【モデル単組】

第32回北海道自治研集会
第Ⅲ-①分科会 都市生活とまちづくり

共働によるまちづくり


愛知県本部/豊田市職員労働組合

1. はじめに

(1) 豊田市の現状
 豊田市は1951年の市制施行以来、隣接する5町村との合併を繰り返し、さらに2006年4月1日には、近隣の6町村を編入合併し、面積は290km2から918km2と約3倍になり、人口は約5万人増えて41万人余の規模となりました。918km2という面積は愛知県の面積の約5分の1に相当する(約18%)広大な面積であると同時に森林面積が7割を占め、合併当初は全国で10番以内に入る広大な市域となりました。隣県である岐阜県・長野県に接し、市域の南北両端が60km近くにも及ぶ長い市域には、市街地、農山村、そして山間部を抱え、市域の南北を1級河川の矢作川が貫流する構図は、まるで日本の縮図のような地勢・都市構成と言えるのではないでしょうか。平成の大合併により、多くの市町村が合併しましたが、日本の縮図のような地勢・都市構成を持つ合併は、その後の行政運営の方法等も含めて全国からも注目されました。
 これらの歴史的に繰り返されてきた合併は、市街地の分散化現象に繋がり、また本市における高度経済成長期の自動車産業を中心とした目覚ましい経済の発展は、土地需要の高まりとともに、都市化現象による市街化区域の拡大・外延化により中心市街地の衰退という結果を産み出しました。逆に農山村では、次世代の担い手不足や過疎化・高齢化が進んでおり、豊かな自然や環境の保全が難しい状況となっています。

(2) 新豊田市への期待
 豊田市が決断した平成の合併の背景には、2000年9月の東海豪雨に伴う甚大な災害によって「水資源の保全」と「自然災害からの安全」に対する強い危機感、そして、多様な価値観の時代に即応すべく「市民の多様なライフスタイル変換」への対応を見据えたものでした。一方、合併した旧町村はほとんどが中山間地域で過疎化が深刻な問題となっていました。
 また、これまでの日本経済全体は、経済及び生活水準の向上に主眼をおいており、その結果、横並び志向による地域個性の埋没化が生じ、日本全国どこへ行っても同じような光景が見られるようになっていました。豊田市においても同様であり各地域、町、村の個性の埋没化はまちの魅力を減衰させ、中心市街地の空洞化から地域経済の衰退を導いていました。
 そういった背景の中、合併における基本理念として「地域の相違を認め合い、それぞれの持ち味を生かしあって都市と農山村が共生していく」ことを掲げました。新豊田市では、都市部から中山間地までそれぞれの地域が魅力を高め、地域力を向上させ、さらには地域間の結びつきを深め、それぞれの地域に培われた歴史や文化を尊重しながら、他にはない個性や可能性を掘り起こし、それらをお互いに磨き合い、競い合い、地域社会の発展に結び付けていくまちづくりこそが新豊田市に期待されるところでありました。

2. 豊田市のまちづくり

 豊田市は合併によって市域は広大になりましたが、市民と行政との距離が変わらずに連携できる新たな市民と行政との仕組みづくりの必要性や、少子高齢化社会が一層進展するなかで市民と行政がどう活力ある地域社会を築きあげていくか、また、いかに合併を活かしたまちづくりを行っていくか、その対応に向けた方向性を明確にすることが喫緊の課題でありました。
 そこで合併後の2005年9月、「豊田市まちづくり基本条例」及び地方自治法第202条の4に基づく「豊田市地域自治区条例」を制定し、今後の方向性を示しました。

