1. はじめに
自治労砂川市職員労働組合自治研推進委員会は、「地方自治を住民の手に」をスローガンに1965年12月に発足し、真の地方自治を目指して自治研活動を推進する予定でありましたが、1970年より組織内市議擁立に向けた取り組みが主体となり、以後4年毎の選挙闘争に重きが置かれ、本来の自治研の意義に基づいた活動が停滞していました。
このような状況に加えて、地方分権の進展や自治体財政の悪化、住民ニーズの多様化など地方自治の転換期を迎えている昨今、まず私たちにできること、すべきことは、郷土砂川市を今どう変えるかの前段に、現状をしっかり把握することが先決と考え、組織も広報活動部・自治研推進部・企画調査部・自治政策部に再構築してきました。
このような体制のもと、「子どもの国アンケート」、「北海道立オホーツク公園キャンプ場の視察調査」、「全道市役所囲碁大会アンケート」などの調査や、「行政政策立案研究の取り組み」についての研究等を行う一方、組合員に対しては学習会の開催や「自治研ニュース」を発行するなど、課題意識の共有と自治研活動の普及を図ってきました。
砂川市は、最近、合併の特例等に関する法律(合併新法)により、近隣市町との合併の是非について話し合われる懇談会が発足され協議が進められていますが、砂川市を取巻く合併問題に関して触れてみたいと思います。
2. これまでの経過
(1) 市町村の合併の特例に関する法律(合併特例法)の中で
市町村合併の変遷を見てみますと、全国的かつ計画的に行われた合併としては、「明治の大合併」、「昭和の大合併」を経て3,500ほどとなり、「平成の大合併」により、その数も半分にまでなろうとしています。
1995年に、これまでの合併特例法が「市町村合併の円滑化を図る」から「自主的な市町村の合併を推進する」へと改正され、また、2005年3月31日までの期間延長もされました。1999年には、財政支援措置が大幅に盛込まれる改正が行われ、内容としては、地方交付税の額の算定の特例の期間の延長等の措置が講じられ、地方交付税への依存度が高い自治体にとっては心揺さぶられる内容であり、また、今回の合併特例法で合併をしない市町村は、地方交付税も減額される等々の憶測も飛び交うようになり、合併の議論に拍車がかかりました。
そのような中で、2001年11月に中空知5市5町の首長による『中空知地域づくり懇談会』が発足し、中空知地域の将来のまちづくりについて話し合われたのを契機に、2003年1月には4市5町で「中空知地域任意合併協議会」へ参加し、合併した場合の基本的な方向の話し合いや法定協議会の設置に向けた準備が行われました。そして、2004年1月には、4市2町による法定協議会として「中空知地域合併協議会」が設置され、砂川市も法定協議会に参加して、合併した場合の具体的なまちづくり計画や行政サービスなどについて協議を進めました。
この流れを受けて、当自治研推進委員会では、2001年度に組合員を対象に、市町村合併に対する疑問や考え方を総括的に捉えることを目標に『市町村合併とまちづくり』と題してアンケートを実施しました。また、2003年度には、自治研ニュースの連載により市町村合併の基本的な内容の周知を行うとともに、"全国の合併先進地の状況や国の市町村合併に対する最新情報"、"我々のこれからの賃金・労働条件"など『市町村合併と労働組合運動』について、自治労中央本部中央執行委員政治政策局長であり(財)地方自治総合研究所理事の大門正彦さんに講師を依頼して、組合員対象の学習会を開催しました。これらの活動により、市町村合併に関する理解を深めることができ、今後のまちづくりをどのように行っていくかという視点で合併の是非について議論していかなければならないことを確認しました。
その後、中空知地域合併協議会は、2004年9月30日に解散をすることとなりました。
(2) 法定協議会解散 自立の道へ
4市2町による法定協議会の解散後、2005年3月(合併特例法失効)までに合併に関して、新たな枠組みでの検討は困難と判断をし、「砂川市自立の方策」を打出して当面の自立を選択することとなりました。
砂川市自立の方策の内容は、このまま推移すれば2006年度には基金残高がマイナスに転じるとの財政状況を示し、職員人件費のカット、使用料・手数料等の見直し、補助金・交付金等の廃止と大幅な行財政改革を行うことにより、2008年度までは基金残高を保とうとするものでした。職員人件費のカットに関しては、当市職労も『この財政危機を招いたのは、組合員の非にあらず』と交渉を重ねましたが、市民も十分痛みを伴う改革であることから止む無しと判断をし交渉の妥結に至りました。
