【自主レポート】 |
第38回地方自治研究全国集会 第12分科会 昨日までの働き方…ちょっと立ち止まって考え直してみませんか? |
現場で「公務労働拡大」に取り組み、20数年間の実践の中で縦割り行政から、部局を越えた横の繋がりを持てる行政、そして、組合員の意識改革へと繋がってきました。そうした改革・実践の中から、現場力を活かした災害時災害後の対応や、感染症拡大の緊急事態での迅速に行える体制を構築し、こうした「公務労働拡大」の考え方を今後も継承していくことで、市民から必要とされる存在感のある現業職の確立をはかります。 |
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1. 公務労働拡大の経過について 福山市職員労働組合連合会が、1997年以降公務労働拡大に取り組み23年が経過します。公務労働拡大の議論をはじめた当時は、全国的に現業職場の民間委託化が進められる状況にありました。こうした中で、自治労が現業活性化の提案を示して以降、自らの業務の不効率な部分を見つめ直し、市民サービスの向上の視点に立った業務を確立すること、この現業活性化こそが現業職場にとって有効な運動であり、現業職場に対する合理化攻撃に対抗する唯一の対応策であることを確信しました。そして、日々の業務の中で市民ニーズを捉え、現場で発想し企画立案から実施・完了までを行う福山の現業活性化である「公務労働拡大」に取り組んできています。そして、この取り組みは、清掃職場は収集だけではなく除草や樹木伐採、学校技術員は学校だけにこだわらず保育所や公民館へ、それぞれ自分たちの業務の領域を拡大させながら実績を積み上げてきました。また、お互いの職種を超えて共同で業務を行うことで、横の繋がりが深まり効率的・効果的な業務を行うことができるようになりました。そして、なにより大きく変化があったことは、組合員の意識改革につながったことにあると思います。業務をやり切ったとき市民からも喜ばれ、それが達成感となり、組合員一人ひとりのやる気・やりがいにも繋がったことです。 このような実践から幅広く業務を行うことで、当局の考え方も大きく変わり、現業職場の必要性・重要性についても理解を示し、退職者の完全補充にはいたらないまでも新規採用にも繋げることができています。 2. 豪雨災害での対応 (1) 現業職員の災害対応への位置付け(2019年9月時点:災害対応マニュアル)この間の公務労働拡大の取り組みから、一つの現場に対して労働安全衛生の視点を持ち「どのような器具・機材が必要か」「安全に効率的な作業はどうすべきか」など、現場で考え実施することにより、さまざまな知識と技術を身につけることができました。こうした現場力は、災害時においても同様に迅速な対応へと繋がっています。 現在、教委ブロック(学校技術員)、環境センター(清掃職場)を中心とする現業職場は、災害発生時の対応として、各地域に点在する教委ブロックと環境センターは地域の災害対応を行う支部班(7教委ブロック・5環境センター・神辺建設産業課)、災害廃棄物の対応等の事後対応班(環境総務課・廃棄物対策課・環境施設課・環境啓発課・南部環境センター)に位置づけられています。また、発災時の緊急な要請に対応するために、本部のある総務班に機動部として現業職員19人(安全厚生課・教育総務課・廃棄物対策課・中部ブロック・南部ブロック・南部環境センター)が位置づけられた地域の各支部班と連携し、本部からの指示に基づき倒木の撤去や土嚢運搬などの緊急を要する対応が行える体制をとっています。 (2) 福山市域における7月豪雨災害 福山市では、2018年7月5日未明から断続的な降雨があり、5日8時8分には大雨注意報が発令、12時38分に大雨警報発令、この時点で機動部に対し待機指示、そして、7月6日21時37分、大雨特別警報が発令される事態となりました。福山市域の降水量は、降りはじめから24時間雨量248mm、48時間雨量364.5mm、72時間雨量392.5mmと観測史上初の降雨量を記録することとなり、河川の決壊・氾濫などにより浸水面積約2,000ha、浸水被害棟数2,194棟のうち床上浸水1,301棟、床下浸水893棟となりました。また、ため池の決壊により幼い子どもの命が奪われるなど、これまでに経験したことのない記録的な大雨に襲われました。 