豊後大野市の公立幼稚園では、合併前からの地域性や園の規模による特色は大事にしながら、経営方針の明確化と幼稚園教育要領に基づいた保育内容(教育課程・行事等)の見直しや、自己評価・外部評価の実施、特別支援教育等を充実させるなど、機能の充実を図っている。少子化対策や子育て支援のあり方への関心はさらに高まり、保護者や地域の子育て支援、特別支援教育等、新たな専門性を備えた資質の向上も要求されている中で、公立として果たすべき役割を、主体的な取り組みにより明確にしていかなければならないと考えている。
公立幼稚園が所属する豊後大野市教育委員会においては、『学校教育体系に位置づけられている幼稚園教育は最優先で取り組むべきである。育ちの連続性や、生きる力のもととなるあそびの中での学びを重視し、義務教育にスムーズに接続するための就学前教育の重要性について、これまで以上に認識を高めていく必要がある。』と理解をいただき、指導主事を中心に教育内容の充実について前向きな取り組みを行うことができている。
豊後大野市内には公立幼稚園(9園)の他、私立幼稚園(2園)、公立保育所・園(9園)・私立保育園(6園)無認可保育園(2園)が混在している(2005年5町2村が合併)。旧町村ごとの方針等の違いから、エリアごとの施設の配置にはばらつきがあり(地図1)、保護者が就労していない場合入園させる施設が近隣にないなど、受け皿が平等でない現状がある。また、就労しているが幼稚園に通わせたいという希望も多く聞かれる。小規模園については、地域に根ざした教育のメリットはあるが、集団としての保育の成り立ちを考えたとき、子どもの育ちを平等に保障する意味での見直しが必要と思われる。
合併により行政が逼迫していることから、行革推進のための公立施設の見直しや整理・統合が予測され、今後の公立幼稚園・保育所(園)の存続については、大変厳しい状況となっている。ある程度の整理・統合は覚悟し、"一人の市民の人生を左右する生涯学習の基礎づくり"のために,公の役割がこれだけは必要であるという構想・方向性を打ち出さなければならない。
就学前教育をより充実させるための施設のあり方を含め、子どもの育ちを平等に保障するために、公立幼稚園・公立保育所(園)それぞれの機能をどのように果たしていくべきか、研究・研修等により互いに連携を深め、検討していく必要がある。現在、公立幼稚園・保育所(園)の垣根を取り除き、5歳児を中心とした就学前教育の充実のための合同研修を実施している。また,労組自治研部では、幼稚園部会・保育所部会がそれぞれ現状や課題をまとめ、今後の方向性を協議しながら、幼稚園・保育所合同の部会も開き、現状の共通理解と、考え方のすりあわせをしているところである。
子育て支援の全体構想の中で、就学前教育の中核を担う公立幼稚園としての役割を明確にし、子育て支援に関わる総合施設等に幼稚園教育をどのように位置づけたらよいか、また、多様な子育て支援へのニーズに対応していくためには、市内公立幼稚園・保育所の機能や形態、レベルをどのように充実させていけばよいかが、当面の大きな課題である。
就学前の子どもの育ちを平等に保障するための子育て支援のありかた、施設の配置について、行革の方針が具体化する前に、現場から当局へ資料を示し提案する必要がある。具体的な提案のひとつである「地域における子育て支援機能の拠点となる総合施設(東幼・保総合施設)」の実現を目指し、今回はこれまでの取り組みの経過と、今後の方向性(就学前教育を充実させるための全体構想)、エリアごとの幼稚園・保育所(園)等のバランス良い施設の配置案(資料1・地図2)をまとめてみた。
添付
資料 1
地図1 2 |