【自主レポート】 |
第38回地方自治研究全国集会 第11分科会 青森で探る「自治研のカタチ」 |
新型コロナ禍ではオンラインを用い、様々な取り組みを進めてきました。特に2020人勧により一時金の引き下げ勧告によって、青年部・労働組合の運動の目的・本質が変化してきたと感じた。今一度、青年部運動のなかで大切にしていくことを意識をしながら運動を進めていきたいと思う。 |
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1. はじめに (1) 北海道の新型コロナの状況2月中旬以降、新型コロナの感染拡大を続け、北海道独自の「緊急事態宣言」の発出、4月には北海道と札幌市が「緊急共同宣言」を発出し、札幌市内における接触機会の低減や札幌市への往来自粛、接待をともなう飲食店等への外出自粛が求められました。北海道庁では国の緊急事態宣言解除以降、「新型コロナウイルス対策に関する基本方針」や「新北海道スタイル」の実践による感染拡大を抑える対策を講じてきました。しかしながら、10月28日からの2週間を集中対策期間とし、感染リスク回避のための行動回避などを呼びかけましたが、感染拡大は続き、11月7日からは札幌・すすきの地区での酒類提供飲食店等に対する営業短縮要請を含み11月27日までの3週間に対策が強化されました。そういった対策を講じながらも収束の気配を見せず、札幌以外でも地方の医療機関や自治体職場でのクラスター感染や、自治労北海道本部内でも新型コロナ感染者が出るなど、未だ猛威を振るっている状態です。 (2) 自治労北海道青年部での動き 2月以降、これまで開催してきた集会や会議の類は中止・延期とし、主にオンラインの形式で会議を開催してきました。参加者には、主にLINEやzoomのアプリを使い、個人のスマホやPCを使って会議に参加してもらっています。ステップアップセミナー・次世代育成セミナーといった集会形式の学習会や春闘討論集会・青年部長会議のような運動方針を確認・補強する機関会議など大勢が集まる集会を開催することもできませんでしたので、オンライン形式を用いて取り組みを進めてきました。 集会形式の学習会は、事前に50分程度の講演を動画で撮影し、全単組・総支部へ配信しました。その後、日時を設定し、それまでに動画を視聴してもらい、FacebookのLive機能を用い、質疑応答を行う形でオンライン学習会を開催してきました。具体的には、Facebookのコメント欄に質問や意見を書き込んでもらい、Liveで映っている講師がそれに答えるという形です。同様の形式でオンライン学習会を2回開催し、合わせて延べ5,000回の視聴があり、多くの組合員の学習につながりました。 機関会議は、事前にそれまでの運動の総括と運動方針の提起を動画に撮影し、全単組・総支部へ配信しました。その後、全道を30ブロックにわけ、単組・総支部の代表者を対象に概ね10人程度の小規模でオンライン会議を開催しました。オンライン会議では、単組・総支部の状況や運動を参加者全体で交流することで、総括・方針の確認・補強を行いました。 また、感染が拡大している札幌市に結集することはさけ、主に専従者が全道各地に足を運び、多くの仲間と交流してきました。文献を用いた読み合わせ学習や、道本部青年部からの働きかけによる役員向けに小規模学習会を開催してきています。 これまで、地域に足を運び、多くの仲間と一緒に学び・考えることを大切にし、青年部運動を進めてきましたが、移動や接触の制限をされたことで、物理的に会うことはなくとも、大切にしてきたことはそのまま、オンラインを用い、手法を変えることで、新型コロナ禍においても青年部運動を進めてきました。 2. オンラインを活用してきて オンラインの良さは「いつでも・どこでも・誰とでも」交流することができることです。これまで会って学習し、交流してきましたが、北海道の特性として広域の移動が伴いますし、様々な会議・集会などは主に土日に調整してきたため、足を伸ばしきれない、都合をつけることができないということがよくありました。それがオンラインになると場所の調整をする必要もありませんし、日程の調整も移動がないことで、会議を連続して開催することができました。具体的には道本部青年部の役員会をオンラインで開催し、その後すぐに本部青年部の常任委員会にオンラインで参加するという具合です。北海道の仲間と交流し、その後、すぐに全国の仲間と交流することができました。同じように、出張先から、札幌で開催している会議にも参加することができたので、オンラインをうまく用いることで、これまで以上に運動の幅ややれることが多くなるのではないかと思っています。また、みんなが集まるなかだと話し出しづらいという仲間も、オンラインだから話せたという声もあります。雰囲気が感じ取れないことのメリットではないかと思います。 逆に、オンラインでの欠点は、参加者が自宅で参加した時や講演を動画で聞くと集中しきれないことがあります。スマホやPCの前で長時間座っていなくてはならないことや、自分一人で参加していることに原因があるのではないかと思います。また、参加者の反応が掴みにくいこともあり、どういうポイントに反応しているのか、参加者が気になることはどんなことなのかがわかりづらくなってしまいました。役員・幹事側からの思いが一方通行になってしまっていたかもしれません。科学的ではありませんが、集会でなんとなく感じていたものが、感じることができないのは、少し寂しく、物足りなさがあります。 