【自主レポート】 |
第32回北海道自治研集会 第Ⅲ-②分科会 地方再生とまちづくり |
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1. 山羊について 日本では幻の動物に近い山羊ではあるが、動物の中では次のように分類されている。
性質は温順であり、ウシ科の動物では最も好奇心・自立心が強いことを特徴とする。 |
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写真2 トカラ山羊 |
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2. シバ山羊について シバ山羊は、沖縄や九州各地で飼育されている小型の日本在来山羊であるが、その起源は中国や朝鮮から渡来したようである。シバ山羊は体が比較的小型であること、周年繁殖であること、山羊がかかりやすい病気である『腰麻痺』に対して抵抗力があることなどから主に実験動物としての価値が認められてきた。また、最近では愛玩用として飼われていることもある。 3. 山羊の飼育状況について 国内における山羊の飼育状況は、3,889戸、21,327頭(2)というデータがあるが、その頭数は年々減少傾向である。飼養頭数は沖縄県が最も多く、本県は第5位である。近県では長野県や茨城県で山羊が多く飼養されているが、その規模は比較的小さい。 4. 本県における耕作放棄地の状況について 本県では、高齢化や兼業化の進展による農業労働力の不足等により土地条件・耕作条件が悪い中山間地域を中心に耕作放棄地が大幅に増加している(表1)。率では全国3位、面積では全国7位であり、非常に高い状況にある。 |
表1 本県の耕作放棄地の推移
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今後もこのような地域が広がれば、病害虫の発生や有害鳥獣の進入を招き、一層の農産物生産量の減少を起こす可能性がある。また、県土や景観の保全等の公益的・多面的機能の点からも大きな問題となっている。近年このような耕作放棄地に妊娠した和牛を放牧し、効果を上げている地域が増えている。しかし、和牛は体が大きく採食量も多いため、放牧をするのには広い面積の農地等が必要である。また牛の管理も経験が必要であるため、簡単に普及できていないのが現状である。 5. 市街化遊休地の放牧に関する調査 (1) 使用した山羊
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No2 |
No3 |
(2) 調査場所 (3) 調査期間
(4) 放牧方法(5) |
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(5) 採食量の調査 6. 調査結果 夏期に山羊を放牧した場合、採食の時間は朝夕の気温が低い時に集中しており、昼間の暑いときは日陰で休んでいることが多いため、上記の方法でほぼ1日の採食量が測定できた。 2007年8~9月の6日間測定値の平均(平均草丈は15cm)
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以上のことから、今回用いた3頭の山羊の平均採食量は、1日1頭当り5.0kgで、17.5m2の遊休地の可食草に相当することが推定できた。この数値から換算すると、繋牧は2.3mのひもがあれば1日の採食量をまかなうことができると推定できた。(季節、土壌、草種等の環境要因により大きく左右される) 7. 野草以外の給与方法の検討 野草が生えている5~11月の間は、野草給与だけで充分である。しかし分娩前後の雌山羊には「ふすま」や「くず米」などの高カロリーの餌を少量給与しなければならない。
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エサ箱に入れた野菜くず |
8. ふれあい動物としての活用 調査期間中ではないが、2頭の雌山羊から3頭の子山羊が産れた。その生時体重は500gと小さく、生後2週間は保温や人工乳の給与を行う等の管理が大変であった。しかしながら山羊は病気に強く早熟なため、この期間に充分な注意を必要とした以外は順調に育っている。 |
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また、高齢者の多くは子どもの頃「山羊乳」を飲んで育った方が多く、山羊と散歩をしていると必ずと言っていいほど呼び止められ、終戦前後に山羊を飼った思い出話を披露してくださる方が意外に多かったのが印象に残っている。 9. まとめ 今回の調査で、シバ山羊を用いてある程度遊休地を管理できることが判明した。また、冬期間を中心に食品残さ等を利用することにより、飼料購入価格の低減やCO2削減も図れることがわかった。しかし、シバ山羊は動物であるため、飼養管理や健康状態の確認等の時間が毎日必要であり、それを確保できる場合には有効な方法であると思われる。 |