1. はじめに
2005年1月1日に松阪市、嬉野町、三雲町、飯南町、飯高町の1市4町が合併し、新しい「松阪市」が誕生して3年が経過しました。
市町合併と同時に職員組合も合併し、新しい「松阪市職員組合」として活動を行っています。
私たち松阪市職では、市民と一体となった自治体づくりを推進することを運動の基調としており、合併以前の職員組合で培ってきた地域との連携を重視し、職場と地域を結ぶ活動を重要課題として取り組んでいます。
2. 市職自治研集会の開催について
(1) これまでの取り組み
旧松阪市職では、様々な地域の行政課題を市民と共に考え、学び、議論を行い、今後のあるべき方向を探っていくために地方自治研究集会を開催し、合併までに40回に渡り実施してきました。
この取り組みは合併後も継続しており、「防災」「環境」「観光」といった身近な行政課題をテーマとして取り上げて開催しました。
集会では、テーマに応じた分野で活躍されている方々を講師に招き、基調講演やパネルディスカッション、行政や現場からの報告を行っています。
また、集会への参加者対象は、自治会、社会福祉協議会、老人クラブ、PTA、商工会議所、商店街、農業協同組合、森林組合、広域消防組合、市議会等に呼びかけを行い、広く市民にも参加を求めています。
開催年度
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内 容
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第41回
(2005年度)
10月15日(土) |
テーマ「災害に強いまちづくり」~地域防災力の向上を目指して~
○基調講演
・講師 神戸市長田区役所
人・街・ながた震災資料室 代表 清水 誠一 さん
・演題 『阪神・淡路大震災10年』
神戸・長田から~「できたこと、できなかったこと」
○講演(活動報告)
・講師 三重県 防災危機管理局 地震対策室
緊急支援グループ 専門監 橋村 清重 氏
・演題 「三重県の地震防災対策について」 |
第42回
(2006年度)
10月7日(土) |
テーマ「自然と人・地域の活力が好循環するまちづくり」
○基調講演
・講師 三重大学人文学部 講師 岩﨑 恭彦 氏
・演題 環境・経済・社会の総合的な向上と新環境基本計画
-今後の環境政策の展望と自治体・事業者・住民の役割
○講演(活動報告)
・講師 三重中京大学 客員研究員 若山 幸則 さん
・演題 ゼロ・ウェイスト政策について
~徳島県上勝町の事例を中心に~ |
(2) 2007年度第43回自治研集会について
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【2007年度第43回自治研集会】
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2006年12月20日、松阪港と中部国際空港セントレアを結ぶ海上アクセス「松阪ベルライン」が就航し、松阪市には世界から南三重への玄関口としての役割が加わりました。
2007年10月に開催した自治研集会では、「観光・交流のまちづくり」をメインテーマとし、行政と市民の立場から、従来の団体型観光からのニーズの変化に対応できる人と人のつながりを大切にした新しい観光や、松阪市の魅力の発見と発信について考えることを目的として開催しました。
これまでの集会同様、市内各種団体に参加を呼びかけ、団体・市議会から27人、市管理職・組合員合わせて94人、合計121人が参加し、講演とパネルディスカッションを実施しました。
集会前の9月に松阪市が制作委託を行った観光情報番組が放送され、その番組を制作したCBCテレビプロデューサーの藤井稔さんを講師に迎え、『商都・松阪の懐の深さ』と題して、番組づくりの視点から松阪市の観光について講演をいただきました。
一般的な観光スポットの紹介ではなく、市民との関わりから松阪市の魅力を発見していく番組内容の映像も使用しながら、取材中の市民とのやり取りについて紹介され、番組スタッフの行動の先を読んで対応する市民の対応への驚きと、その後、局で松阪を取り上げる番組が増えたことなども報告されました。
また、「観光」という言葉にはそこに暮らす住民の生き様が反映され、住民が楽しんでいるからこそ、その楽しさに魅かれて人が集まり観光客となるものであり、地域住民と観光客の交流がこれからの観光には重要な要素になると考えました。
そこで、松阪市の観光のあり方について、今、地域で生活し活動する人々を迎えて、パネルディスカッションを行いました。
自分がもう一度訪れてみたい思い出の場所や、松阪という地域にはどのような資源があるかについて、行政、商業、住民の立場から参加されたパネラーの方々からは、心のこもった案内を受けた旅先の思い出や、誰も気にも留めていなかった「松阪撫子」という松阪発祥の花を取り上げたイベントの経過などについて発言されました。
三重県全体で年間4,700万人、伊勢志摩地域には1,300万人が観光に訪れているとされ、この観光客の視点に立って、地域住民が動き、行政のサポートが求められています。私たち行政で働く者には「住んで良し、訪れて良し」という交流を重視した観光の観点から、市役所に行きたいと思ってもらえるような努力が要求されているという提言をいただきました。
2007年度 第43回自治研集会 開催要項
1 目 的
