【自主レポート】

第32回北海道自治研集会
第Ⅱ-②分科会 持続可能な医療体制の確立

群馬県版医療法に基づく立入検査マニュアルの作成
~放射線管理編~

群馬県本部/群馬県職員労働組合・県庁放戯
櫻井 昇幸(代表)・横井 敏之・佐々木 保・五十嵐 博・眞下 勝庸
 

1. はじめに

 医療機関立入検査(以後医療監視)は、医療法(昭和23年法律第205号) 第25条第1項の規定により、厚生労働大臣、都道府県知事及び保健所を設置する市の市長等が医療機関に対して行う立入検査であり、病院が医療法その他の法令により規定された人員及び構造設備を有し、かつ、適正な管理を行っているか否かについて検査しているものであり、地方分権一括法の施行により2000年4月から自治事務とされた。
 保健所(担当官)間の指導内容に格差があり、医療機関からの非難を浴びることがあった。

2. 目 的

 今回、担当官による指導内容の格差の是正を図ることを目的とし、「群馬県版医療法に基づく立入検査マニュアル(放射線管理編)」を作成することにより、加えて適正な医療監視体制の確保を目指す。

3. 方 法

 文献等を参考にマニュアルを作成し、実地に各保健所の診療放射線技師(放射線管理部門担当)の意見を聴取し内容を検討する。

4. 結 果

① モダリティ毎にチェック項目を編集。
② 掲示物等の視覚的確認項目は、可能な限り写真を掲載する。
③ 項目毎に関係法令を記載する。
④ 今回(2007年度)追加項目
 ア 照射録の電子保管に関すること
 イ 放射性廃棄物の適正な管理に関すること

5. 考 察

 今回のマニュアル作成において、各保健所担当官の意見集約の下、見解の統一を図ることができた。今年度の医療監視業務は、これから実施されるわけだがマニュアルに基づき、適正な医療監視が行われることを期待する。


放射線管理

A 全般

A-1 資格要件
 有資格者(医師、歯科医師、診療放射線技師)以外の者が、放射線を人体に対して照射等していないか。(診療放射線技師法第24条)検査表該当なし

A-2 照射録
 照射録を作成し、医師又は歯科医師の署名を受けているか。
 (診療放射線技師法第28条、同法施行規則第16条)fig.1A、検査表該当なし

 1)記載事項は適正か。
  ※氏名、性別、年齢、照射年月日、照射方法(具体的かつ詳細に)

 2)保存期間は適正化。
① 法令に定められた事項
 ・ 照射を受けたものの氏名、性別及び年齢
 ・ 照射の年月日
 ・ 照射の方法(具体的かつ精細に)
 ・ 指示を受けた歯科医師の氏名及び指示の内容
② 照射の方法には、撮影条件(管電圧、管電流、撮影時間等)が記載されているか。
③ 照射を行った診療放射線技師の署名について法的な規制は無いが、署名することが望ましい。
④ 医師自ら照射を行った場合は、照射録を作成する義務はないが、作成するこが望ましい。
⑤ 照射録の電子保存については以下の3点の事項が担保されていれば照射録として認める。
  ・ 医師の署名については、パスワード等により他人が署名できないこと。また、日付時間等の改ざんが出来ないこと。
  ・ 照射録としての記載事項を満たしていること。
  ・ 必要時(医療監視時等)には、プリントアウトができ検査が受けられること。
⑥ 照射録の保存期限について規制はないが、診療の諸記録としてエックス線写真と同様2年間保存されているか。
  ※ 診療録は医師法第24条第2項により5年間保存することが規定されているため、これに準じて5年保存が望ましい。


病院医療監視チェック表(放射線関係)