大雨特別警報発令後、機動部全職員・各支部班が招集され浸水地域の車両誘導、通行止めバリケードの設置、氾濫区域の避難の呼びかけ、土嚢づくりと運搬、市民への配布など、夜を徹しての対応となりました。 災害後、清掃職場では通常の定期収集を行いながら、市道の崩土の撤去や浸水地域などの被災ごみの把握を行い、神辺建設産業課は、道路を封鎖している土砂の撤去などの対応に追われました。また、学校技術員は各学校の被災状況の把握、通学路の土砂崩れ、倒木などの被害状況の確認を行い、中学校の裏山が土砂崩れによる学校敷地内への土砂の流入と放課後児童クラブの床上浸水を把握し、優先的に土砂の撤去、放課後児童クラブの床の張り替えの作業を行いました。
(3) 予想を超える被災ごみ 災害後、環境部には、被災ごみの問い合わせが後を絶たず、被災ごみの仮置き場の確保が急務となっていました。そして、浸水地域を中心に被災ごみの状況把握を行い、各自治会(町内会)を通じ、仮置き場の確保を進め公園を中心にグランドや私有地などさまざまな場所が仮置き場に指定されました。また、仮置き場もはじめのうちは数カ所だったものが、日を増すごとに増加し、最終的には全市で99カ所にもなる膨大な箇所数となっていました。 この仮置き場に集められた被災ごみを市内にある5つの環境センターで対応することとなりますが、通常の定期収集を止めることはできず、定期収集と土砂の撤去、被災ごみの収集を同時進行で進め、定期収集を終えた後に被災ごみを収集するという状況でした。このような状況から1日で仮置き場にある被災ごみすべてを収集し片付けることはできず、収集した翌日には元の量に戻るということの繰り返しでした。こうした状況に清掃職場だけでは収集の目途が立たず、この被災ごみを数カ月も放置することにより、猛暑が続く暑い時期に臭いや害虫等も懸念され衛生的にも悪く、地域住民の生活に悪影響を及ぼすのではないかといった声が組合員から出はじめていました。 (4) 共同での収集体制の構築 こうした組合員の声を組合として当局に伝え、一日も早く片付けることが市民サービスのためにも必要であると考え、公務労働拡大で培ってきた横の繋がりを活用し、清掃職場と学校技術員と共同での収集体制を構築することを提案しました。環境部当局も教育委員会当局もこれまでの業務での繋がりもあったことで、お互いに状況を理解し、緊急事態であることから、通常業務に優先順位をつけ、地域住民のために最優先は被災ごみの撤去であることを共通認識とし実施にむけて動き出しました。そして、現場の学校技術員の思いも清掃職場だけではなく現業総体で考えるべきであると実施にむけて現場の思いも一つになりました。 これまでの収集作業の状況は、集められた被災ごみをそれぞれの品目に分別をして、収集車に積み込むという流れで作業を行っており、こうした流れの中で分別という作業の工程が収集の効率を悪くしている要因でした。 その後の共同での収集体制では、それぞれの仮置き場ごとに班体制を組み、主には学校技術員が分別、清掃職場が収集するといった役割分担を行い、その中心に職責を持った次長職が現場状況を確認しながら指示を出すことで、作業の効率も大幅に改善することができました。しかし、平日だけでは、収集が追いつかないことから、定期収集のない土・日曜日を活用し作業に当たることで、収集量も増え仮置き場を一つずつ片付けることができるようになり、また、市内の委託業者からも支援をいただき、当初、2~3カ月の回収完了見込みが1カ月で完了することができました。 そして、当時は7月の猛暑日が続く中での作業で、一番注意していたのが熱中症です。各現場で次長職がリーダーとなり、お互い声を掛け合い現場の職員の状況を確認しながら、こまめな休憩と水分補給を行うことで、熱中症で倒れる職員も出すことなく終えることができました。このことも公務労働拡大を通じて、培った労働安全衛生の重要性や経験があるからこそだと思っています。また、作業中にも地域住民からお茶などの飲み物の差し入れや、労いの言葉や感謝の言葉も多く寄せられました。このように、住民に対しても行政として責任を果せたことは大きな成果であったことと同時に、今後の現業職の必要性・重要性を強く住民に対してもアピールができたこと、そして当局にも現場力を示すことができたことも大きな成果だと感じています。 