【自主レポート】 |
第32回北海道自治研集会 第Ⅰ-②分科会 立ちあがれ自治体職員! ― 地方自治の可能性を探る ― |
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「岩内の雪は横から降る!」そんな表現がされる程、我が町の冬は厳しく長い。荒れ狂う日本海と巻き上がる地吹雪、北西からの浜風により降る雪は真横から吹き荒ぶ。そんな厳冬期にも自然の恩恵によって賑わう場所がある。 |
午前11時いよいよ「かまくらカフェ」オープン!「温かいココアをどーぞ!」「カフェオレ・ホットミルクもありますヨ~!」「もちもちボールお一人1個です。」皆、馴れたものである。「どーぞ、かまくらに入って休んでってネ。」イベントならではの気さくな声掛け、スタッフもお客さんも自然と笑顔が溢れる。初めてかまくらを目にする子ども達も多く、かまくら内のベンチに腰掛けニコニコ顔でココアを飲んでいる。なんとも微笑ましい姿だ。チューブスライダーは男の子達に大人気! 最後の飛び出しジャンプが楽しいようだ、チューブを片手に順番待ちの列が出来る。スタッフが安全のため張り付いているのだが、自然と父兄の皆さんがお手伝いをしてくれる。「きちんと順番守れよぉ。」自分の子どもだけではなく、他の子達にも同じように接してくれる。お陰で事故や怪我もなく一安心。温かい飲み物と温かい雰囲気が心地よい空間を作り出す。午後にはほとんどのメニューが売り切れ、大盛況のうちに午後2時かまくらカフェは閉店となった。 小さなスキー場の小さなイベントであったが、冬場のコミュニティでの子ども達とのふれ合いを通じ、関わったスタッフがスキー場の存在意義を改めて再確認することが出来たはずである。大規模なスキーリゾートとはひと味違うローカルな雰囲気と、眼下に日本海を見渡せる素晴らしいロケーションを最大限に活かし、スキー場というフィールドにおいて北海道ならではのスキー・スノーボード・かまくら作り・雪だるま作りなどの冬の文化を体感し、多くの人々と関わり交流する事で、長く厳しい冬を明るく楽しく過ごす冬に転換する事が出来るはずである。たとえリフト一本でも地域ぐるみで盛り上げるスキー場。小さなスキー場でも関わる人々の努力次第で賑わいを取り戻せる! 期待が確信に変わるイベントであったと感じている。子ども達が子どもらしく伸び伸びと遊び、家族が一緒に楽しめる空間というのは地域にとって貴重な財産である。その財産を活かすも殺すも地域の関わる人々の知恵と行動力(当然お金も…)に左右されるものである。関わる人々の裾野を広げる事で、民間、公共、ボランティアそれぞれの知恵と行動力を活かし、その効果は何倍にも膨らむはずである。財政難で休止に追い込まれる小規模なスキー場が多い中、生き残りの道を模索する我が町のスキー場。我々組合員(自治体職員)は今後どのような形で地域のスキー場に関わっていけるのだろう? 時としてと皮肉を込めて「役人」と呼ばれる事がある我々だが、単に「役所に勤めている人」という意味の役人ではなく、地域にとって「役に立つ人」でありたいものである。民間スタッフ・民間ボランティアとの協働により実現した今回のイベントはスキー場運営だけに限らず、あらゆる公共サービスにおいても共通するモデル的なスタイルではなかろうか? 官民協働が叫ばれる昨今、口で言うは容易いが、行動を伴って初めて真の協働と言えるはずである。来シーズン以降も官民ボランティア隔たりなく、文字通り雪だるま式に関わる人々を増やしながら継続して開催できる事を願う。 |