(1) 豊田市まちづくり基本条例
 「豊田市まちづくり基本条例」において、まちづくりの基本原則として「共働によるまちづくり」を推進するとしています。将来ビジョンを踏まえ、市民と行政が今までにも増して、共によりよい地域社会をめざし行動する共働によるまちづくりの推進が重要であり、地域の潜在力を発揮する仕組みを確立する必要があります。
① 豊田市の共働
  市民と行政が協力して働く(通常はこれを「協働」と表現)ことのほか、市民と行政が、共通する目的に対して、それぞれの判断に基づいて、それぞれ活動することも含んで、"共に働き、共に行動する"ことでよりよいまちを目指すことを意味し、豊田市では、敢えて「共働」という造語を使用しています。
  例えば、自主防災会の活動において、活動内容は市民が自分たちで決めますが、それに必要な資器材の提供、遵守すべき安全対策の研修は行政が担います。このように、両者が「協力して働く」ということが「協働」であり、互いに本来的な責任分担に基づき、対等の立場で共通の目的を達成します。その事例は古くから多くあります。一方、防災の分野では、例えば、市域を網羅する防災無線の整備や防災関係機関の連携体制構築など、行政が単独で責任を負う部分があります。そして市民は、発災直後の近隣住民の安否確認や避難所の運営ができるように、日頃から地域コミュニティに磨きをかけておきます。このように「防災」という市民・行政共通の目的を確実に達成するには、両者が協力する部分からそれぞれが単独で責任を果たす部分まで、一貫してバランスのとれた取り組みが必要です。その全体が、市民、行政それぞれの責任と信頼関係によって整っている社会を目指し、「『共(に)働(く)』によるまちづくり」を進めています。
  つまり「共働」とは、「地域(市民)でできることは地域(市民)で」「行政でなければできないことは行政が」それぞれ責任をもって行い、「地域と行政が協力することは対等の関係で」という原則を明示したものです。




② 豊田市の目指す姿
  従来、公共サービスは主に行政が独占的に供給してきました。しかし、ニーズの多様化と増大により、質的にも量的にも新たな公共サービスが必要とされています。「安心して豊かに暮らせる地域社会」を構築するには、行政のみでなく、多様な主体により公共が担われることが必要です。多様な主体により多様なサービスが提供されることで、まちの幅や厚み、深みが増し、一層魅力あるまちとなることを期待し、共働によるまちづくりを推進します。
  子どもから高齢者までの誰もがまちづくりの担い手となって、「自立した地域社会」を実現し、もって「安心して豊かに暮らせる地域社会」を構築することが、「共働によるまちづくり」が目指す豊田市の姿です。




(2) 豊田市地域自治区条例
 「共働によるまちづくり」の原則に基づきまちづくりを進めるにあたっては、地域事情に相違があるために、全市一律の施策展開が必ずしもベストではないと考えます。そこで、一定のルールのもとで地域自身が責任をもって地域事情を反映させ、自主・自立的に決定できる仕組みを制度化したものが「豊田市地域自治区条例」です。
 その制度によって「都市内分権」の推進を開始しました。それぞれの地域と行政が協議して定めたルールに基づき、「地域を代表する意見」によって当該地域にかかる一定の行政施策を執行できるようにしています。行政施策への地域の直接参画により、「公」にかかる市民の責任意識を高め、共働理念と相俟って地域力を高めることにより、市民利益の最大化を目指しています。
① 分権の受け皿
  分権の受け皿は地域自治区です。地域自治区は地方自治法に基づく地域自治組織であり、「市長の権限に属する事務を分掌させると同時に、地域の住民の意見を反映させつつこれを処理させるために」条例によって分けられた個々の区画のことであり、事務所と地域会議を構成要素としています。審議機関としての地域会議が「地域を代表する意見」の集約と調整の役割を負います。旧豊田市地区は2006年4月、旧町村地区は2005年10月に12地域自治区・26地域会議が設置されています。事務所長はこの意見を基に職務権限を行使します。






② 地域会議
  地域会議は、住民に基盤を置く機関として住民の多様な意見の集約と調整を行い、共働によるまちづくりの推進役となる組織です。
  非常勤特別職(無報酬)である委員20人以内で構成され、既存の地縁組織である自治区や各種公共的団体から推薦された委員、公募委員などから選出されています。委員の選出方法や委員構成、地域課題の集約や地域内での情報共有の手法などは、各地域の判断に委ねられています。
  会議は月1回程度開催され、地域課題の検討や、市からの諮問事項について審議を行っています。第7次総合計画や観光交流基本計画など地域に係る基本構想の策定においては、地域会議と自治区等地域団体との意見交換等も踏まえ答申されました。また、地域会議における1年余の地域課題検討の一部は、提言書として市長に提出され、2007年度から予算化、共働による事業実施が進められています。
  また、地域会議をサポートする地域自治区事務所を、本庁の自治振興課と11の支所の合計12箇所に設置し、市民の身近な場所で、地域会議の運営支援や市民と行政の共働をコーディネートしています。
  地域会議に期待する役割は、今後の地域ビジョンを展望する中で、地域課題やまちづくりについて話し合い、地域でできることは何があり、住民参加のもとに地域としてどう対応するか考え、考えた結果を支所長から地域住民に情報提供し、対応方策を働きかけることです。地域には、自治区をはじめ、地区コミュニティ会議、各種団体、NPO等、地域で活躍している団体が多くあります。地域会議がこれら団体と互いに情報を交換したり共有したり、連携すれば、多岐に渡り地域課題の解決に向かっての活動の充実や解決する可能性が広がっていきます。