今回の被災ごみへの対応は、住民の生活をいかに早く正常に戻すかが求められてきました。この取り組みがなぜできたのかということを考えたとき、公務労働拡大は、一つの業務・現場に対して、「現場で考え・現場で実践する」このことがスピード感をもった対応ができたこと。そして、この間の公務労働拡大を通じて、現業全体の横の繋がりを持ち連携できる組織を構築してきたこと、こうしたことが大きく影響しています。また、現場だけではなく、当局も同様に、この23年間で公務労働拡大を通じ、現場との関りを持つ中で知識の積み上げがあったからこそ、当局と現場が共通認識に立ち思いが一つになったことで対応できたと考えています。
3. 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態の対応 (1) 新型コロナウイルス感染拡大の状況と自粛要請について① 全国の対応 2020年1月には世界規模で感染が広がりつつある中で、国内初の新型コロナウイルスの感染者も確認されました。そのような中、政府は2月26日に「この1~2週間が感染拡大の防止に向けて極めて重要であることを踏まえ、多数の人が集まるような全国的なイベント等の中止や延期又は規模の縮小等」の自粛要請をする事態となりました。 翌日には、学校の全面的な臨時休校措置も取られ、感染拡大を防止するために3月2日から春休みまでの期間とされました。その後、4月に入り、国内外で爆発的に感染拡大となり、政府は国民生活や経済に甚大な影響を及ぼす恐れがあることから4月7日に緊急事態宣言を7都府県(東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県・兵庫県・大阪府・福岡県)を対象に5月6日まで外出の自粛をはじめ、学校の休校や施設の使用制限などの要請を行いました。 その後、感染拡大は猛威を振るい毎日増加傾向にあり4月16日には緊急事態宣言を全国に拡大することとなり事態は収束の兆しが見られることもなく、4月末には緊急事態宣言の期限がせまる中、国民の不安は解消される状況とは到底いたっておらず、政府は5月4日に5月31日まで再延長することを決定しました。 ② 福山市の対応 福山市においても、政府の2月28日の要請に基づいて、3月2日より、市内すべての小中学校、義務教育学校、福山市立中・高等学校を臨時休校とし、期間は春休みまでとしました。しかし、保育所・幼稚園・放課後児童クラブについては通常利用となっていました。県内では3月の感染者は6人と爆発的とはなっていないことから、4月より学校が再開することが決定されました。 福山市では、4月2日に初めての感染者が確認され、毎日感染者が確認される状況となり、3日1人、4日1人、8日2人と少しずつ増える状況となっていました。そんな中、小中高等学校は感染拡大防止の措置を講じることとし、始業式・入学式を行いました。しかし、4月1日から2週間で県内の感染者は50人を超えるなど、2週間で状況は一変しました。学校が再開されましたが感染拡大となり1週間で再び4月15日から5月6日まで休校となりました。県内においても、感染者が増え続ける状況となり4月末で159人の感染者が確認され、その内、福山市の感染者は22人まで増加することになり、5月6日の解除にはいたらず、5月末まで自粛要請が続き学校も休校となりました。 日々刻々と状況が悪化し、さらに先行き不透明な状況となり、このような緊急事態の中、「現業職場でどのようなことができるのか。何が課題なのか。」現場を熟知した現業職員と当局が一体となり知恵を出し合いながらこの難局を乗り越えなければならない状況となりました。 (2) 緊急事態時の学校給食職場の対応 こうした全国的な情勢の中で福山市内の学校は臨時休校となり、学校現場での業務に大きな影響が生じることとなりました。学校給食業務については、給食の提供が完全に止まることとなり、本来業務が行えない状況となってしまい、正規職員の業務のあり方や会計年度任用職員の雇用にも大きな影響を与える状況となっていました。休校となる約1カ月間の業務をどのように確保するのか、会計年度任用職員の雇用をどのように守るのかが大きな課題となってきました。ここ数年、給食現場では会計年度任用職員がいなければ、給食の提供が行えない体制となっていました。