【自主レポート】

第32回北海道自治研集会
第Ⅲ統合分科会 地域社会の維持・発展をめざして

地域社会の維持・発展をめざして
~標茶町GOGOチャレンジショップ支援事業の取り組み~

北海道本部/標茶町役場職員労働組合

1. 事業実施にいたる一つの要因

※『産業後継者結婚時祝品制度』の廃止について~1994年度において、産業(農林水産業及び商工業)に従事する後継者が結婚する際に、祝い品(金)の支給を行っていた。定住対策の一環として、又後継者が事業を継承することで町内の産業振興に資する目的で創設されていた。
 2004年には町内の経済活性化に資する目的で、現金の交付から商工会で取り扱っている「お買い物券」に変更している。また、2005年度までに95件(農業関係者81件、商工関係者14件)の支給を行っていた。
 しかしながら、制度創設より10数年が経過する中で、経営の方式も多様化し、農業や商店の法人化も進む中で後継者の定義付けの問題や、定住化と産業に資する目的であれば後継者に限定する当該制度そのものに対する疑問の意見などが町民より出てきていた。
 これらの問題に対して、農協・商工会にアンケートを行った結果、事業の効果、必要性について両団体ともに「ややある」の回答であったこと、また、振興委員会地域振興部会において意見聴取した際には、「他の定住対策」への転換や、「子育て支援」「少子化対策」に転換することが望ましいとの意見もあった。
 このことから、後継者に限定した「結婚時祝品制度」については2006年度において廃止し、代替事業として子育て支援事業等の構築(子育て応援チケット『みるくっく券』の交付)や『GOGOチャレンジショップ』による商工業の活性化を図った。

2. 事業実施までの流れ

(1) 空き店舗対策として町内の起業を誘発する事業として、仮称起業家支援事業補助金として、2007年度からの開始を目指す。
  (開運橋の渡橋式が2月1日に実施されたことも一因)

(2) 標茶町にはこれまで、振興条例に基づく振興施設整備補助金はあったが、小規模な事業を開始することに対しての支援制度があまり無かったこともあり、新たな事業開始を行いたい。

(3) 制度自体はどちらかというと、町外からの起業を誘発するということではなく、町内の方々の起業を誘発する制度として立ち上げたい。

(4) 中標津町において2006年度から実施している、「目指せ起業家支援事業」を参考としており、中標津町では2年以上の町内での居住を条件としているが、標茶町としては、あくまでも標茶町内において起業する方に対して支援を行うことに主眼をおいて、居住期間による条件はあえてはずした。また、中標津町では都市計画区域の商業地とそれ以外の土地で補助率等の格差を設けている(既存のメイン通りの衰退と郊外の大型店の進出の影響があるかと思う)が、標茶町の制度は起業促進の観点から場所についても制限を設けない制度としたい。(標茶町内であれば、どこで起業しても同じ補助率)

(5) 商工会からの補助制度という案も内部会議を行ったなかでは出されたが、新町長となって始めての新年度予算編成ということもあり、町の施策として展開したいという思いから、町から直接交付する補助制度とすることにした。

(6) 補助金交付決定にあたり、広く意見等を聞いた方が良いのではないかという案も示された。例えば地域振興補助金の審査会のような審査会を組織する方法や、商工会の経営指導員の意見を拝聴することができるよう検討をした結果、委員会を置くことができる規定(第7条2項)を設けることとした。

(7) ネーミングについては、補助限度額(当初は50万円を予定)との語呂合わせやインパクト等も考慮して、『標茶町GOGOチャレンジショップ支援事業補助金』となった。
  また、町内経済の状況を考慮し、補助対象経費の50%以上は町内業者から調達または購入(第3条4項)することを条件とした。

(8) これら内容を内部で協議後、規則の整備、町議会議員協議会への説明、広報(商工会、金融機関、広報誌)周知を行った。

(9) 規則については、事業を実施していく中で不都合な点や、町民からの要望が出てきた際にはすぐに対応できるよう2年間の時限立法とした。

3. 制度の内容(別紙チラシ)

対象となる方
(1) 新たに店舗・事務所・事業所を標茶町内に開設し商業、サービス業を営む個人、法人(第3条)
(2) 町税等の滞納の無い方(第3条1項)
  * 遊興飲食業、貸金業など業種の形態等によっては補助の対象にならない場合があります。
対象となる経費
  次の経費が対象となります。(第4条)
(1) 店舗等工事費
(2) 設備費
(3) 開業に伴う広告宣伝費
(4) 備品購入費
(5) 空き店舗、駐車場等の賃借料(最高6か月分)
 *対象となる経費(賃借料を除く)のうち50%以上は町内の事業所から購入すること。(第3条第4項)
補助額
  対象経費の1/2以内で55万円を限度に補助します。

4. 事業を実施してみたその後

 当該補助金の相談があって、補助事業を利用できなかったケ-スとして、町内業者の利用50%未満とスナック等の夜のみの営業のケースが主であった。どちらのケースも2009年度以降の課題ではあるが、町内経済の状況を鑑みると町内業者50%以上の利用は現在の段階では必須事項と考える。また、夜のみの営業については町内の起業という趣旨は理解できるが、商店街等のにぎわいを考えた場合には補助事業にのせていくという考えには至らないため、今後十分な協議が必要と考える。
 事業の実績としては、別紙資料にもあるとおり2007年度3件、2008年度も現在まで3件の事業実績となっており概ね予想どおりとなっている。
 ただし、6件中商店街中心部での利用は1件のみとなっており、制度実施当初の思惑であった空き店舗対策、駅前商店街のにぎわい再生という観点からは実績が不十分であることから中心市街地のにぎわいをどのように取り戻していけるかは今後の課題であると考える。


(平成19年度~20年度) GOGOチャレンジショップ支援事業補助金

標茶町GOGOチャレンジショップ支援事業 補助金交付規則 組合研修資料

平成19~20年度 標茶町GOGOチャレンジショップ支援事業補助金一覧