上がるのには1ヵ月以上を要し、必要な時に活用ができず、日本語版で対応するしかありませんでした。
 この間、政府の骨太方針に謳われている「多文化共生プラン」について大阪市では以前から取り組んできていることを踏まえ、外国住民に対して他言語できっちり伝えていくことが私たち自治体労働者の役割であることから、少しでも多くの方にごみの分別に協力していただけるよう、職員自らが、2008年から韓国語のレッスンに通い、韓国の方にも理解しやすいハングル文字に訳したビラや看板等を作成しています。
 特に、ごみ置き場や持ち出し場所に設置する看板やごみの排出方法を解説した「ごみのマナーABC」等の韓国語版をセンター独自で作成したことでマンションの管理人の方や住民の方々からも喜ばれ、排出指導を行う際にもスムーズな対応が図れるようになりました。

3. 地域・市民とともに進めるごみ減量に向けて

 私たちの事業は、市民の理解と協力が必要不可欠であり、さらなるごみ減量の推進と分別排出を促進するために、大阪市の政策推進ビジョンや取り組み趣旨をよりわかりやすく啓発・指導することで事業をスムーズに遂行できます。2009年4月から新たに啓発指導班が設置され、女性職員も多数従事しています。これまでは啓発活動、特に市民対応だけでなく、事業を進めるうえでどのような啓発をすれば市民にわかりやすいか、分別意識の向上につながるかなど、常に積極的に考え、「やる気・やりがい」をもって作業に取り組んでいます。まだまだ韓国語で住民の方と十分な会話ができるまでには至っていませんが、今後も引き続き韓国語を勉強し、韓国の方々の要望も聞けるよう、また、大阪市のごみ減量に向けて取り組んでいきます。

≪ハングル文字と日本語によるごみの分別排出看板≫
≪ハングル文字による分別の説明ビラ≫