会計年度任用職員の雇用を保障しなければ生活に大きな影響があることは間違いなく、また給食が再開された時に雇用が保障されていなければ体制が整わず給食も提供できない状況となるのではないか。こうした課題に対し早急に当局と協議を行い、課題解決をはかることが求められました。 ① 学校内の環境整備 当局としては、正規職員の業務のあり方については、これまでも、夏期休業中に共同作業などを実施してきました。例えば、学校技術員とともに学校の廊下などの壁面塗装や、床の清掃など学校の環境整備に取り組み年数を重ね、給食士だけで実施も行ってきています。こうした実践を積み重ねてきた経過もあり、今回の緊急事態にも即座に公務労働拡大の視点から何ができるのか、業務をどのように築いていくのか、時間はかかりませんでした。給食士全職員で取り組んだことは、自分たちの給食室の清掃を行い、普段はできない箇所をすみずみまで行うこととしました。 ② 幼稚園搬送給食 学校給食職場では幼稚園の給食提供にも取り組んでいます。「食教育」の視点から1992年より「すべての子どもたちに食の保障を」バランスのとれた栄養豊かな食事を確実に提供することを目的に取り組んでおります。 政府は2月28日に自粛要請を出し学校は休校となりましたが、福山市の幼稚園は休園対象になっていませんでした。幼稚園給食の提供は、「食の保障」の視点から給食の提供をどのような方法で提供するのかが課題となりました。学校給食と一緒に提供するのであれば問題はありませんが、幼稚園だけの提供となれば学校の給食施設では、1校1園での対応は小学校との食数があまりにも違いすぎること、幼稚園の50食程では釜などが大きすぎて、作業効率が悪いことなどの課題がでました。 効率的・効果的な考え方として、1校の給食施設で100食以上つくることができて、搬送時間も15分から20分程度の距離となるような調理校を選定することで課題を解決できると考えました。福山市の幼稚園は全9園であり、食数は概ね400食となっています。全9園分の給食を5園250食、4園150食と振り分け、所要時間を15分程度の範囲の小学校2校を調理校として選定し、調理後搬送する方法で実施することとしました。 こうした課題を当局と給食士のこれまでの経験をすり合わせ、食材業者等の調整を行った結果、政府の自粛要請から6日後には協議も整い、実施期間については3月5日から春休みまでの期間となりました。また、4月から学校が再開されましたが、再び15日から休校となった時は、迅速な対応を取ることができ、4月15日から5月1日までの期間も同様の対応としました。 このような対応ができたことも、2020年9月全校実施となる中学校給食において、親校方式として2016年から親校の小学校で調理後、中学校へ搬送する方法で給食を提供しており、こうした取り組みの経験がこのような緊急事態にも迅速に対応することができたと実感しております。 ③ マスクの作製業務 幼稚園への給食提供も全職員の業務量はなく、残りの職員に対しては、今後マスクが不足する危惧があることから、当初は調理業務で必要な自分たちのマスクの作製を行っていましたが、3月末には4月から学校が再開することが決定されており、子どもたちが登校する際はマスクの着用が推奨されたこともあり、子どもたちに配布する児童用マスクの作製を行うこととしました。当初は給食士だけで、マスクの作製を行うこととしていましたが、学校現場は学校技術員も関わりがあり、学校技術員とも共同で作業をすることで、より多くのマスクを作製し、学校の再開にむけて準備を進めました。 こうした緊急事態に労使が共通認識に立ち市民ニーズを最優先に考えることで、学校給食の全職員(正規職員・会計年度任用職員)の業務の確立や雇用を守ることに繋がりました。
