【要請レポート】

第33回愛知自治研集会
第12分科会 地域からのワークライフバランス

みえ次世代育成応援ネットワークの取り組みと
企業の次世代育成支援事業

三重県本部/三重県健康福祉部こども局こども未来室・次世代育成グループ・主査 山本 佳子

1. 『みえ次世代育成応援ネットワーク』

(1) 『みえ次世代育成応援ネットワーク』の発足
 三重県では、2010年3月に策定した「第二期三重県次世代育成支援行動計画」に基づき、行政による環境整備とともに、多様な主体との参画・協働・連携による『子ども・子育て家庭をささえあう地域社会づくり』に取り組んでいるところです。
 三重県型の次世代育成支援の大きな柱の一つとして、地元の企業や地域の子育て支援団体が主体的に参画し、子ども・子育て家庭を応援する活動に取り組む組織、『みえ次世代育成応援ネットワーク』が2006年6月20日に発足されました。2010年9月現在で、企業275社、団体469団体、計744の会員で活動しています。

(2) 『みえ次世代育成応援ネットワーク』とは
 『みえ次世代育成応援ネットワーク』は、従業員の子育て支援や地域の子どもたちの応援などに取り組んでいる企業や子育てを応援する活動を行っている団体が、知恵や資源を持ち寄り、連携・協働するための出会いの場です。参加する主体がそれぞれの取り組みをHP(みえ次世代ネットhttp://www.jisedai.pref.mie.jp/)で紹介したり、みんなで参加できる提案を実施したり、活動のパートナー探しをしたりしています。



 このネットワークを通じて、企業が地域の子育て支援活動と結びつき、子育て支援団体といっしょに次代を担う三重の子どもたちが健やかに育まれる「ささえあい」の地域社会づくりをめざし取り組んでいます。

(3) 『みえ次世代育成応援ネットワーク』の取り組み
① 子育て応援 わくわくフェスタ
  「子育て応援 わくわくフェスタ」は、『みえ次世代育成応援ネットワーク』を中心に、子ども・子育て家庭をささえあう地域社会づくりに取り組む企業や地域の団体などが一同に会し、連携・協働・交流の機会とするとともに、子育て中の方をはじめ、県民の皆様に広く「子どもや子育て家庭を応援する」というメッセージを発信することを目的に、2006年度から実施しています。
  企業や団体による体験教室や子育て情報の提供などバラエティに富んだブースや子どもたちによるパフォーマンスや餅つきなどのステージ、子ども服や絵本をリユースし子育て家庭へプレゼントするコーナーなどで会場は大いに盛り上がっています。


 
たくさんの親子連れが来場しました
企業から提供されたリユースプレゼントが大人気
ステージでも子どもたちが大活躍
みえ次世代育成応援ネットワーク
イメージキャラクター みっぷる

2007年1月 第1回開催 会場:メッセウィングみえ(津市)
          参加企業・団体数:115 来場者数:約1万8千人
2008年1月 第2回開催 会場:メッセウィングみえ(津市)
          参加企業・団体数:115 来場者数:約2万人
2009年1月 第3回開催 会場:四日市ドーム(四日市市)
          参加企業・団体数:135 来場者数:約2万7千人
2010年1月 第4回開催 会場:県営サンアリーナ(伊勢市)
          参加企業・団体数:114 来場者数:約1万8千人

② 子育て応援 マッチングシステム「スイッチ」
  子育て支援団体が活動を進めるうえで必要となるOA機器や文具類などの物資「モノ」や会議室等の利用などの「サービス」を、ネットワーク会員企業が提供し、子育て支援団体との双方のマッチングを行うシステムの運用を2007年9月3日から開始しました。
  マッチングの第1号としては、JA三重信連から事務所の模様替えの際に不要になった長机19卓と椅子数脚の提供があり、三重県学童保育連絡協議会(学童保育くるみ会内)に受領されました。


 
JA三重信連から提供された机等
学童保育で活用されています

③ 子どもの虐待防止啓発運動
  県が11月の子ども虐待防止啓発月間に合わせて実施する啓発活動に、ネットワーク会員企業や団体も参加し、ネットワークの目的の一つである社会貢献の活動に取り組んでいます。会員の意識を一つにして活動することで、ネットワークの存在意義が深まるとともに、民間企業・団体など、多様な主体が一緒に取り組むことで、より県民意識の啓発につながっています。


 
2009年度の街頭啓発(四日市駅)
子ども虐待防止オレンジリボン

2. 企業の次世代育成支援の取り組み

 県内の中小企業が、次世代育成支援の必要性を理解し、地域の子育て支援や従業員の仕事と子育ての両立支援などへの取り組みを活性化することを目的に、中小企業を対象とした事業を実施しています。

(1) 企業の次世代育成支援事業
 2007年度に県内企業の状況把握や先進事例の収集を目的とした調査を行うとともに、次世代育成支援に関心のある企業を対象に、専門家によるコンサルティングを実施するとともに、これらの結果をもとに中小企業の次世代育成支援の取り組みの指針となるガイドブックを作成しました。
 2008年度以降は、中小企業を対象に社会保険労務士が一般事業主行動計画の策定等について助言を行うための訪問活動を実施しています。
① 調査の実施【意識・実態把握・先進事例の収集】
  県内中小企業の次世代育成支援に関する意識や取り組みの実態・先進事例の把握、子育て中の従業員が求める支援策、行政への支援ニーズについての調査を実施しました。
  ア 県内中小企業アンケート調査(県内に事業所のある従業員規模20人以上300人以下の企業約2,000社を対象に調査、回収数約550)
  イ 子育て中の従業員へのアンケート調査(①の事業所に勤める小学生以下の子どもを育てている従業員、対象数:2,000人、回収数約900)
  ウ アンケート調査の中で特色のある取り組みをしている企業のヒアリング調査(30社)
② コンサルティング
  アンケート調査等から抽出した県内中小企業10社を対象に、専門家がコンサルティングを行い、実践的な取り組みの推進に対してアドバイス等を行いました。
  (コンサルティング内容の例)
  ア 在宅勤務制度の導入検討
  イ 女性社員の活用策と管理職向け研修
  ウ 事業所内託児所の設置検討
  エ 女性従業員のモチベーションアップのためのカウンセリング
③ ガイドブックの作成
  ①の調査結果及び②の実施結果を盛り込み、先進的な取り組みをしている県内企業の顔が見える事例集を作成し、県内中小企業が次世代育成支援に取り組むための実践型ガイドブックとして、県内企業への情報提供や研修用の資料として活用しています。
④ アドバイザーの訪問
  従業員100人以下の中小企業に社会保険労務士がアドバイザーとして訪問し、次世代育成支援の取り組み実施や一般事業主行動計画の策定等について助言をしています。
  (2009年度実績 訪問企業150社、一般事業主行動計画策定届出企業14社)