【自主レポート】

第32回北海道自治研集会
第Ⅳ-②分科会 地域で教育を支える~教育行政・生涯学習・スポーツ・文化~

市民の求める給食って何だろう
(学校給食フェアの取り組み)

新潟県本部/三条市職員労働組合連合会

1. はじめに

 三条市は新潟県のほぼ中央に位置し、新潟市、長岡市という大きな市に挟まれた市で、産業としては工具、包丁などの金物のまちとして、古くから知られています。2004年5月に栄町、下田村と合併し、人口10万人の市になりました。
 2008年7月現在、全組合員774人のうち、現業組合員は160人で、「定員適正化計画」という名のもとに、現業職場においては定年退職者の正規職員採用による補充のないまま、臨時職員が増加するばかりで、学校給食職場では2008年現在、正規職員35人、臨時職員38人という職員の構成となっています。
 保育所給食においては「民営化検討委員会」が設立され、現在24施設ある公立保育所を9施設が年次計画に基づき、民営化が進んできています。
 学校給食の職場は"食育推進基本計画"の中では、単独調理方式(自校方式)による教育上の効果についての周知、普及が明記されていますが、三条市は5つの協同調理場によるセンター方式よって毎日10,000食の給食を作っています。

2. 給食フェア実施にいたるまでの経緯

 それまで、県内のいろいろな市町村で行われている給食フェアに何回も見学だけはしていましたが、いざ自分たちの手で計画し実行するとなると、なかなか重い腰が上がらない状態でした。保育所の民営化が具体化する中で、2006年に保育所給食調理士から声が上がり、同年11月に三条市としての第1回給食フェアを実施することができました。参加者約1,000人と大変盛況で、アンケート結果からも続けてやってほしいという意見を多数いただきました。
 市の主催の市民試食会は、年2回ほど行われ、作る側として参加はしています。
市民に私たちの仕事を理解してもらい、直営の必要性を訴え、市民の気持ちや考えを理解するために、直接市民と触れ合うことができる良い機会だと思った事がきっかけでした。

3. 学校給食フェアの開催状況

(1) 当日まで
 学校給食部会と執行部が中心になって、学校給食フェアを11月下旬に予定し、計画を立て活動をして行きましたが、出だしの遅れが響いたため、開催が困難と断念しました。その後、改めて計画し、企画(*別紙企画書参照)及び立案をしっかり見据ながら始めました。
 最初に関係施設の使用願い及び事前準備に相当な時間を費やしました。今回は新年度入学する児童を持つ家庭を対象に捉え、学校給食に興味を持ってもらうべく、三月下旬の春休みのこの時期に設定しました。又、三月の季節柄地元の食材が調達し難い時期でしたが、食の安全の観点から出来るだけ国産品を使用したい思いがあり、献立を検討した結果、子どもたちに人気のあるビビンバを献立の柱におき、食材はすべて国産にしました。企画書を元に進めている矢先に、中国ギョウザ中毒事件が起き、給食フェアで使用する食材に中国産を使用していないかが問題になり、全ての納入業者から食材の原産国データを取寄せ、開催当日に、このデータを一覧表にして開催会場に掲示しました。
 給食フェアに市民の方々がより多く来て頂くための広報活動については、パンフレット(新聞折込チラシ)、ポスターも何度も手直しを重ね作成し、印刷業者、地元新聞社と打ち合せを行い取り組みました。更に学校給食フェア及び試食会で市民の率直な生の声を聞きとる手法として、当日来場者及び試食会に参加された方にアンケート調査を行う事としました。試食会は有料の予約制とし、電話のしやすい休日に受付を開始することにしました。
 前日準備から開催まで、学校給食職場の組合員だけではなく、三条市職員労働組合連合会の全体の取り組みとしました。当日まではタイムスケジュールに沿って行いました。


(2) 開催当日


「給食ができるまで」や「バイキング給食」の紹介など展示物にも興味を示してもらえました

ステージの上では「ゲーム」や「バルーンアート」などのお楽しみコーナーを開設しました

わたあめやポップコーンなど子ども達にも好評でした

「イカのかりん揚げ」「ひじきマリネ」の一口試食も300食用意しました

試食会は11:30からと12:30からの2度に分けて行い、大好評でした

試食会には親子連れが目立ちました


(3) アンケート結果の集約について(抜粋)

Q1:あなたの年代をお聞かせください


Q2:学校給食フェアに来場されたきっかけは何ですか?


Q3:学校給食に何を求めますか?



4. 終わりに

 当日のアンケート結果を見ていただいてわかるように、市民の皆さんは、給食費の金額ではなく、安全で安心な給食を求めています。私たちは、次世代を担う子どもたちの成長を支える食にかかわる者として、常に「安全・安心」のために、日々工夫、努力をしながら愛情をこめて給食を作っています。当日は、単に懐かしい給食の味を試してみたいという気持ちだけで参加された方もいらっしゃいましたが、私たちの日々の努力や考え方を少しでも感じてもらえたように思います。
 フェア実施に関する反省点として、担当毎の打合せ回数は多かったものの、全体的なミーティング不足から、来場者に対して余裕のない対応となってしまい、私たちの思いがしっかりと伝わったのかどうかについては疑問が残りました。ただ、成功裡に終わらせようとする従事者の一生懸命な姿は、労働運動という観点や給食フェアを実施する大儀を理解するという意味では効果があったといえます。
 今後も、私たちの仕事の必要性と重要性をアピールし市民と作りあげる学校給食を目指すためにも継続的にかつ発展的に開催していきたいと考えています。
 第3回目は、保育所給食調理士が中心となって、保育をキーワードとした「保育所給食フェア」を11月末に予定し、既に実行委員会も動き始めています。今回は、地産地消の立場から野菜を育てている農家の方にも参加をしていただくことを計画しています。

おまけ
(三条市労連の新たな取り組み)

 三条市労連は「さんじょうユニオン」を組織し、社会問題化している低賃金の労働者に対しての取り組みを始めています。
 また、三条市におけるごみ問題や地球温暖化の課題にも着目し、市職員として何ができるのかという考え方から、小さなことから始めようと組合員に「my箸」の使用について取り組んでいます。その結果として、市内の一部のホテルで賛同していただくことができ、少しずつではありますが、市民の皆さんに理解が広がっているようです。