【自主レポート】

第32回北海道自治研集会
第Ⅲ-②分科会 地方再生とまちづくり

そうだ、松江に行こう
~また行きたくなる松江づくりに向けて~

島根県本部/松江市職員ユニオン・本庁支部

1. はじめに

 小泉内閣時の2003年4月より、「ビジット・ジャパン・キャンペーン実施本部」が設置され、外国人観光客増加に向けたキャンペーンや観光ビザ制度の緩和などが行われている。これは、観光に関する貿易収支赤字が1985年以降に拡大しており、2001年では5兆円程度の赤字となっているためである。また、他の先進諸外国と比較してGDP(国民総生産)における観光分野の割合が非常に低い。
 観光分野は、宿泊、飲食、みやげ物にはじまり、観光施設利用料や交通費など、その観光地に対する経済効果が非常に大きく、益々激しくなる国際間競争の中で各国各地が力を入れている分野である。



 国全体だけではなく、各地方においても観光分野への取り組みの必要性が増している。政府が12日閣議決定した07年版の「観光白書」は、特集にあたる「06年度観光の状況・第1部」の中で、観光が地域にもたらす経済効果を独自に試算して紹介している。青森、群馬、岡山、大分の4県を事例に、観光客数が一定割合で増えた場合などのシミュレーション分析を行ったもので、生産波及効果や付加価値誘発効果など、いずれの県でも高い経済効果を裏付ける結果が出た。特に雇用誘発効果は、地元の有力工場と比較しても劣らない規模だと指摘している。(2007.6.16発行週間観光経済より)
 島根県においては、「石見銀山」の世界遺産指定、CMに出演したシロイルカが話題になったアクアス、その他映画、ドラマの舞台として県内各地が続けて取り上げられていることなど、観光客数が年々伸びている。実際の観光客数は、2006年の過去最多記録2,658万4,000人から、2007年はそれをさらに上回る2,800万人超の見込みと、数字にも如実に表れた。「島根ブーム」という言葉も紙面に登場する状況であり、これまで話題に上ることすらなかった無名の田舎から、生き残るための観光地として、全国、世界にPRする、またとない絶好の機会が今である。


2. 松江における観光の現状

 松江市及び周辺地域は、古代からの遺跡や国分寺や国庁跡、神社にはじまり、近世の松江城まで連綿と続く歴史を有する地域である。また、和菓子などの「伝統的ものづくり」が十分残っており、お茶文化などが市民の生活の中に息づいている。
 さらに、宍道湖の夕日や島根半島の山並みのような美しい景色、玉造温泉や松江しんじ湖温泉といった温泉資源、中国山地や日本海の豊かな農産品や水産物など、歴史文化とともに自然の豊かさや癒しを与えてくれるものにあふれている。
 また、文化・観光スポットも、堀川遊覧船、八束ぼたん園やフォーゲルパーク、県立美術館など数多く上げることが出来る。
 さらに鼕行列などの伝統行事では、地域の支え手が不足し、近隣の住民の協力なくしては成り立たなくなっているという事実や、後述するいわゆる「受身・要望・批評型住民」といった問題も存在している。
 しかしながら、前段でも述べたように観光産業は非常に裾野の広い産業である。松江市における観光分野の直接的な経済効果は約650億円、波及効果も考え合わせると約730億円と推定されている。
 松江市が目標としている「観光入込み客数1,000万人」を達成した場合、さらに150億円以上の経済効果増加を見込んでおり、様々な取り組みを行っている。
 2008年度の予算ベースでは、全体の約2.4%にあたる2,291百万円が観光振興部の事業費となっており、主な事業だけでも794百万円となっている。この数字は、人件費がほぼ含まれていないことや財源の大半が一般財源であることを考えると、市が観光行政を非常に重要な分野ととらえ、力を入れているかがわかる。大企業の本社や鉱工業の集積地を持たない松江圏域では、地域の自立のために欠かせない分野なのである。




