【自主レポート】 |
第38回地方自治研究全国集会 第11分科会 青森で探る「自治研のカタチ」 |
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1. はじめに 隠岐諸島は島根半島の北方、日本海に浮かぶ4つの島と他の小島からなる諸島です。隠岐の島町は4つの島の中でも最も大きな島である島後(どうご)に位置し、総面積は242平方キロメートル、人口約14,000人の町です。 この小さな島に伝統的に受け継がれてきたのが「隠岐そば」の食文化です。 「隠岐そば」は、つなぎを使わず、そば粉だけで作るため、箸上げが難しいほど、切れやすいのが特徴です。出汁は焼きサバから取り、薬味には岩のり、ねぎ、ゆず、いりごま等が乗せられます。冠婚葬祭や新年会など、人が集まるときには必ず振る舞われている隠岐の伝統料理でかつては、各家庭にそばを打つためのそば作りの道具があるほど、身近な味でした。 今回、隠岐の島町職員が行うボランティアは「窓ふき」と「隠岐そば」を配布するという活動です。 2. 年末ボランティア~窓ふき隊~ (1) 活動の趣旨活動自体は、独り暮らしのお年寄りが気持よく新年を迎えられるよう、年末に家の窓ガラスを清掃し、併せて「隠岐そば」を配布することです。 一年の終わりに大掃除をしたいけど体力等の理由からどうしてもできない…… そんなお年寄りの悩みを解決するため、このボランティア活動を行っています。 また一方では、私たちがボランティアに参加することにより、地域の方々とのコミュニケーションをとることができ、日頃の業務では見えない地域の困りごとなどを発見する機会にもなっています。 この活動は、JP労組や電力総連、農団労等、他産別や退職者会からもボランティアを募り、さらには、地元隠岐高校野球部員にも協力をお願いしています。野球部が参加してから15年以上が経過しましたが、社会人になってからも参加する方もおられます。 ◎活動実績
3. 2018年末ボランティア活動に向けて (1) そばの用意隠岐の島町職員組合壮年部では、そば畑を管理しており、草刈りの後、そばの実採集、そば打ち、全て一から作ります。
新鮮なそばをお年寄りの方に届けるために、ボランティア作業の実施日に合わせてそば打ちをします。昨年末は私も壮年部役員も初めての担当で、手探りの状態で準備を行ってきましたが、前任者の協力もあり、滞りなく進めることができました。 そば打ちは地元の方に手ほどきを受けて行います。他の産別組織からも毎年親子で多数の参加があり、日常生活の中では味わえない貴重な体験を親子で共有することができます。隠岐そばの特徴は、そば粉100%でつくり、口の中でプツプツとした食感が楽しめます。 出汁についてもサバから摂っており、味が濃く酒が進みます。 4. 2018年末ボランティア活動の前に 年末の忙しい時期であるにもかかわらず、多数の方々にボランティアとして参加していただいています。「予定を空けておくから実施日を教えてほしい」と熱心な方に聞かれたこともありました。訪問先については、毎年、居宅介護支援事業所の協力を得て、介護認定を受けている独り暮らしのお年寄りの家をリストアップし、作業班を編成していきます。 班編成も職場ごとには固めず、出来るだけ普段交流のない職員と交流ができるように編成しています。 いよいよ窓ふきボランティア当日、寒いですが、天気は見事な冬晴れ。出発式会場には100人を超える人が駆けつけてくれました。 班の準備が整ったら、訪問先に向かいます。もちろん、打ち立てのそばを手にして…… 班ごとに乗り合いで現場に向かいますが、当日になって初めて、どこに向かうかを知る方も多数おり、慣れない道を走りますので安全運転をするよう、呼びかけをしています。 訪問先に到着すると、家の外側、内側とまんべんなく窓ふきをしていきます。近年では女性の方が窓ふきをしながらお年寄りの方とお話しするので、私を含めた無口な男性陣にとっては助かります。 古い家特有のガラスの多さに心が折れそうになりますが、高校生の張り切って頑張っている姿を見るとそうも言っていられません。 「まだまだ若い者には負けない」とOBなど、ダンディな面々が、完了後のお年寄りの笑顔を糧に頑張ります。 窓ふきはつつがなく終了。 隠岐そばを渡すと、とても喜んでくれました。特製のサバ出汁付きです。 5. 2018年末ボランティア活動を振り返って 準備の段階ではどうなることかと不安でしたが、無事終えることができました。大勢の方々と、一つの目標に向かって取り組むことができる活動は、縦のつながり、横のつながりを再認識する上で、大変貴重なものとなっているように思います。 巷では人間関係、社会環境のちょっとした歪みから起こる事件が後を絶ちません。 こうした小さな親切隊の積み重ねが、ひょっとしたら、そんな社会を変えてくれるのではないでしょうか。 色々なものが希薄になっているこんな時代だからこそ、隠岐の島町職員組合としては、いつでも人の「そば」に寄り添った活動ができるよう心掛けていきたいと思います。 |