【自主レポート】

第33回愛知自治研集会
第13分科会 温暖化ガス25%削減 地域での可能性を模索する

ごみの分別・リサイクル


大分県本部/九重町職員労働組合

1. はじめに

 1992年9月からの閉庁方式による完全週休二日制度の導入をきっかけに、職員組合として休日を利用したボランティア活動と考え、組合員はもとより、管理職や特別職にも呼びかけを行い、第1回目の土曜日であった9月5日に環境美化運動としてスタートしました。
 翌年の1993年からは、国民春闘における環境保全に対する取り組みの一環と位置づけ、実施日を4月の第2土曜日と定め現在に至っています。
 また、2005年には大分県自治研集会において、「ごみの減量とリサイクル」についてレポート発表を行いました。具体的には、「ごみダイエット作戦」というテーマで、まず指定した1ヶ月間に、自宅で排出されるごみの量を調査し、その翌月の1ヶ月間にごみ分別を徹底して行い、どれだけごみの量を減らすことができるかといった取り組みを行うことで、ごみの排出について分別リサイクルの意識の向上を高めていく内容でした。
 その結果、ごみの減量とリサイクルについて、意識向上が図れた内容になっていました。
 そこで、「ごみダイエット作戦」として意識向上を図ったことが、5年経過した現在どのようになっているか確認を行い、玖珠清掃センターの稼働状況とあわせて今後のごみの減量とリサイクルについて考えてみたいと思います。

2. 九重町職の取り組み

 2009年3月に組合員を対象に、家庭におけるごみ排出量についてアンケートによる調査を行いました。5年前の、「ごみダイエット作戦」において、ごみの減量とリサイクルについて、意識向上が図れた結果と、毎年環境美化運動を実行してなお且つ、環境学習も重ねて実施してきた経過もあることからある程度の期待をしていました。
 その結果、家族構成の変化は2004年と比較して多少はありますが、どの家族構成についても、ごみの排出量は、「ごみダイエット作戦」を行う前とほぼ同じ状態でした。
 単発的に実施したアンケートなので、比較値としての信頼度は低いと考えられますが、ごみのリサイクルと減量に対する認識や意識は高かったのに、その時点での成果であって継続的に行動につながっていないと考えます。このことから、意識をすれば対応が可能であるが、なかなか実践につながらないと考えらます。

3. 環境美化の状況

 環境美化運動の実行で収集できたごみについては、ここ数年は若干の増減は有るがほとんど横ばい状態で、逆に増加しているのではないかと感じます。環境美化の対象範囲が主要な幹線道路のため、ごみの散乱場所がコンビ二から1kmの付近で、人家のない場所で路面より下側の斜面に集中して空き缶が散乱している状態です。また、離合箇所等や駐車帯等の車を駐車して休憩できるような箇所については、弁当や軽食物の空が多く散乱しています。以上のような点から考えると、一般通過者等によるポイ捨てが多いのではないかと推測されます。
 更に2006年に開通した吊橋の影響があるのか、吊橋に通じる道路は他の路線と比較して散乱するごみが多く見られます。

4. 玖珠清掃センターの状況

 処理方法  ストーカ式
 処理能力  28t/8h(14t/8h×2炉)
 事業年度  (焼却施設)1996年度から1998年度……稼動開始1998年10月
       (粗大ごみ処理施設)1997年度から1999年度……稼動開始1999年
 事 業 費  1,874,939,000円
 ダイオキシン排出量(排ガス) 0.026ナノブラム(1号炉)、0.0079ナノブラム(2号炉) 

 別紙資料3のように可燃物の収集量については、年間3%程度の割合で減少傾向です。また、不燃物の1・2分別(表1参照)収集量についてほとんど変化がありません。ただ、不燃物の3分別(表1参照)については減少している状況です。
 可燃物の減少は、各家庭に設置してきた“コンポスト”や“九重町ごみの分け方”の印刷物による啓発活動によるものと、年間1%ですが人口の減少化によるものと考えます。
 不燃物の3分別については、2007年以降大幅に減少しています。3分別は表1にあるように金属類及び電気製品類となっており、高い率でリサイクルされやすい物の分類となっています。2007年に減少しているのは、2008年に中国で開催されたオリンピック施設の建設の時期あたり、日本国内においても鉄鋼をはじめ銅線など金属類が高騰し、大分県内においても、道路側溝の蓋や金属製品が盗難にあったことなど、金属類のリサイクル率が非常に高まった時期でもあります。以降リーマンショック時には鉄材等価格が急落した時期もありましたが、現在もリサイクル業者が町内の集落を巡回し金属類の回収を行っている状況です。
 また、収集されたごみを焼却処分し発生した焼却灰・残渣の埋設量が毎年3%程度減少している状況です。埋設物の内容を見ると、特に不燃物(残渣)の減少が大きくなっています。これは、焼却炉に投入される物の中に残渣となるものの混入量が減少したことが大きな要因と考えられます。このことは、各家庭においてしっかりと分別されているためと考えられます。
 また、焼却灰、ダスト処理灰、不燃物(残渣)、資源物(残渣)は、現在どこの最終処分場でも同じと思いますが最終処分として埋設処理(安定型)されるもので、地権者はもとより周辺集落の了解等簡単に増設できないと思っています。ゆえに、現在使用している埋設処理地を長期間使用する必要があります。
 現在使用している埋設処理地は、現状で処理を行って行くと、残余年数はあと15年と推定されています。さらに、焼却炉の耐用年数も20年くらいが目安になっているため、稼動開始年度から計算すると焼却炉の使用年数もあと10年程度でリニューアルを施す必要があります。