3. 松江の観光分野における問題点・課題

(1) 現在の行政の推進体制
 現在、松江市の観光行政については「観光振興部」が所管しており、「観光企画課」と「観光文化振興課」の二課体制で業務を行っている。しかしながら、実態としての観光行政は、観光開発公社や観光協会、近年では縁結び観光協会や松江開府400年祭推進協議会、ホーランエンヤ事務局など多くの団体で実施されており、業務の重複や連絡調整業務の増加による業務の非効率化、責任体制の曖昧化などが懸念される。
 また、それぞれの団体間や他の関連団体(商工会議所等)での職員派遣により様々な立場の職員が混在して業務を行っており、組織の一体感や管理体制などについても問題が内在している。こういった点については、2008年度4月1日の組織体制に関する職場ヒアリングや所属長交渉などでも指摘している。
 さらに、本来は様々な企画・PR戦略といったものの立案、イベント、観光施設管理などの分野で効果向上や効率化に向けた見直しや改善を進めるべき職員が、日々の調査資料や回答書づくり、会議の開催、イベントの運営と関連業務(支払事務や用品準備・片付け)などにおわれている現状がある。その結果として業務やイベントなどの効率化や改廃などが進まない一方で予算カットがされ、イベントなどの魅力が落ちていくという現象につながっている。
 冷静に自己評価をして前向きに効率化と効果の最大化を進めるためには、市全体の中での役割や個別業務を振り返る時間と他団体や関係団体・企業をよく知り、自己と比較する材料を得るための費用が必要である。

(2) 行政の役割と経済活動
 本質的に行政に課せられている原則がある。「公平・公正」「厳格な手続き」である。観光振興は、実際にターゲットとする顧客との間のきわめて経済的な活動であり、そういった原則に縛られている行政活動と相容れない分野である。
 観光客に向けた「飲食マップ」を作成する場合を例にとると次のようになる。
 通常、民間企業であればアンケートや口コミ情報を元に取材し、自分たちの定めた基準に沿って掲載店を決定していく。その結果、掲載内容に問題や嘘があれば購入者から敬遠され淘汰されるだろう。
 では、市が作成する場合はどうだろう。市が作成する場合、特定の個人や企業を優遇することは「公平・公正」という点から非常に大きな問題となる。それをクリアするためには、最低限の基準(食品衛生法に基づく営業許可を受けていることやスナックなどを営業するための風俗営業法に基づく営業許可など)を満たしており希望がある店を原則として全て掲載することになる。店の雰囲気や料理・接客の質、料金などで掲載の可否を決定するのは非常に困難である。
 また、「飲食店マップ」作成には税金が使われることから「厳格な手続き」を要求される。マップを作成すること自体の可否にはじまり、掲載内容や対象業種の選定、各店舗への依頼文書にいたるまで個別に相談や協議、場合によっては会議を開催し決裁を受ける必要がある。また、印刷といった業務の一部を委託する場合には、入札に関する諸手続きと決裁も必要である。この結果、利用者が本当に望む情報以外のものが多く混じることになる。また、着手から作成物配布までに相当の時間を要することになるため、情報が古くなり、結果として誤った情報を流すことになってしまう場合もある。
 次のような例もある。
 旅行業者がツアーを企画する場合には、半年以上前からパンフレット等の印刷や告知を開始し、募集を始める。つまり秋のツアーであれば、前年度の冬から企画をはじめることになる。
 この場合、3月議会で決定されるであろう予算に基づくイベントなどを売り込むことができるだろうか。松江開府400年祭においても松江市負担金が事業費の非常に大きな部分を占めているため、同様の状況にあると考えられる。5年間の継続的な取り組みという部分よりも、実態としては単年度事業を5年間積み重ねる部分が多くなるのである。
 また、他の業務に関しても言えることだが、「人事異動」の問題がある。地域や事業者、イベントや文化活動を行っている個人や団体、旅行会社や出版関係者などを把握し、適切な情報提供やコーディネート、業務発注、協働による取り組みなどを行っていくためには、多くの知識、経験、人脈などが必要となる。行政全体として特定の人に業務範囲を固定することの弊害があるのも事実だが、異動により担当者が数年ごとに変わることの問題点もある。