3. 具体的な取り組み

 今まで述べてきた「豊田市のまちづくり」は、共働の仕組みを創り上げたにすぎません。次のステップは、その仕組みを用いて、如何に共働の担い手を育てていくかが重要となります。

(1) わくわく事業補助金
 「わくわく事業補助金」は、自信と誇りのもてる地域を住民が主体となってつくるために実施する事業「わくわく事業」に対し、市が助成を行う地域活動支援制度です。これにより、身近な地域づくり活動への参加機会の拡大(地域づくり活動の活性化)をはかり、地域の将来を担う人材育成・新たなコミュニティづくりへの貢献を目指しています。
 補助金については、地域会議が内容を審査し、その結果を踏まえて支所長が最終決定します。これまでの一般的な補助金は、行政が市内一律的に補助基準・対象・内容等を決めて実施していました。それに対して、「わくわく事業」は実質的に地域会議が補助基準等を独自に定め交付内容を決定しています。地域会議は、補助基準の設定や事業の審査等を通じて、地域の人材、住民の意識や課題等を知ることができ、地域情報のネットワークも深まります。住民は地域会議や都市内分権の意義を知ることができ、行政は潜在しがちな地域ニーズ等を把握できます。
〔補助事業者〕
 原則として5人以上で組織され、活動が当該地域の多数の住民に支持されると認められる団体
〔対象事業〕
 ① 保健、医療又は福祉の推進を図る事業
 ② 地域の伝統、文化、郷土芸能又はスポーツの振興を図る事業
 ③ 安心、安全な地域づくりを推進するための事業
 ④ 地域の生活環境の改善、景観づくり、自然環境保全を図る事業
 ⑤ 子どもの健全育成を図る事業
 ⑥ 地域の特性を生かした産業振興のための事業
 ⑦ 地域づくりに有効な助言や提案を受けるための事業
 ⑧ その他個性豊かな住みよい地域社会を構築するための事業
〔対象経費〕
 補助事業の目的を達成するために直接必要な経費とし、対象外経費は、団体の経常的な活動に要する経費や、飲食費(作業時の飲料水、会議時の茶菓は対象)に要する経費など、必要最小限で考えています。
〔補助金額〕
 地域会議の所管する地域につき、総額5,000千円までとし、申請事業ごとに補助金額を決定します。




(2) つなぎすと
 「つなぎすと」とは、市民活動団体が活動を行う上で、団体間のネットワークを広げたり、団体と行政とつなぐコーディネーター的役割で、言わば活動促進の潤滑油的な存在です。
 「つなぎすと」が目指すのは、"市民活動に対して伴走する応援者"です。「つなぎすと」の活躍で市民活動が一層活発になり、豊田市の共働が深まり、他分野に広がっていくことが期待されます。
 このような期待を担う「つなぎすと」を養成するために、公募した市民に対して、講座を半年間受講後し、さらに半年間の研修を受け、総合審査で合格した方を「つなぎすと」として認定していきます。認定後、「つなぎすとステーション」に登録し、依頼に応じてNPOや地域団体に出向いて活動します。




4. 豊田市職員の意識

 豊田市は「共働によるまちづくり」を進めるために上記のように様々な仕掛けを作ってきました。では、行政側組織、豊田市職員の意識と取り組みはどうでしょうか?
 まず、市民との共働の窓口として、『共働推進課』を設置し、専門的に業務にあたるとともに、全庁的な組織として、『共働推進会議』を設置し「共働によるまちづくり」に関する施策の調整をはかっています。
 また、各部局に共働推進責任者・担当者を配置し、共働推進責任者は各部局における共働の実施に係る調整・決定を、共働推進担当者は共働意識の啓発及び共働事業の実施支援や相談対応を行います。これらにより行政サイド、市職員の中でも共働に対する意識はかなり浸透しつつあります。
 しかしながら、業務上のパートナー意識は根付きつつあるものの、いざ業務を離れると、一市民としての共働の意識はまだまだ低い状況にあります。2006年11月に実施した職員へのアンケート調査の結果では、市民活動に参加している職員は実に半数しかいませんでした。

