【自主レポート】

第32回北海道自治研集会
第Ⅲ統合分科会 地域社会の維持・発展をめざして

まちづくり活動と市町村合併について


北海道本部/自治労喜茂別町職員労働組合・執行委員長 遠城 諭史

1. はじめに

 喜茂別町は、札幌市の南西に位置し、国道230号線と国道276号線が交差しており、札幌市や千歳市から90分、ニセコや洞爺湖まで40分、ルスツリゾートまで10分と観光地等にはさまれ、通行客は年間500万人を超える通行型のまちである。
 人口は1945年をピークに減少に転じ、1995年の国勢調査では3,029人いた人口も2005年には2,707人と減少し、現在では2,567人となっている(2008年6月末日現在)。
 また、年少人口も減少しており、1985年に6校あった小学校も現在では2校にまで減少している。生産人口も地元企業の倒産や撤退・縮小などにより減っているなか、高齢人口は横ばい傾向にあり高齢者比率が年々高くなっている。
 基幹産業は一次産業の農業ですが担い手が少なく、農家人口も年々減少しており高齢化や耕作放棄地・休耕地も増えてきており年々衰退してきている。
 喜茂別町職員労働組合は、現在組合員数49人である。自治体財政が厳しい中、退職不補充が続き、組合員も減少を続けている状況である。
 単組のまちづくりにおける活動については、「まちづくり特別会計」を設置し、組合員が自治研活動の一環として行う調査・研究の活動費としている。
 組合員も減少、町予算の縮小という状況下で、私たちの町を住みよい町にするため、私たち町職も1990年に発足された、「きもべつ青年交流セミナー」に団体として加入し、町民と一緒にまちづくり活動をしている。

2. 青年交流セミナーとは

 「きもべつ青年交流セミナー」とは、喜茂別町内に住む青年及びその理解者等が協力し合い、学び・考え・行動することを通じ、人づくりやまちづくりを目的とし、1990年に発足した。主な活動は交流事業・研修事業・まちおこし事業や若手育成事業を行い、また、町や各団体の行事の協力などを行っており、幅広く活動している。
 現在、会員数は4団体(町職・商工会青年部・農協青年部・社会福祉法人愛和の里)、個人会員4人、合計125人である。

3. 青年交流セミナーの活動

 青年交流セミナー発足当時はイベントなどの交流事業が多かったが、少子高齢化が進み、自治体規模のあり方が全国的に問われてきた2000年ぐらいから、青年交流セミナーでも、町民を巻き込んだまちの再発見事業や講演会やシンポジウムを開催し、合併問題についても勉強や調査を重ねてきました。

4. 単組としての合併の考え方について

 はじめにでも述べたとおり、当町は人口の減少や生産人口の減、農業の衰退に伴って、財政的にも厳しく、人件費の抑制がかかり、職員の数も年々減少してきている。
 私たち組合としても、合併について視察調査や町長との懇談会を行いながら、かなりの議論を積み重ねてきた。自治体経営の破綻を避け、自分たちの職場環境や地域のことを考えると町村合併もやむを得ない選択肢と考えています。

5. 市町村合併の動き

 喜茂別町は後志支庁にあり、羊蹄山を中心とした7か町村の山麓地区にある。2002年2月に近隣町村4町村(喜茂別・留寿都・真狩・京極)での研究会が設立した。また、山麓地区の中心地である倶知安町とニセコ町でも研究会を設立する動きがあった。京極町は当面自立を目指す考えを示し、真狩村は、より大きな枠組と考え、倶知安町・ニセコ町の研究会にも加入をした。倶知安町・ニセコ町の研究会には、真狩村のほか蘭越町も加入し法定協議会を立ち上げた。当初立ち上げた喜茂別町を含めた4町村の研究会は解散し、合併への取り組みについて岐路にたつ状況となった。
 当局と議会では、考え方が大きく異なり、当局はより大きなスケールメリットを考え、倶知安町を中心とした法定協議会への加入を、議会は法定協議会の合併の是非をも含めた検討という進め方から、当初の4町村から京極町・真狩村をのぞいた留寿都村との2町村での合併を模索するという状況となった。法定協議会に加入・立ち上げのためには議会の同意が必要であることから、ねじれ現象が生じていた。

6. 市町村合併と青年交流セミナーの活動

 市町村合併の話題については、町民の関心を集め、当然青年交流セミナーのなかでも、合併について今後どうなるのか、不安などについても話が出てきたことから、セミナーの中で勉強会やワークショップを開催し、合併に対して、「期待するところ」や「不安に思うところ」また、合併してもこの地域を魅力ある"まち"にするにはどのようにしたらよいかなど、話し合いを進めてきた。
 2003年に入ってから一歩進んだ勉強会を行い、合併した後の旧自治体のあり方や財政問題などまとめた資料を作成し、同年9月に開催したシンポジウムに参加者に配布した。(別添)
 合併特例法の期限を2005年3月に控え、全国各地で具体的な取り組みが進んでいる中、本町でも合併に向けた議論(枠組み)が町長(大きな枠組み)と議会(2町村が大半)でなされていて、その内容については町民にはあまり知らされていない状況であった。
 私たちは、町の責任者である町長の考え方、議会の考え方などを町民の前で明らかにしてもらい、多くの町民が今後の私たちの"まち"のあり方を考える機会としてシンポジウムを開催した。会場には、町民110人もの人が集まり、町民の関心の高さを知ることが出来た。
 シンポジウムの進め方は、はじめに町長より「市町村合併 私はこう考える」と言う演題で講演していただき、その後パネルディスカッションに入った。パネラーは町長・議会・商工会の代表者と主催者の4人、進行役のコーディネーターで論点は大きく3点にしぼりパネラーから聞き、その後会場に集まった参加者からも質疑を受ける形にした。
 時間の都合で聴くことの出来なかった質問や即答できなかった回答等は後日、開催内容のニュースの中に盛り込んで新聞折込等で町民に配布した。
 その後青年交流セミナーの会員による合併に係る先進事例調査も行ってきた。(別添)

7. 今回の取り組みについて

 市町村合併は地域に住む住民にとって、大きな関心事ではあるが、今回の喜茂別町の場合は、当局・議会とも町民の意見を聞く場がなかったという状況の中で合併について話が進んでいた。
 シンポジウムの開催は、単組独自の取り組みではなく、青年交流セミナーの活動を通じての開催となったが、開催までの間、青年交流セミナーに参画する他団体との交流・学習の中から企画・実施となり、住民と協働によるまちづくりの活動であった。


(別添)市町村合併シンポジウム「わたしたちの"まち"をどうするか