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調査対象森林の状況(整備前)
樹種・林齢:ヒノキ35年生 |
調査対象森林の状況(整備後)
樹種・林齢:ヒノキ35年生 |
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間伐作業の様子
伐採にはチェンソーを使用します。ヒノキの放置林は掛かり木になりやすいため、伐採には手間がかかります。 |
玉切り作業の様子
伐採した木材は、末口径15cm以上=3.05m、末口径15cm未満=4.05mに玉切ります。 |
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搬出された木材 |
搬出した木材はトラックで前橋共販へ運びます。 |
市日
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樹種・径級
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本数
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材積(m3)
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単価
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金額
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消費税
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間伐材経費補助
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計
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7月3日
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ヒノキ3m 14~16cm |
3
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0.177 |
4,290 |
759 |
39 |
88 |
886 |
ヒノキ4m 7~13cm |
1
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0.068 |
7,560 |
514 |
26 |
34 |
574 |
ヒノキ4m 7~13cm |
12
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0.53 |
4,930 |
2,612 |
131 |
265 |
3,008 |
スギ4m 7~12cm |
1
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0.032 |
8,810 |
282 |
16 |
16 |
314 |
7月13日
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ヒノキ3m 7~13cm |
4
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0.196 |
3,640 |
713 |
37 |
98 |
848 |
7月23日
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スギ3m 7~12cm |
1
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0.043 |
3,650 |
157 |
8 |
21 |
186 |
8月3日
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ヒノキ4m 7~13cm |
4
|
0.128 |
4,590 |
587 |
30 |
64 |
681 |
ヒノキ4m 7~13cm |
13
|
0.314 |
3,290 |
1,034 |
53 |
157 |
1,244 |
ヒノキ3m 7~13cm |
1
|
0.019 |
2,740 |
52 |
3 |
9 |
64 |
計
|
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40
|
1.507 |
4,452 |
6,710 |
343 |
752 |
7,805 |
樹 種
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長 級
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径 級
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平均落札価格(m3)
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ヒノキ
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3.00m
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14cm~24cm
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12,000円
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10cm~13cm
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6,800円
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4.00m
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14cm~18cm
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18,400円
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18cm~28cm
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18,000円
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(5) 高知県の取り組み
高知県では、環境省が進めるJ-VER制度により、化石燃料から木質バイオマス燃料に切り替えた企業に対し、燃料購入にかかるコスト差を県が負担する代わりに、それにより得られたCO2削減分を県に帰属するとともに、県が環境先進企業等に販売する事業を実施しています。具体的には、住友大阪セメントがセメント製造過程において使用していた石炭を、一部木質バイオマスに変換することで、石炭の発熱量見合いの価格と木質バイオマス発熱量見合いのコスト差額約2,000円/tを県が負担する委託契約を同社と締結。石炭を削減することによって得られたCO2を県に帰属するというものです。
こうしたことをはじめ、近年では各県単位での新たな取り組みが進められています。
(6) 新たな排出権取引の検討
前述してきたように京都メカニズムでは、森林による吸収が認められています。森林の炭素貯蔵量は間伐してもしなくても増加しますが、1990年以降に何らかの森林整備を実施した森林のみ、吸収源として算入することができます。
例えば、私たちが現在借り上げている森林1.5haに当てはめてみると、県が管理する森林簿上では2007年5月10日現在の材積量は、スギ129m3、ヒノキ217m3、計346m3となっています。これを2010年4月(3年後)の数値に換算すると、スギ139m3、ヒノキ246m3、計385m3になります。即ち、年間あたり13m3ずつ増加する計算になります。
これを、1つの炭素重量の換算式である下記計算式に当てはめてみると、2010年4月現在の炭素重量は、材積量385m3に対して124炭素トンとなります。2007年5月現在では112炭素トンになりますから、年間4炭素トンずつ増加する計算になります。
炭素重量(t)=材積量(m3)×拡大係数×容積密度(t/m3)×炭素含有率
拡大係数:針葉樹1.7、広葉樹1.8
容積密度:針葉樹0.38t/m3、広葉樹0.49t/m3
炭素含有率:0.50 |
高知県の2009年7月からの排出権取引実績では、1炭素トン当たり10,500円で販売していること等を考慮すると、130万円あまりの価値が存在する計算になるとともに、毎年4万2千円程度の新たな価値を生み出すと考えられます。
これは1例ではありますが、こうして得られた炭素吸収量を環境先進企業等に販売し、その原資を元に森林林業の雇用を創出するとともに、森林林業の再生に繋げていくことが重要と考えます。
(7) まとめ
京都メカニズムの枠組みでの排出権取引は、あくまでも締結国間での排出権取引を認めるものです。また、森林による吸収1,300万炭素トン(3.8%)の部分にあっては、議定書上はほぼ日本に限って認められた上限値であるため、この数字以上の森林整備を実施してもオーバーした部分はカウントされません。こうしたことから、国内における排出権取引の部分においては、国や地方において様々な取り組みが試行されてきている状況にあります。
前述してきたように、議定書上カウントすることが許された森林整備は、何も間伐に限ったものではありませんが、一度人の手によって植林された人工林は、種から成長した天然林と違い、人の手によって管理し続ける必要があります。従って、森林の有する保水機能の充実や、国土保全等の災害に強い森林をつくるためにも、温暖化対策に関わらず立ち遅れた間伐は進める必要があります。
また、エネルギー政策の観点からすれば、化石燃料から木質バイオマス等の自然エネルギーに転換することで、国内の雇用創出にも繋がるものと考えられます。
以上のことから、①森林の有する炭素吸収量を適正に評価し、その評価結果等を広く周知することで、森林整備のための原資獲得に取り組むこと、②化石燃料から木質バイオマス燃料に転換した企業等に対し、木材の買取価格等を補償することで、いわゆる未利用林地残材(C材)の利用を推進し、放置林の整備を図ること、等が求められます。
京都メカニズムは国内の排出権取引を定めたものではありませんが、こうした世界的な動きを参考として活用し、森林林業の分野において新たな雇用の創出を図っていくことが重要と考えます。
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