【自主レポート】 |
第32回北海道自治研集会 第Ⅳ-①分科会 これでいいのか!? 日本の人権 |
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1. 同和対策法期限内に実施された同和対策の見直しと継続事業 (1) 同和対策諸制度として (2) 同和対策分科会での協議 (3) 今後の課題として 2. 同和対策協議会から人権対策協議会へ 合併協議会分科会で協議の結果、条例制定に関しては、既存の「同和対策協議会条例」を「人権対策協議会条例」に名称を改めることとし、新たに「大崎上島町人権施策推進本部設置要綱」を制定し、人権が尊重される真に平和で豊かな社会を実現するために、取り組みを行っています。 3. 大崎上島町企業等人権問題連絡協議会の設立 2005年の「企業等人権問題連絡協議会」の設立については、1985年に旧大崎町において設立された「企業関係者同和教育推進協議会」を合併に際して、名称を改めて大崎地区の18企業等に加え、東野地区においては10企業等、木江地区においては10企業等の参加があり、合わせて38企業等の「人権問題への問題を推進していく組織」となりました。現在は45企業等の組織となっています。 4. 人権政策の確立を求める大崎上島地区連絡会議へ実行委員としての参加について 大崎上島地区の部落解放・人権の確立を求める連絡会議において、行政も構成団体の一員として加入しています。 5. 大崎上島町における人権問題に関する町民意識調査について 大崎上島町としてスタートして5年目、「人権問題に関する町民意識調査」を行い町民が同和問題を含めた人権問題全般について、現在"どのような考えや意識を持っているか"を調査し本町の今後の人権啓発推進の基礎資料として活用していくことを目的として、町内に住所を有する方(20歳以上7,854人)の中から旧3町の人口・男女・年齢が均等となるよう600人を無作為に抽出して調査したものです。 |
人権問題に関する住民意識調査における設問内容として 質問1について (1) 性別 (2) 年齢 (3) 居住について(大崎上島町に住んで何年か) 質問2について (1)~(5)については、全般的な人権問題への設問であり、その理解度を把握することに努める。 (1) 世界人権宣言 (2) こどもの権利条約 (3) 国の同和対策審議会答申 (4) 人権教育及び人権啓発の推進に関する法律 (5) 大崎上島町個人情報保護条例 質問3については、最近身近であった人権問題への設問。 質問4については質問3での内訳でどんな人権問題が多いか(話されたか)、認識がもたれているか。 質問5の(1)~(10)については現在の日本社会にある人権問題についての設問である。各問題の把握に努める。 (1) 女性に関する人権問題 <1> (1)の「ある」「少しある」事の内訳 <2> 女性の人権を守っていくための事柄 (2) 高齢者に関する人権問題 <1> (1)の「ある」「少しある」事の内訳 <2> 高齢者の人権を守っていくための事柄 (3) 障害者に関する人権問題 <1> (1)の「ある」「少しある」事の内訳 <2> 障害者の人権を守っていくための事柄 (4) こどもに関する人権問題 <1> (1)の「ある」「少しある」事の内訳 <2> こどもの人権を守っていくための事柄 (5) 在日外国人に関する人権問題 <1> (1)の「ある」「少しある」事の内訳 <2> 在日外国人の人権を守っていくための事柄 (6) アイヌの人々に関する人権問題について (7) HIV感染者、ハンセン病感染者等に関する人権問題について (8) 刑を終えて出所した人に関する人権問題について (9) 犯罪被害者に関する人権問題について (10) インターネットにおける人権問題について 質問6については自分の人権が過去3年間の間、侵害されたかどうか。 質問7 (1)は質問6で「ある」と答えた方の事柄 (2)は(1)に対する対応策 質問8 差別的な言動が出た時の対応策は 質問9 結婚問題について 質問10 同和地区や同和問題について知った時期 質問11 同和地区や同和問題について知ったきっかけは 質問12 同和問題についての設問 <1> (1)の「ある」「少しある」事の内訳 <2> あることの原因は何と思うか 質問13 同和地区の人との結婚問題について 質問14 同和問題を解決するための施策について 質問15 同和問題とのかかわりについて 質問16 部落差別は自然となくなるかどうか。 質問17 同和問題を解決するために大切と思うことは。 質問18 人権を育んで行く地域づくりについて 質問19 人権問題の重要な柱は。 質問20 町広報の「人権シリーズ」について 質問21 町の人権擁護委員について知っているかどうか。 質問22 人権問題解決のためにどのようなことをしようと思いますか。 最後に 自由記述欄 (あらゆる人権問題や教育・啓発活動についてのご意見) |