(3) 観光分野に対する市民・事業者の関わり
 前述のとおり、行政として非常に制約の多い分野であるため、事業者やNPO、市民の役割が重要となってくる。では、現状は実際どうなのか。
 まちづくりなどでも語られる「受身・要望・批評型住民」の問題がある。自分はまったく主体的に行わない反面、市などに対しては要望や文句・苦情、批判などを投げかける。そのため積極的に何かを進めていこうとする動きが萎縮してしまう。
 では、民間事業者などはどうか。実際に市が様々な分野で業務を行っていく中で各種団体や事業者からの意見や要望などを受けることも多い。しかし、市に対して「○○して欲しい」という受身なものが大半である。
 本来、こういった経済活動こそ事業者が積極的に活躍すべき分野であり、そういった活動を阻害しない、またはサポートするようにという意見・要望であるべきである。


4. 他自治体の取り組み

 松江市の観光行政の参考となる自治体として、豊岡市の例を挙げる。
 豊岡市は、兵庫県の北東部に位置する1市5町(豊岡市、城崎町、竹野町、日高町、出石町、但東町)が2005年4月1日に合併してできた人口約90,000人の自治体である。全国的に有名な「城崎温泉」や、城下町「出石」などがあり、単独の自治体として年間500万人以上の観光客を誇る。その中で、「城崎温泉(旧城崎町)」と「出石(旧出石町)」での取り組みを述べる。
 松江も含めて温泉観光といえば、旅館が主となり、温泉も食事もお土産も宿泊先の旅館で済ませるというスタイルが多い。しかし、城崎温泉では、食事と宿泊を旅館で、温泉は外湯めぐりを勧められる。泉源の確保や安定供給のため、温泉の管理は市の温泉課が行い、各旅館や外湯への集中管理配湯方式をとっている。また、旅館の収容定員により内湯の面積に制限を設け、観光客の足を外湯へ向けるなど、旅館同士と外湯とが共存できるシステムとなっている。城崎温泉には7つの外湯があり、旅館にチェックインすると同時に、スタンプラリーシートになっている地図と無料入湯券を渡される。1泊2日の旅行で全てをまわりきることは難しいため、「次回は2泊以上で来たい」と思わせる仕掛けになっている。
 一般的に観光のために同じ地域を何度も訪れることは少ないため、どの観光地もリピーターの獲得に躍起になっていると思われる。しかし、一度しか行かないかもしれない地域に行けば、泊まった旅館以外の旅館もどんな旅館か知りたいし、可能であれば他の旅館の温泉にも入ってみたいと思うだろう。
 松江市においても、玉造温泉にて2008年4月から9月までの半年間、実験的に他の旅館の温泉にも入れるチケット販売を行っている。「神湯めぐり」として、宿泊客限定で、他の旅館の温泉にも入れる入浴券(神湯めぐり手形)を販売している。個々の旅館・店舗等が囲い込みをすることなく共存共栄でき、地域にも波及していく、そしてそれを行政がサポートしていくような取り組みが必要である。
 出石町は、30年余りで年間観光客が9万人から100万人近くにまで増加させた地域である。その背景には、(株)出石まちづくり公社の設立とその活動が大きく寄与している。
 (株)出石まちづくり公社は、筆頭株主が豊岡市(旧出石町)であるが、その持ち株比率は20.4%(400株)にしか過ぎず、他の大株主も出石町商工会の持ち株比率も3%だけである。残りの株式(1,500株)については、約320人(個人・法人)が株主として出資している。こうした住民自らが出資し、自分たちの「まちづくり」を実施するとともに観光客の「外貨」を獲得するといった取り組みは、松江の観光行政に対する示唆を与えてくれるものである。
 (株)出石まちづくり公社の設立の経緯等については以下のホームページを参考にしていただきたい。
(参考)
 http://www.izushi-tmo.com/izushi_tmo/index.html


5. 提言「住民・民間企業者が主役になる観光行政を目指して」

(1) 観光関係部署の業務及び体制整理の必要性
 現在、松江の観光行政については市の組織だけではなく、協会や実行委員会など、多くの組織で動いているのが実態である。また、そこに働く職員も様々な立場、雇用形態である。こういった中で、連絡調整業務の増大や業務や役割の重複、連携の不備による抜け落ち、全体としてのコンセプトや目的の不明確化などが起こっていることについては、すでに指摘しているとおりである。
 観光施策の成果は観光客の顧客満足度によって決まる。きわめて経済的な活動であり、行政の活動原則と相容れない部分が大きい。こうしたことから、本来、行政がすべきである役割は次のようなものであると考える。