5. おわりに~労働組合として~【課題等も含めた考察】

 前述しましたように、従来、公共サービスは主に行政が独占的に供給してきましたが、市民の多様なニーズに応えるためには、質的にも量的にも新たな公共サービスが必要とされています。現在の財政的に逼迫した地方自治体においては、そうしなければ運営できないギリギリの状態になっています。今や公共サービスを担うのは、行政に限らず、外郭団体、民間事業者、NPO等、様々な運営主体が公共サービスを展開しているのが実状です。行政に限らず、多様な主体により、そのサービスを得意とする運営主体が展開することに対して、異論を唱えるつもりはありません。しかしながら、そのサービスを提供するにあたって、どこの主体でやることがベストなのかをしっかりした判断基準で、本来サービスを受けるはずの市民が本当に選択したのか疑問に映る部分が見受けられます。昨今、行政改革の名のもとに国から様々な運営手法(指定管理者制度・PFI手法等)が具体的に提示され、また強く導入を求められています。市民が望む公共サービス、それは「安全で安心して豊かに暮らせる社会」を構築するためのサービスに他なりません。地域会議による、地域を主体にした「わくわく事業」等の取り組みは、正に地域の住民が望むサービスを自らが展開する手法であり、そういう意味においては、もっとも民意を反映した公共サービスと言えるのではないでしょうか。
 さて、地方分権という声が叫ばれて久しいですが、本来の地方分権のあるべき姿にはほど遠いのが今の地方の実態であります。それは、本来、移譲されなければならない税源移譲が伴っていないことが大きな原因であると言えます。また、地方分権を進めるということは、一方で地方の独自性・主体性を尊重するだけでなく、地方間による格差にも繋がることを意味しています。従来、どの自治体においても画一的ではあるものの、平等・公平なサービスが当たり前のように提供されていたものが、地方の施策や財政状況、地域のニーズの多様化により、今後の行政サービスは大きく地域間での格差が深まるものと思われます。
 一方で、公共サービスは地域社会のセーフティネットでもあり、最低限保障されなければならない医療や社会保障、福祉等のサービスや、その他平等・公平に供与されなければならないサービスについては、行政が責任を持って取り組まなければなりません。
 現状、地方自治体においては、行政コスト・総人件費等の削減が進む中で、効率化という名の元に人員削減が進み、現実問題として、公共サービスを展開する上で、市民との協働により実施しなければ十分なサービスが展開できないような状況ができつつあります。また、高齢化・少子化により、地域によっては急速に過疎化が進み、都市内においても均一のサービスを受けることが困難な状況があります。その部分を補完するため、地域ネットワークを利用したサービスの展開が必要とされていますが、過疎化がさらに進み限界集落まで進んだ場合、住民主導の活動は実質的に不可能であり、地域内のネットワークで支えることは、もはや困難であると言わざるを得ません。地域間においても、その担い手の有無によりサービスの格差が生じる可能性があると言えます。
 地方分権といえば、主役となるのは国ではなく地方自治体でなければならない訳ですが、都市内分権の主役は住民であります。都市内分権においても、ある一定基準のセーフティネットについては行政が責任を持つのが当然であり、そこから先のプラスαのサービスについては、地域特性やニーズに応じたサービスを市民自らが主体となって提供するものでなければならないと考えます。豊田市の「わくわく事業」についても、プラスαの独自性・地域性として機能し、一定の裁量の範囲内であれば問題ないでしょうが、地域間格差とならないような配慮と、自主性とは言うものの、過疎化等、担い手不足が原因により、やりたくても地域主導でできない場合、地域住民が必要不可欠なサービスとして要望がある場合には、何らかの形で代替し、同等のサービスを提供することが必要ではないかと考えます。現状行われている事業内容・規模では、地域間格差に繋がることは考えにくいですが、特に「わくわく事業」の中で、セーフティネットに関連するような事業に関しては、きめ細かな配慮が必要であると考えます。現在の事業実施状況によれば、各地域においてかなり事業展開に差が出ているようですが、認知度や周知方法が原因ではないかと考えられています。