この自立の方策を受けて、当自治研推進委員会では市の事務事業、組織・機構などを検証しながら、市の行政全般にわたって日常的に感じている問題や課題、さらには住民にとってより良い砂川市を目指すための意見や提案を出し合いました。この結果、約70項目の多岐に渡る意見・提案が集約されました。
これらの中から効果的・現実的なものを抽出し、さらに調査・研究を深めたうえで、実現を目指すため「行政政策立案研究の取り組み」が行われました。当自治研推進委員会を5つのグループに分けて、それぞれのテーマについて研究を進めました。2007年6月には、3つのグループが研究をまとめあげ、今後のまちづくりに活かしてもらうため市職労組織内市議へ提出いたしました。
(3) 市町村の合併の特例等に関する法律(合併新法)施行
「砂川市自立の方策」により、行財政改革を行いながら当面の自立に向けて進もうとしているなか、2005年3月に市町村の合併の特例に関する法律(合併特例法)が失効しました。この法律の中で、合併が進んだ地域は、東日本よりは西日本に多く西高東低などと表現され、全国で3,000以上あった自治体が1,821となったものの、北海道では212から180と僅かなものでした。
2005年4月に市町村の合併の特例等に関する法律(合併新法)が、2010年3月31日までの時限立法として施行されましたが、内容は、合併特例法と比べると合併特例債の廃止や普通交付税の算定の特例が短縮になるなど、財政支援措置としては縮小となるものでした。
この合併新法の施行を受けて、2006年7月に道が北海道市町村合併構想を策定し、この中でクラスター分析と呼ばれる統計的手法による指標が示されました。その指標が、砂川市、上砂川町、歌志内市、奈井江町、浦臼町の2市3町でした。
(4) 『2市3町地域づくり懇談会』発足 再び合併議論か?
北海道市町村合併構想のクラスター分析の枠組みにより、2006年7月13日に『2市3町地域づくり懇談会』が発足し、北海道の構想に理解を示した中で、財政面での検討が必要と協議が行われました。途中、旧産炭地での財政問題により一時休止していた時期もありましたが、着々と協議が重ねられました。
懇談会は、非公開で行われていたため、住民は無論のこと、職員にとっても極端に情報が不足しており、2007年11月の予算編成説明会時に、若干の説明がされたことと、時折、新聞報道により知るだけで、不安と苛立ちを感じる職員も数多くいたと思われます。
2008年1月21日に懇談会が開催され、翌日に新聞報道されました。その内容は、副市町長と財政担当者による会議を設置し、2月末までに合併に関して一定の方向性を示すとのことでした。「ほとんど説明もないままに、方向性が出てしまう?」と戸惑う職員も多数いました。
(5) みんなで考えよう『市町村合併』 学習会開催
これまで、当自治研推進委員会では懇談会の動向を注視しながら、どのように組合員と共に合併問題に対して取り組んでいくのか協議を重ねていました。方向性を決めてスケジュールを組み実行に移ろうとしている最中の新聞報道でした。
2008年1月28日に、自治研推進委員会の役員会を開催し、これまでの協議内容を再検討し、一定の方向性が示される前に組合員(職員)への情報周知と理解が必要であると判断をして、その後の推進委員会の全体会議において合併に関する学習会の開催について協議をしました。
協議の結果、学習会を開催することと決定し、講師については、財政担当者として地域づくり懇談会にも参加していた職員に依頼をすることとして、一定の方向性が示される前の2月20日を開催予定として作業を進めていきました。『みんなで考えよう 市町村合併』をテーマに、組合員、管理職問わずに周知文書を配布し、当初70人程度の参加を見込んでいましたが、当日は100人を超える参加者となりました。この間の情報不足ということもありましたが、合併問題に関して、みんなで考え議論をしていかなければいけないという意識の表れであったと思われます。
内容は、合併新法に関すること、地方交付税のしくみや財政問題について幅広く講演をしていただきました。残念ながら、懇談会を取巻くことがらについては触れられませんでしたが、参加者全員が、合併問題について共通認識を持つことが出来たと思います。
学習会終了後にアンケートをとりました。結果(一部抜粋)については以下のとおりとなっております。
① 本日の学習会の内容についていかがでしたか?
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