(1) 人権問題(同和問題を含む)をめぐる回答 ① 人権問題についての知識 日本の人権問題に関わる代表的な宣言・法律等についての知識の有無、および知識の程度について聞いた結果は次のとおりでした。 「世界人権宣言」を「知っている」(「知っている」と「名前は聞いたことがある」を含めて)と答えた回答者は92.8%、以下「子どもの権利条約」76.8%、「同和対策審議会答申」75.1%、「人権教育・啓発に関する法律」72.4%、「大崎上島町個人情報保護条例」71.8%でありました。 ② 人権問題についての認識 さまざま人権問題、すなわち、女性、高齢者、障害者、子ども、在日外国人、アイヌ、HIV感染者、ハンセン病患者、刑を終えて出所した人、犯罪被害者、インターネットでの被害者、同和問題について、どれほど認識しているかの調査結果は次のとおりでした。 女性の人権問題があると答えた人(「あると思う」と「少しはあると思う」を合わせて)が90.0%、障害者83.8%、高齢者82.4%、刑を終えて出所した人77.5%、子ども77.1%、犯罪被害者76.0%、HIV感染者・ハンセン病患者70.4%、インターネットでの被害者67.1%、同和問題66.0%、在日外国人63.1%、アイヌ30.0%、でありました。 これらは、回答者の問題意識の実態を示しますが、その実態は、マスコミで社会問題として宣伝された度合、地域生活のなかでの問題との出会い、回答者の個人的体験等に規定されたものであります。 同和問題を挙げた回答者は6割半ですが、3割半の人は同和問題は(もはや)ないと答えていますが、これは同和問題に接する機会がない(と思っている)人だけでなく、同和問題は「ないことにしたい」と思う人が含まれています。 ③ 人権についての考え |
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「人権は制度として必要」および「人権は、人を思いやることだから必要」と答えた回答者が96%に及びますが、タテマエ意識で答えた人も多いと思いますが、大崎上島町民が「人権」を当然の課題であると思っているということであり、町をあげての人権問題への取り組みのコンセンサスはすでにあるということでこの数値は評価してよいでしょう。 |
④ 人権問題についての経験 |
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⑤ 人権問題についての態度(行為) |
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(2) 同和問題をめぐる回答 ① 同和問題との出会い |
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② 同和問題についての認識 |
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③ 同和問題に対する態度 |
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(3) 暫定的な結語 (抜粋) |
今回の単純集計の結果の暫定的な分析から、いくつかの概略的な結論が導き出される。……人権問題について、一つは大崎上島町の人権問題をめぐる、これまでの制度的・社会的・啓発的な取り組みに、一定の成果が認められる。二つに、しかし、町民の人口構成や就労・生活構造に発する人権問題が、広汎に生じている。三つに、行政や町民のこれらの問題に対する取り組みは、十分とはいえない。行政課題も少なくない。 次に、同和問題について、一つは行政や町民の同和問題についての、これまでの制度的・社会的・啓発的な取り組みに、一定の成果が認められる。二つ、しかし、結婚の問題をはじめ、いまだ厳しい部落差別が存在する。意識の面では、ホンネとタテマエのギャップが大きい。「対策原因論」や「自然解消論」も、根強く浸透している。三つ、それは、同和行政・教育が十分ではなく、また、その目的が町民にしっかり伝えられていないためである。 いずれの問題も大崎上島町だけでなく、他の自治体も抱える課題である。一方で、国際化の波の中、人権問題の重要性が指摘されている。他方で、同和問題はもとより、人権問題への取り組みが後退しつつある。そこには、経済・政治・社会・行政上の、今日的な背景がある。人権問題と同和問題に対するおざなりな取り組みは、これまで以上に、その目的達成が阻害され、そのつけが、同和地区住民をはじめ、地域で弱い立場に置かれた人々に回されることになる。この原点にたえず回帰して、大崎上島町が、人権の町に向けて前進されることを祈念してやまない。 |
6. 最後に
合併して5年経過する中で、現在の町民の人権問題に対する町民の意識調査の分析作業中ですが、今後の行政の果たすべき役割・課題について整理を図っていき、人権意識の向上を図り住みよい"まちづくり"へ向けて、今後も活動していきます。 |