【自主レポート】 |
第32回北海道自治研集会 第Ⅰ-③分科会 雇用の質と公共・行政・労組の役割とは |
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1. 橋本知事の4期目選挙公約によるアウトソーシングの推進 (1) 2005年10月に示された基本方針 (2) アウトソーシング推進の財政的背景と庁内・検討委員会での議論 |
アウトソーシングの基本方針(4つの目的) ○県民サービスの質の向上 ○民間との協働による人材育成、雇用創出 ○県民の参画、地域の活性化 ○県庁の自発的なスリム化 |
2. 外部委託と人員削減はどのように進んだのか 上記1を受け各部局で人員削減27%(アウトソーシング30%実施すれば、うち1割の3%は管理監督業務として、県業務として残ると試算)が命題化され、外部委託実施計画を策定し、順次アウトソーシングが行われてきました。 (1) アウトソーシングが行われてきた主なものは以下のとおり (2) 非正規(非常勤)職員業務の削減も推進 3. 外部委託によって県民サービスの質の向上は実現されたのか (1) 低下した県民サービスの事例 |
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橋本大二郎知事らが障害のある子どもを持つ親らの思いを聞く意見交換会が19日夜、香美市土佐山田町の中央公民館で開かれた。約60人が参加し、県内の入所施設の問題点や日常抱えている不安などについて訴えた。 |
③ 試験研究機関における問題点 (2) 偽装請負と直接雇用義務の問題 |
・請負労働者の場合、労働基準法が適用されないため、派遣労働者と比べて顧客が作業員の身分に注意する必要はなく、生産効率の低い作業者は容易に交代させられるため、顧客は派遣契約をしたがらない傾向が強い。 ・派遣期間制限に抵触する日(3年)を超えて派遣スタッフを受け入れようとする、あるいは受け入れた場合、派遣先(県)に直接雇用の申し込みが義務づけられます。 |
請負と派遣の一番の違いは、「現場で働く労働者への指揮・命令を誰が行うか」ということになります。派遣では、派遣先(県)の職員が行うことができますが、請負では雇用元の請負会社が行い、現場で派遣先(県)職員が指示を出すことはできません。 (3) 押し付けられた数値目標のなか問題が発生している 4. 民間との共同による人材育成、雇用創出は実現されたのか (1) 外部委託による雇用創出 (2) 問題点 |
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2007年12月に尾崎知事になったことと、全国でも、「ネット難民」「格差社会」「ワーキングプア」等が社会問題となるなか、当局の姿勢も変わり始めています。この1月に行われた副知事交渉のなかでは「難しい問題はあるが、従前(非常勤雇用時)の労働条件で雇用されるよう企業にお願いする」と回答がされ、また県議会答弁のなかでも知事から「不都合があれば、直営にもどすことも含めた対応をする」とされるなど、その姿勢は少しずつ変わっています。 |
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しかし、実際は、この2008年4月にアウトソーシングされた試験研究機関で雇用された元非常勤職員の賃金水準は大きく下がることになっています。 《2008年4月 試験研究機関の民間企業に再雇用された非常勤職員の例》 N試験場 月額:128,400円(時給換算1,003円) → 時給:730円 S試験場 月額:141,600円(時給換算1,106円) → 時給:800円 副知事が約束した「従前の労働条件で雇用してもらう」ということは、履行できていません。その一番の原因がこうした請負契約は随意契約で行うことができず、最低制限価格を設けることもできません。そのため、競争入札のなかで民間企業同士が叩き合いを行い落札せざるをえない(ダンピング)ためです。 《N試験場の例》
5. 今後の取り組み 3年間のアウトソーシング計画が終了したことにより、今後は大規模な外部委託は想定されていません。しかし、これまで行われたアウトソーシングによる県民サービスの低下を許さず、公共サービスに従事する労働者が安心して生活できる労働条件を確保のための点検作業に取り組みます。 |
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③ 上記のように、労働者の賃金水準の改善は、雇用関係のなかの労使交渉だけでは改善しません。 委託先労働者の賃金水準を改善させるため、最低価格制限を設ける等の「入札改革」「自治体公契約条例」の制定を高知県に対して求めていきます。あわせて、このことにより、「安価なだけ」の安易なアウトソーシングに歯止めをかけます。 |