(3) 緊急事態時の学校技術員の対応 ① 学校技術員の体制について 学校技術員は、拠点校方式11ブロックで本来業務の学校をはじめ、公共施設の維持修繕・環境整備を行っています。各ブロックでは、ブロック長(次長)、副ブロック長(主査統括)が配置され、指揮・命令系統を明確にするとともに、スタッフ制(業務の横断的対応)が導入されています。そして、学校技術業務は、多種・多様な業務を行うことから現場で経験したことを活かし、副ブロック長が研修担当者として新規採用者や会計年度任用職員に対し、労働安全衛生面や技術面の向上を目的に研修が行える体制も構築してきています。さらに、各ブロックに広域担当者として、優先度の高い新規業務を中心に、ブロックでの対応が困難な業務と技術力の向上にむけた対応が取れる体制も確立してきました。 ② 飛沫防止アクリル板等の作製 新型コロナウイルスの緊急事態宣言を受け、本庁や各支所の窓口業務を行ううえで、市民が窓口に相談等で来庁した際に、窓口業務を担当する職員と市民との間隔は至近距離となり、飛沫感染する恐れがありました。このような状況から窓口業務を行う職員が感染のリスクが高いことから、窓口業務を担っている職員からの要望が組合に届き、そして当局側の総務課からも感染防止策を講じる必要があることから、窓口にアクリル板の作製と設置について教育委員会を通じて学校技術員に依頼をうけました。協議を行った結果、職員と市民の飛沫による感染リスクを最小限に抑えるため、優先度は高く早急に対応すべきであるという結論にいたり、各ブロックの研修担当を中心に広域担当も活用しながら翌日には作製に移りました。 現在、市民の訪れる窓口には学校技術員が作製したアクリル板が設置され、職員も安心して窓口の相談業務に従事しています。
(4) 緊急事態時の清掃職場の対応 清掃職場では、新型コロナウイルス感染拡大に伴って、緊急事態宣言が出されて以降、市民の外出自粛が続き、家庭ごみの排出量が増加傾向にありました。平日でも通常時の約1.5倍、ゴールデンウィークの連休明けには通常時の約2倍のごみが出され、ごみステーションに入りきらず、あふれている状況にありました。こうした状況においても、感染リスクを抑えた時差出勤での変則勤務の中ではありましたが、応援体制を組み収集することができました。 しかし、ごみの中には使用済みのマスクなども含まれ、ごみを介しての感染リスクも懸念される中での収集となり、組合員自体にも不安もありました。こうした状況で、全国的に広がった、「このような状況の中、作業員の方に感謝! 収集していただき、ありがとうございます。」というような市民からの感謝の手紙が現実に見られるようになり、職員への励みになっていたように思います。また、「公務労働拡大」の実践を糧に自信と誇りを持って公共サービスを守り維持することができたと実感しています。
4. おわりに 豪雨災害や新型コロナウイルス感染症のような災害級の非常時には、市民ニーズへの迅速な対応が求められています。だからこそ、いかに災害時・緊急時に現業職としての現場力を発揮し、市民の生活を保障できるかが問われているのだと思います。2018年7月豪雨災害時の被災ごみの収集体制や新型コロナウイルスによる飛沫防止のアクリル板の製作、マスクの製作など、部局を超えて新たな業務を実施しようとしたとき、平時のように課題を洗い出したり、解決にむけて丁寧に協議することが困難となり、実施自体が遅れてしまうことも多くあります。 こうした状況に対し、現業職場では、この間の公務労働拡大の取り組みにより、ある程度、部局を超えて連携できる基盤が構築されていることや、市民サービスの向上が第一優先であるという共通認識に立っていること、そして、現場が主体性を持ち「まずはやってみる」といった、公務労働拡大がスピード感に繋がり、結果、市民サービスの向上につながっていると思っています。しかし、公務労働拡大を実施して23年が経過する中で世代交代も進み、その考え方が必ずしも浸透していない状況があるのも事実です。また、公務労働拡大を本来業務に位置づけ23年が経過した現在でも、現業職の情勢は厳しい状況に変わりはありませんし、その当時と比べ職場の体制や現業職員の人数の減少などにより、新たな業務が実施しにくい状況もあります。 公務労働拡大こそが、どのような緊急事態にも対応でき、市民サービスの維持・向上に繋がるものであると考えていますので、今後もその考え方自体を変えることなく、継承していくことが、市民から必要とされる存在感ある現業職として確立できるものと思っています。 新型コロナウイルスの第2波、第3波の感染拡大が懸念されている状況や、今後どのような災害が発生しようとも、公務労働拡大を23年間実施した私たち現業職には、いかなる緊急事態にも対応できる現場力が備わっていると確信しています。 |