3. 新型コロナ禍における運動 職場・地域のなかでは、人と接触することを気にし、職場・地域においても労働運動の実践になかなか結びついていない状況があります。簡単に言えば、やるところはやっていて、やらないところはやっていない。新型コロナを理由にやらないところはやらない理由ができ、やっていたところは「新型コロナでもやらないとならない」と決意を持てている。そういう単組が少なくはないです。生活・職場実態点検手帳には取り組むものの、実態点検をやるだけで、やったあとに役員・幹事が集まって議論ができない、総括できず、運動に結びつかないという道本部青年部のこの間の総括がその現れかと思います。 「やらなくてもいいものはやりたくない」が本音だと思います。新型コロナ禍での労働運動が「やらなくていいもの」という認識をされてしまっているのではないかと危機感を持ちます。職場での感染対策や職員の健康管理など、自治体ごとで対応がばらばらです。職員が新型コロナに感染しないようにという意識を持っている自治体がどれだけあるのかと考えると、この間、聞いている話だけで考えると多くはありません。ある自治体で新型コロナのクラスター感染がありましたが、感染対策を講じていなかったことから、濃厚接触者が多かったという話を聞いています。また、「新型コロナに感染して健康を損なうことより、感染した時の周りからの見られかたが気になる」「新型コロナに感染すると地域にいられなくなる」という思いを持つ仲間も少なくはありません。安心して働き続けられる職場環境という視点を今の職場のなかで持ちきれていないのだと思います。 道本部青年部幹事会において、20確定期の中間総括を行っているなかで「マイナス人勧が出されたが賃金闘争になかなか結びついていない」「新型コロナを理由に運動が進んでいない。原因は新型コロナだけではなく、自分と仲間の生活を守っていく決意がないから運動が進まない」という議論もありました。労働運動や自治労北海道の運動そのものが生活者として労働者として「生活を守るために運動をしていく」という意識が薄れてきていることを危惧しています。「自分の労賃が減らされてしまうことに何も思わないのか」という議論もありました。自分が労働者だという意識を持つことができていないんだと思います。一方で、職場のなかでは「雑談をする雰囲気ではない」「仕事がいそがしくて、金より休みがほしい」という仲間の思いや気分があることは間違いありません。 単組青年部の仲間と確定期の取り組み状況などやりとりしているなかでは「賃金に困っている仲間の思いに青年部・基本組織が向き合いきれていない」「人勧どおりでいくしかないという選択肢が現実的にあるにしても、もう少し姿勢を見せてもらいたい」「なんのために労働組合で運動しているのかモチベーションが下がった」という声を聞きました。 これらは新型コロナに関係なく、そもそも「労働組合・青年部の運動そのもの」「労働組合役員」の意識や目的が変化しているということが新型コロナ禍での運動や10年ぶりの賃金引き下げ勧告によって浮き彫りになったと感じています。 4. これからの新型コロナとの付き合い これまでは、アフターコロナ・ウィズコロナでの運動イコール「人が集まらないで何をするか」という感じでした。労働運動なのだから集まることは当たり前、膝を突け合わせて討論しなくては仲間の気分や思いはつかめない。それをいかに集まらないように「どうするのか」という視点ばかりでした。ですが、単組の状況や2020確定期の総括から考えていくと「何を大切にするのか」「何を目的とするのか」ということを仲間と一緒に考え、作り上げていくことが必要だと考えています。「春闘だから賃金」ではなく「エッセンシャルワーカーの自分たちがこんなにがんばっているんだから、労働力を再生産するために大幅な賃金引上げをめざしていくんだ」というように、労働者という意識や仲間の思い・実態から運動を進めていくことが必要だと思います。 2020人勧による一時金の引き下げ勧告により、賃金に不安を抱える仲間から声は出されていますが「人勧どおり」という言葉一つで終わってしまっているように感じます。青年部運動のなかで大切にする「仲間の声」と賃金闘争を労働組合全体で取り組む際の「条件闘争」という乖離から、組織に対する不満・不信感が生まれてしまっていることは否めません。何人かの仲間からも「2020賃金確定闘争で青年部の思いが基本組織に受け止めてもらえていない。人勧どおりで終えられてしまっている」「『人勧どおり』という状況があるのは理解するが、もう少しむき合って議論してもらいたかった」という思いを聞いています。前述していますが仲間の思いに寄り添うといった運動や意識になっていないことが、この状況を生み出してしまっているのではないかと思います。これからの労働運動で何を大切にしていくのかという大それたことを書くつもりはありませんが、これからの労働運動・自治労運動を担う・一緒にがんばっていく青年層の仲間からこのようなことを聞くと残念に思います。青年部が大切にしている「仲間の思い・実態」に目をむけることからはじめていきたいと思います。青年部でも、新型コロナの影響だけではなく、この間、運動の継承が十分ではなかったことから、効率やコストパフォーマンスを求めて、いろんなことが「簡単」にされてしまっている状況があります。新型コロナ禍の今だからこそ「何を大切にするのか」「何を目的とするのか」ということをたくさんの仲間と一緒に考え、作り上げていきたいと思います。 |