5. 九重町の状況

 1994年度 分別回収開始  カン・びん・金属類・古紙(新聞・雑誌・ダンボール・布類)
 1998年度 ペットボトルの再資源化
 2005年度 発砲スチロールの再資源化・蛍光管・電球及び電池 
 管内に分別回収したものを処理できる施設整備ができたものから、分別回収を段階的に開始してきました。
 また、分別収集を実施するのは主として行政が行いますが、一部のものについては民間を利用しています。業者による収集種類は、紙パック・紙製容器包装について、生協、スーパーの店頭による拠点回収を行っています。

表1 分別収集の種類 
  
品  目
可燃物 プラスチック類、生ごみ類、布・紙・革類、木・竹類
不燃物の1 びん類(一升ビン・ビールビンは除く)ペットボトル類(リサイクルマークの無いものは可燃物)、缶類
不燃物の2 アルミ類(アルミホイル等 リサイクルできないもの)、ガラス類(蛍光管・電球等)、陶磁器類
不燃物の3 その他(海苔等の缶類・油缶・傘(布は除く)・釘・針金)、金属類(ハンガー・なべ・やかん・ストーブ)、電気製品類(家電リサイクル対象を除く)
リサイクル 蛍光管・電球(割れていないもの)、古紙・雑誌・ダンボール・布、新聞紙、電池、発砲スチロール(白色・有色別)

6. まとめ

 可燃物ごみは、収集量が年々減少する傾向であろうと感じますが、実際は、その時点での世界情勢の変化で簡単に増える可能性があります。今後の施設の利用延長を図るためにも次のように考えます。

(1) 継続的な啓発の推進
 3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進が必要です。一時期3R運動について、よく耳にしていましたが最近はあまり聞いていません。組合員へのアンケート結果でも述べましたが、高い意識や知識を持っていてもなかなか実行できない。今後は、継続的で効果のある啓発推進を行っていく必要があると考えます。

(2) 周知の徹底
 容器包装に係る分別収集については、2010年度策定の「九重町分別収集計画」を、町民に知ってもらい、計画内容の理解と実施について推進を図る必要があると考えます。

(3) 行政の取り組み
 2009年2月20日に提言された、「九重町バイオマスタウン構想」に記載されているように、可燃ごみの内の38%に当たる生ごみを利用した、メタン発酵施設の実現化により、焼却ごみの減量と並びに埋設量の減少を図る。

(4) 有料化の検討
 家庭ごみ収集の有料化について、有料化することによりごみの発生量を抑えることが可能である。しかし、その一方で不法投棄の拡大が懸念される。ただ、韓国ではすでに1995年に家庭用ごみの完全有料化に踏み切っている状況があることから、今後は検討することも必要だと考えます。
 ごみの減量に対して、決定的な対策は無いと考えます。しかし、1995年の「容器包装リサイクル法」制定から15年の経過で、国民の意識やごみに対する状況もずいぶん改善されていると思います。
 改善速度は遅くてもこれまで行ってきた行動は、効果が期待できるものと考えられることから、さらなる積み重ねを行っていく必要が有ると考えます。
 バイオマスを実現させることにより環境負荷の軽減、資源の有効利用促進、化石燃料の使用抑制、温暖化防止、地域産業の活性化、農業農村の活性化等大きく期待されます。

「エネルギーの地産地消」

 最後に、自治体職員は今までごみについての学習を行い環境への意識を深めてきました。これからは、その知識を利用し毎日の生活中で実行することが大切です。まず自分たちが実行することで、周辺の住民へと波及し、地域をあげてごみの減量を推進してゆく時期に来ていると考えます。