【自主レポート】

第32回北海道自治研集会
第Ⅳ-②分科会 地域で教育を支える~教育行政・生涯学習・スポーツ・文化~

学校給食と地産地笑


沖縄県本部/北中城村職員労働組合・北中城村立学校給食共同調理場・調理係長 楚南 兼二

1. はじめに

 北中城村は、沖縄本島の中部地域にあって、那覇市の北東、約16kmの地点にあり、東は中城湾に面し、南は中城村と宜野湾市、北は沖縄市、西は北谷町に隣接し、人口約16,000人の村です。
 北中城村の地形は起伏に富み、緑豊かで風光明媚な自然、優れた伝統文化、また、2000年12月に世界遺産に登録された中城城跡や国指定重要文化財の中村家住宅等、歴史的遺産が数多く残された魅力ある村を形づくっております。
 現在、これらの資源と地理的条件を活かし、村おこし事業や軍用地の返還等に伴って将来の土地利用の基本となる跡地利用プロジェクトが進行中であります。
 さて、飽食の時代と言われて久しいですが、最近の児童生徒の現状は、体位は向上しているものの「生きる力」の基礎ともいえる体力は低下傾向が続いております。適切な運動と十分な休養・睡眠・調和のとれた食事という健康3原則を守り、徹底した生活習慣の改善が必要になってきています。
 望ましい食習慣の形成を促すことが極めて重要であり、食に関する指導を充実させるためにも、学校給食が果たす役割は大きいものであります。
 こうした学校給食の重要性を年頭に、私たち学校給食調理場では、子どもたちに豊かな食習慣を身につけ、安全で、美味しく夢のもてる給食づくりに努めています。

2. 北中城村立学校給食調理場の概要

 北中城村の学校給食は、共同調理場方式で、小学校2校、中学校1校の約1,900食で、所長(教育総務課長兼任)、給食係長、栄養士(県費)、調理師11人(正規7人、臨時1人、日々雇用3人)、事務職員(臨時1人)で営んでおります。給食費小学校3,900円、中学校4,500円です。

3. 豊かな学校給食実現のために

 私たちの学校給食は、地域の特性を生かした、「安全でおいしい学校給食」の提供を目標に、手作りの味を追求し、安全な食品の使用に向け、地域の旬の産物を使用し、子どもたちの生きる力を育てるため、地域・学校と連携して、郷土食、行事食等、献立の多様化給食内容の向上を図っております。

(1) 地産地消の推進
① 生産者の顔が見える安全・安心で新鮮な食材を確保する。
② 子どもたちに、地元の旬の食材を食べさせることにより、生産者の給食に対する理解を深め、農・水産業の振興を図る。
③ 子どもたちに、毎日見ている畑で何ができるか、地元の特産品が何なのか、知ることにより地元への愛着を深めることができる。
④ 地場産物の生産者や生産過程を通じて(体験学習等)農家の苦労を伝え、自然の恵み・食べ物への感謝の気持ちを抱かせることができる。
⑤ 学校給食を通じて、学校・家庭・地域との連携を深めることができる。

(2) 学校給食への地元産品活用の現状
① 水産物(アーサ)


北中城村漁業組合

② 野菜類(人参、じゃがいも、大根、サヤインゲン、冬瓜、にがうり、パパイア、へちま、かぼちゃ、なす、おくら、キャベツ、白菜、ほうれん草、チンゲンサイ、小松菜、レタス、サニーレタス、ようさい、セロリ、にんにく、ねぎ、にら、トマト等)


安里さん(熱田)
(人参、にら、なす等)
与那覇さん(仲順)
(人参、ネギ、ほうれん草等)
与儀さん(大城)
(さやいんげん)

棚原さん(安谷屋)
(キャベツ、白菜、なす等)
棚原さん(安谷屋)
(キャベツ、冬瓜、ねぎ等)
比嘉さん(安谷屋)
(にら、レタス、ねぎ等)

  学校給食協力農家 野菜 25人
③ 果樹類(パッションフルーツ、ドラゴンフルーツ、シークァーサー、四季柑、レモン)


大城さん(渡口)
(パッションフルーツ)
村吉さん(石平)
(シークァーサー)
棚原さん(安谷屋)
(ドラゴンフルーツ・野菜等)

  学校給食協力農家 果樹 8人
④ 卵類


比嘉さん(和仁屋)

⑤ キノコ類


大城さん(熱田) えびす茸

⑥ みそ

JA婦人部 みそ

⑦ 地元食材を活用した思い出バイキング



  小学校6年生と中学校3年生に卒業を記念して思い出バイキングを行っています。

(3) 具体的に見える形での実現として
① 地元食材の地域における活用実態の把握
② 学校給食・福祉施設・公共団体・あるいは企業の食堂における地元食材の活用促進
③ 地元食材の需要と生産計画等の調整
④ 地元食材活用促進の普及啓発
⑤ 地元食材を供給するシステム確立(流通の確保)および推進

(4) 地場産物調達体制

(5) 今後の課題
① 規格や生産量の確保(安定供給・農作物の植付け時期の調整や収穫後の保存)
② 余剰作物の処理
③ 価格の設定
④ 納入時の連絡体制(発注数量に応じられない場合の納入調整)
⑤ 地元食材の年間生産計画
⑥ 生産者への衛生指導及び農薬指導
⑦ 仲介役(コーディネーター)の配置

(6) 課題を克服するために
 毎月、給食調理場と産業振興課で、地産地消連絡会を開催し、連携をとりながら、献立確認、地元食材の生産量や、作物収穫予定等の情報交換を行います。
 地産地消連絡会で、協議された内容を、地産地消推進協議会役員会で確認し、地産地消推進協議会の会員(40人)のみなさんに、内容を図っていきます。




地産池消連絡会
学校給食での地場産物使用状況の説明


地産地消推進協議会役員会
地場産物使用状況の取り組み報告


地産地消推進協議会
作物収穫予定表の取り組み確認


南部農家(先進地)視察
日時:平成20年3月19日(水)参加者39人
目的:南部地区の先進地農家視察研修を通して、北中城村の生産農家の育成と安全・安心な作物の品質及び生産性を高める。

(7) 地場産物活用における今後の目標
① 第一次産業の活性化  
  学校給食費(年間) 80,000,000円
  基本物資(米、パン、牛乳等) 25,000,000円
  野菜類 15,000,000円
  肉類 6,000,000円
  魚類 6,000,000円
  その他(乾物、豆類、調味料等) 28,000,000円
   アーサ、野菜、果樹、卵、えびす茸、手作り味噌等、地場産物活用で最終目標10,000,000円
地場産物使用実績
   ○2005年度 1,700,000円
   ○2006年度 3,600,000円
   ○2007年度 4,400,000円
   ○2008年度 6,000,000円 目標
② 食農・漁教育
  村内の小・中学校で、総合学習、生活科などの授業で農・漁体験実施
③ 特産物の開発
④ 学校給食における生ごみ、残滓による堆肥づくり

4. まとめ

 学校給食は単に栄養価の問題だけでなく、正しい食生活を理解するものと考えます。地元食材を活用することによって、子どもたちに食料の流通や、食への理解・関心を高め、自然の恵みへの感謝など、食育を推進し、また、調理場と役場、生産者の信頼関係を構築し、コミュニケーションを通しながら、笑顔を咲かせ、地域の農水産物を活かした豊かな食文化を育む事ができると考えます。
 職員が創意・工夫をし、地域に根ざした学校給食を目標に、職員一致団結して頑張っていきたいと思います。