【私たちの考える行政の本来的な役割】
・松江市全体のイメージ戦略やCIの確立に向けた広報戦略
・やる気のある住民・事業者などを支援やサポートをするための相談・コーディネート業務
・住民や事業者、団体などに対する総合窓口(行政内部や他の行政団体等との調整、申請受付、指導など)
・文化事業や地域行事など、事業者では取り組み難い分野の支援

※CIとはコーポレイト・アイデンティティーの略で、企業コンセプトを明確にし、企業にとってのアイデンティティーを確立することをいう。対外的には社名の変更、文化活動のアピールなどイメージアップ戦略として機能し、対内的には革新的な風土づくり、社員の一体感の醸成などに役立つものとして機能する。

 しかしながら、本体的な役割やその役割を果たすための業務に取り組めていないのが現状である。なぜこういう状況になっているのであろうか。

【行政の現状】
・イベント等の実施にあたって、運搬・設置から当日の運営まで市の職員が中核を担っている
・委託したほうが効率の良いもの(例えば、交通誘導)まで休日出勤で職員が対応
・平日はイベントの片付けや支払い発注業者や地元・関係団体との打ち合わせに時間を要する

 このような現状に至った理由として、財政上の問題がある。ここ数年の財政査定で予算がカットされている一方、警備費などは警察協議などの関係もあり予算査定どおりには減らせない状況にある。また、市職員が直接やれば超過勤務や振替休日といった対応が可能なため、事業費として担当部署の予算から執行する必要がなくなる。よって、本来は委託のほうが効率の良いものまで職員が休日出勤し対応している。
 こういった中では、イベントも含めた観光行政全体の改善や整理といったものを行う余裕が無く、次年度以降もなんら改善されない、本来的な業務に取り掛かる余裕がないという悪循環に陥っているのである。

(2) 観光開発公社・観光協会の業務・体制の拡充及び強化
 観光開発公社や観光協会には、観光を専門とする職員が多数いる。これまでイベントや文化事業の企画・実施などを専門的に担ってきたことから、観光分野における様々な知識や経験を蓄積している。また、各種団体や観光業者、地域住民などとの人脈も築いている。数年サイクルで人事異動があり全くの他部署から配置される市職員では蓄積が難しい専門的な知識を持っていると言っても過言ではない。さらに、神事など公務員である市職員では直接関与できない分野へもかかわりが可能である。
 よって、観光に対して専門的な見地から対応できる職員を抱える観光開発公社などが、長年にわたる観光行政の一翼を担う中で培ってきた力を十二分に発揮できるよう、イベントに直接関与する仕組みが必要である。そのためには、一定の権限と予算を与えること、さらに能力とノウハウを活用できる体制づくりが重要となってくる。
 その結果、「地域でのキーパーソンは誰なのか」「雑誌などのメディアで取り上げてもらいやすい仕掛けとは何か」といった数字やマニュアルに出ないノウハウを活かした効率的、または協働型のイベント企画などができるのではないだろうか。また、人の繋がりから得られる情報を活用して新しいコラボレーション(例えば、「ジャズと和食」「着物体験と宍道湖夕日クルーズ」など)を仕掛けるなどして、単なる一時のイベントにとどまらない企画ができるかもしれないのである。

(3) 観光行政の方向性と取り組み
 観光分野は、これまで何度も述べたように極めて経済的な分野である。また、裾野が広い一方、経済状況や生活様式、嗜好などの影響を受けやすい。熱海や玉造温泉の現状を今から30年前の人が予想できただろうか。石見銀山も逆の意味で然りである。
 また、バブル期を中心として様々な観光開発がなされてきた。それらは地域の伝統や文化、住民生活といった土台を持たないものであった。そうした時期を乗り越えて残っているのは地域の歴史や風土、文化などの基礎があるものである。