地方自治を取り巻く環境は、地方分権一括法の制定により国と地方が「対等・協力」
の関係に改められ、行政と市民の関係など自治体行政全般にわたる改革が求められて
います。
こうした情勢において、私たち松阪市職では、様々な地域の行政課題を市民の皆様
と共に考え、学び、議論しながら、今後のあるべき方向を探っていくための地方自治
研究集会を開催します。
今年度は、「観光・交流のまちづくり」をテーマに、従来の団体型観光からのニーズ
の変化に対応できる人と人のつながりを大切にした新しい観光や、松阪市の魅力の発
見と発信について考えます。
2 主 催 自治労松阪市職員組合
3 日 時 2007年10月13日(土)13時30分~16時35分
4 場 所 松阪市産業振興センター(松阪市本町2176番地)
5 テーマ 「観光・交流のまちづくり」
6 参加人数 121人(内 組合員79人)
7 参加団体
松阪市自治会連合会、松阪市観光協会、松阪市、松阪市議会、松阪地区広域消防組合
松阪市を美しくする運動推進本部、三重県地方自治研究センター
自治労三重県本部、連合三重松阪多気地域協議会、松阪市水道労働組合
8 日 程
13:00 受付
13:30 開会
13:45 講演
講師 中部日本放送株式会社テレビ制作局生活情報部課長
藤井 稔 さん
演題 『商都・松阪の懐の深さ』
~CBCテレビ・9月22日放送
「魅力たっぷり!松阪 美味し楽し旅」を制作して~
14:45 休憩
15:00 パネルディスカッション
コーディネーター 岩男 安展 さん
パネラー 大森 久 さん、西井 静男 さん
岡 みどり さん、松本 浩 さん、土岐 知良 さん
16:35 まとめ・閉会 |
3. 地域行事への参加
(1) 松阪鈴おどり
「松阪鈴おどり」は、本居宣長(松阪出身の国学者)の没後200年顕彰事業「宣長さん200年」の際に本居宣長がこよなく愛した「鈴」をテーマとして、世代、性別、地域などあらゆる壁を越え、子どもから高齢者まで誰もが踊れる踊りとして創作されました。
この事業は、夏の「松阪祇園まつり」の最後を飾る1,000人踊りとして2001年から開催されており、年々各自治会、福祉施設等各団体にも受け入れられ、大きな踊りの輪として広がってきています。市職も立ち上げ時から毎年ボランティアスタッフとして参加し、今では連合地協の活動にも位置付けられています。
当日は、100人を超える地域の労働組合員がスタッフや踊り手として参加し、市職でも青年部が中心となって踊りの各グループの先頭に立つプラカード持ちや会場の警備などを行い、現業評議会では踊りに参加して祭りを大いに盛り上げています。また、終了後には会場周辺の清掃作業を実施しています。
(2) 嬉野おおきん祭り
「嬉野おおきん祭り」は、『ありがとう』を意味する『おおきん』という方言をテーマにした嬉野管内最大の祭りで、御輿コンクール、おおきん屋台、盆踊り、フィナーレを飾る花火などが行われます。
青年部では、各地域の諸行事に積極的に参加することで、交流を深め、お互いを知り、たくさんの価値観を共有することがこれからの松阪市の基盤になっていくとも考え、祭りの裏方としてごみの収集・運搬や警備スタッフとして参加しています。
(3) 松阪こどもまつり
市教育委員会が主催する、遊びを通じて子どもの健全育成を図る「松阪こどもまつり」に、幼保部が運営の一員として参加しています。
本年は45人の組合員が参加し、春の青空の下、市内公園の芝生広場で子どもとのおもちゃづくりやステージでの食育劇の発表、保育園給食のレシピや保育園紹介冊子の配布を行い、訪れた子どもや家族とともに楽しい時間を過ごしました。
(4) 氏郷まつり
松阪開府の祖、蒲生氏郷の遺徳を偲び、また市の発展を願って毎年文化の日に開催される「氏郷まつり」は、馬上の蒲生氏郷公を中心とする「武者行列」が一番の呼び物であり、商店街などはお祭り広場として賑わいます。このまつり終了後にも松阪鈴おどりと同様、会場となる松阪駅周辺商店街の清掃作業を実施しています。
4. 今後の活動
松阪市職員組合では、以上のような自治研集会の開催や各地域で開催されている諸行事に積極的に参加することで地域の方々とのふれあいや論議を行い、地域に密着した組合活動を展開することに主眼をおいて活動を行っています。
また松阪市においても、これからのまちづくりには「市民との協働」が不可欠となってきており、市民が主体となってそれぞれの地域の個性に応じたまちづくりを行う仕組みである「地域マネジメントシステム」を推進しています。
この「地域マネジメントシステム」は、地域自治と地域コミュニティの復権を重点課題に、都市内分権と住民自治の拡充を図り、広い市域の隅々にまで血が通い神経が行きわたった市政の仕組みとして旧松阪市が取り組んできたものであり、合併後も地域の歴史、文化、伝統を生かし、、各地域が活性化するための鍵となりうる重要なシステムとして位置付けられています。
私たち市職においても、これまで以上に地域のことを学習し、身近なところに問題意識を持ち、地域活動に貢献していかなければなりません。地域との連携をさらに重視し、住民・自治体・各種団体等と一体となって協力し、活動を広げ、交流を行うことで、松阪市全体が活性化していくことを切に期待し、今後も『地域と協働する組合活動』に取り組んでいきたいと思います。
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