 また、地域主導でできない場合の代替として、地域内だけでなく市全体をカバーするサービス主体、そしてサービスする主体をサポート・コーディネートする機関や機能が求められるのではないかと考えます。豊田市においては、財政的に恵まれていることもあり、行政が十分な公共サービスを提供できているのではないかと思いますが、多様化する市民ニーズに対して、公共以外の主体の必要性はますます高まるでしょうし、「つなぎすと」や「市民活動センター」のようなNPO団体等のサポートやコーディネートを担う機能は一層重要になってきます。さらに、地域間の連携・交流を活かしたサービスの展開も必要だと考えます。すでに、他県の地域連合や労福協では、組合員の枠組みに捕らわれず、行政に代わる機関として、ライフサポートや地域と一体になった様々なネットワーク活動を展開しつつあります。今や労働組合も一つの運営主体として、地域公共サービスを担うことが求められていると言えます。
 豊田市において市民との共働を進める上で、組合として、何をすべきであり、どのように係っていくべきなのか、これからの活動として重要な方針の一つであると捉えています。現在、企業等は地域社会との協働・連携、社会貢献が求められ、業務以外にも積極的にボランティア等の活動を推進しています。これは、企業としてのイメージ戦略もあるのかも知れませんが、この活動は企業にとって今や必要不可欠なものとなっています。地方自治体においても、制度や施策を決めるだけで、行政が一方的に提供するだけのサービスでは、もはや行政運営は成り立ちません。前述の職員アンケート調査において、市民活動への参加が半数であるという調査結果がありましたが、やはり市民に対して共働を求めていく職員が、業務だけでなく、得意分野において市民活動にもっと積極的に係っていくことが必要であり、今後の課題でもあると思います。地域社会においても市民をリードする職員であることを地域に示していくことが大切ではないでしょうか。現在、公務員への風当たりは厳しさを増すばかりであり、あらゆる面において市民・マスコミから厳しい視線が注がれています。このような状況だからこそ、労働組合も率先して社会貢献を積極的に推進していくことが、「共働によるまちづくり」を推進していくことになると同時に、労働組合の存在価値、自治体職員の信頼回復とイメージアップに繋がるものと考えています。
 現状、豊田市職員労働組合も単組の活動のみならず、連合等の民間組合と官民一体となったボランティア活動の推進に力を入れています。市民活動やボランティア活動を通じて、地域や市民へ発信する活動を拡充することが公務に係る労働組合として重要な活動になると認識しています。
 今後の具体的な取り組みとして、以下のようなことを推進していくことが考えられます。
① 労働組合として、市民活動・ボランティア活動の団体と連携して、組合員へ参加の機会を発信・提供する。
② 連合を中心に官民一体となった市民活動・ボランティア活動の推進に向けて、組合執行部の参加のみならず、一般組合員へも組合機関紙等を利用し参加を呼び掛ける。
③ 市民活動・ボランティア活動について、自主勉強会や講習会等を企画する。
④ 連合愛知が毎年主催する「ボランティアリーダーズスクール」へ組合執行部を中心に受講し、ボランティアリーダーとしての意識啓発をはかる。
⑤ 「ボランティアリーダーズスクール」受講後、市民活動などへの参画に発展させ、組合執行部(職員)からも「つなぎすと」養成に繋げる。
⑥ ボランティア休暇の利用促進をはかる。
⑦ ボランティア休暇の対象活動について、適用範囲の拡大をはかるよう当局に働きかけ、市民との共働が推進しやすい環境を整える。

6. 最後に

 現状では、地域経済のあり方も含め、地方行政は非常に厳しい状況下にあると言わざるを得ません。財政的に恵まれていると言われる豊田市においても温度差はあるにせよ変わりはないと考えています。これからの行政経営を考えた際に、住民とのつながり(共働)をいかに大切にしていくのか、そして、創意と工夫により持続可能な地域社会(地域経済及び公共サービス)をどう創っていくのかが問われています。地域経済と住民とのつながりを踏まえ、常に新しい公共サービスの形態を考えていく必要があります。その中で、労働組合は従来の既成概念を守るだけの抵抗勢力であってはならないし、労働組合自体が新たなる政策を発信し、推進できるような集団となること、さらには、組合員の意識改革が求められているのではないでしょうか。