【自主レポート】 |
第33回愛知自治研集会 第12分科会 地域からのワークライフバランス |
ジェンダー監査は、ジェンダー主流化の実行を推進する戦略的なツールとして国連が開発したもので、2001年にILOが始めて導入した。①政策、企画、結果のすべての次元でジェンダー問題が考慮されているか、②ジェンダーメインストリーミング(ジェンダー主流化)戦略の効果・成果が出ているかを実態的に評価するもの。男女がともに担う府本部委員会は、八幡市職労をモデル単組として作業委員会で検証してみた。 |
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1. 取り組み経過 男女がともに担う府本部委員会は、自治労本部が男女平等産別統一闘争で提起した「ジェンダー監査」に取り組むことを決定、八幡市職員労働組合をモデル単組として、ジェンダー監査作業委員会を構成して検証を進めた。[作業委員会メンバー]八幡市職労書記長・男性/八幡市職労執行委員(男女がともに担う府本部委員会委員)・女性/自治労京都府本部執行委員(男女がともに担う府本部委員会事務局長)・女性 2. 監査結果から見えてきたこと 八幡市役所に働く正規職員の平均勤続年数は、男性22.8年、女性21.1年で、男女差は1.7年。他の自治体との比較はできていないが、厚生労働省調査による一般労働者の平均勤続年数が男性13.4年、女性9.4年、男女差4.0年であることから、当市役所の女性の勤続年数は長く、結婚・出産・育児で退職に追い込まれることなく、働き続けやすい職場と言える。しかし、女性のお茶くみ、世帯主要件による諸手当の支給、受付窓口の女性配置など、ジェンダーに偏った意識と制度が見受けられる。 3. 今後に向けて 職員数815人(管理職と臨職・非常勤を含む)、組合員数495人の八幡市職労の協力を得て、ジェンダー監査を実施した。はじめての試みで準備不足と論議不足もあったが、職場の状況を把握するきっかけとなり、職場・労働組合の男女平等進捗度と課題を確認することができた。今後は、他の単組と比較しながら実態把握と課題認識ができるよう、取り組み単組を増やし、検証結果をもとに運動方針や要求項目等に反映していきたい。 4. ジェンダー監査 検証結果【職場編】 ※人事当局からの回答(数値)をもとに検証。各項目のおもな検証コメントのみ記載。 |
【職員構成】 ・正規職員の平均勤続年数の男女差が小さいのは、女性が働き続けやすい職場であると評価できる。女性の早期退職者が多い自治体もあるが、比較できれば状況が把握しやすい。また、①行政部門、②保育部門、③土木・建築等技術部門別の調査ができれば、分析も深まるだろう。 ・非正規職員は、女性比率が77.7%。女性は窓口業務、保育所、幼稚園、学校給食に多く、男性はごみ収集、下水道設備、滞納整理に多い。部門別調査をすれば女性職種と男性職種に分かれているが把握できるだろう。 ・非正規職員の男性は定年後の再雇用(65歳まで)が多く、女性は出産・育児後の再就職が多いのではないか。 A 採用・募集 ・女性の応募者数34.9%に対し、52.4%の採用結果は評価できるが、計画的に女性を多く採用しているかは不明。 ① 一方の性の採用者比率が30%を下回っていない ② 採用計画は一方の性が30%を下回らないよう配慮されている ③ 募集要項に一方の性が応募しにくいような条件はない ④ 面接等の選考にあたるメンバーが一方の性のみで構成していない B 配置・昇任・賃金 (1) 配 置 ① 一方の性のみで構成する職場(係・課)はない ・土木・建築、下水道、道路河川など事業部は男性のみの係がある。女性のみは子育て支援の相談係など。 ② 女性の管理職への登用状況(部門別・3年間)は増えている ・3年間で部長級はなし。年度でばらつきがあり、計画的に女性が登用されているとは言えない。 ・勧奨退職や、夫が同職場にいる妻が先に退職する場合もあり、女性が少なくなるのではないか。 (2) 昇 任 (3) 賃 金 ③ 扶養手当・住居手当、寒冷地手当の支給対象が世帯主ではなく申請者である ・人事当局の回答は、 だが、世帯主でないことを理由に扶養手当の申請ができなかった女性組合員がおり、借家の住居手当も世帯主要件があることが判明した。 ④ 育休において制度的保障(医療保険料免除、昇給など)は行われている ⑤ 介護休業において経済的負担軽減措置(昇給延伸復元、医療保険料補助等)がある C 人材育成・教育訓練 ① 女性リーダー育成のための管理職研修を行っている ② 業務の分担において男女間格差はない ・人事当局は だが、実際はすべての業務に男女間格差がないわけではない。 ・窓口(受付)に女性ばかりいるのは違和感がある。 ③ 職員研修において男女平等参画を科目としている ④ 業務研修において男女がともに参加している D 継続就業 ① 結婚・妊娠・出産を理由とする退職勧奨はない ② 役所内・社内での結婚に対する退職慣行はない ③ 結婚・妊娠・出産を理由とする雇用における不利益変更(正規→非正規など)はない ④ 配偶者が管理職になった時の退職慣行はない E 両立支援 ① この3年間で育児休業を男性が取得している ② 妊娠中における業務軽減等の業務上の配慮が行われている ③ 休職後の職場復帰に備えた支援策(自宅研修など)がとられている ④ 育休・介護において時間外勤務や深夜勤の免除・制限、勤務時間短縮の制度がある F 職場環境 ① 茶くみを女性職員に強要する慣習はない ・強要ではないが、女性ばかりに頼む職場や、女性が給仕する方が感じがよいという意見は根強い。 ・無意識のうちに性別役割分担されているケースが多いので、女性の意識改革も必要。 ② 女性職員に私用・雑用を押し付けることはない ③ トイレ・更衣室・休養室は男女ごとにある ④ 労働安全衛生委員会の構成は一方の性が30%を下回っていない G セクシャル・ハラスメント防止 ① セクハラ防止の規程がある ② 苦情処理(解決)制度がある ③ 苦情処理委員会は男女同数で構成されている ④ 防止対策としての職場研修がある ・人事当局は だが、労働組合で把握する限り研修はない。 |
5. ジェンダー監査 検証結果【労働組合編】 ※書記長からの回答(数値)をもとに検証。各項目のおもな検証コメントのみ記載。 |
【男女別組合員数】
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