 出石のように住民や事業者自らが、直接的または間接的に取り組み、そこから得られた経済的なものを利用して伝統や文化を受けつぎ新たな松江の伝統を創っていく。こうした循環を創っていくため行政自らがプレイヤーになるのではなく、監督やサポーターとして支え、ともに歩んでいくことが必要なのである。そのため、観光協会等を活性化し、住民・NPOや事業者それぞれが直接的・間接的に参画して創りあげる「企画・コーディネート機関」への成長を支援することを提案する。

(4) 提言実現後の役割、あり方などについて
① 行政(市役所)
  これまで述べたとおり、観光分野と行政は相容れない部分も多い。一方、信用力や情報力、法的権限による許可・規制による権限など、行政が強みとする観光関連分野もある。こういった部分に特化すべきである。そうして整理をかけたことによる余力により、次のような支援業務を行うことができる。
 なお、支援の部署には、一般職の職員のほか「(仮称)観光相談員」といった専門職員(嘱託、公募職員など)を配置する。
 ア 「総合窓口・支援業務」
   行政は公正・中立の立場にあり、市民などからも、そう認識されている。こうした状況を活かし、相談・情報提供・行政側の総合窓口・警察等の関係機関協議のサポートなどを実施する。
   また、企画・コーディネート機関に対しても同様の支援を実施する。
 イ 「経済的支援業務」
   一般的にNPOや自治会などの団体は財政基盤が弱い。また、地元中小企業も同様である。こうした部分を支援するため、利子補給や信用保証料の一部補助などを実施する。これは、現在実施している各種制度の紹介及び対象拡大などを実施することで実現できる。
   また、事業費の補助については公募型を基本とすることで、民間のアイデアや活力を引き出すとともに支援を行うことができる。
 ウ 「市民・団体等育成事業」
   市民や各種団体、観光事業者それぞれに向けた講演、研修会、視察などを実施する。
   「松江市の経済における観光の役割」「観光におけるトレンドと展望」といった講演の開催により市民の意識向上を図ったり、NPO・団体向けの「企画立案・プレゼン講座」「各種支援策・補助金に関する説明会」などの実用講座開催によるスキル向上を図ったりすることにより、観光力の全体的な底上げとなる。そして、そのことが、また行きたくなる松江づくりにつながるのである。




② 市民・NPO、事業者
  市民やNPO、地元事業者は、資金力や企画力などに弱みを持っていることが多い。企画・コーディネート機関に出資したり、行政主催の研修に参加するといったことにより徐々に主体的に参画し、また情報交換や交流により新しいコラボレーションや企画の発案につながることが期待される。
③ 企画・コーディネート機関
  当初は、観光開発公社や観光協会の機能強化により業務を行う。将来的には、市民などからの出資や版権ビジネス(マスコットキャラクターや出版など)、業務の受託などにより事業費を捻出し、次のような事業を行う。なお、特定の個人や事業者だけの利益誘導を行う、市全体が進むべき方向と異なるといったことを避けるため、あらかじめ行政で基本的な方向や理念などに関する協定等を締結しておく。
  具体的な団体として、「(株)出石まちづくり公社」や、市民からの出資により蓬莱荘のリニューアルやまち歩き観光マップの作成を行った「松江まちづくり有限会社」などをイメージしている。
 ア 「観光・文化人材バンク」
   各地域や市民団体、サークルなどの人材を登録し、マッチングや紹介などを行う。また、登録している個人や団体向けの研修や意見交換会なども開催する。
 イ 「観光案内・情報収集業務」
   行政から委託を受け、観光窓口を設置する。また、個人や事業者、行政からの情報を収集し観光案内所等の観光窓口で提供するとともに、要望などを行政、市民・団体、観光事業者等にフィードバックする。
ホームページや情報番組・雑誌等の取材、パンフレット作成などを通じて、独自情報も発信していく。
 ウ 「企画・コーディネート事業」
   自ら、またはNPO等が企画したイベントなど実施する。この中で得られた経験や人脈などを利用して新たな企画やコラボレーションなどのコーディネートを行う。
 エ 「版権・出版事業」
   行政やまちのPRにコーディネート期間が版権を持つキャラクターを統一的に使用してもらう。公的または非営利なものには安価(または無償)とし、お土産等の営利目的については一定の利用料を徴収する。
   各種団体、行政や住民から寄せられた情報などについても編集し、出版につなげることで事業費を獲得する。