【自主論文】 |
第32回北海道自治研集会 第Ⅳ-④分科会 自治体から発信する平和・共生・連帯のメッセージ |
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1. はじめに 2002年4月から青年海外協力隊として中米グァテマラでの「マラリア・風土病症対策」という業務で派遣され、様々な経験をして2年後の2004年3月に帰国し、職場に戻りました。 2. 制定の経過 2001年5月に京都市南まち美化事務所(清掃事務所)の所属長に現職参加による協力隊応募の意思を伝え、一次選考に臨み合格しましたが、その報告を受けとった京都市当局より現職参加は困難であるとの返答を二次試験前日に受けました。 3. 派遣中の活動と経験 中米のグァテマラは約30年間、軍事政権によるマヤ系住民の虐殺が行われていたが、10年前に停戦が成立し、国連機関・海外のNGO等の援助・開発が開始しました。 |
ヒト・動物に吸血し寄生虫を媒介するサシガメ、自覚症状がなく10数年後死に至る(左上)。 山岳地帯に住むマヤの集落で多発するため貧困の病気と呼ばれる(右上)。 |
集落に到着すると村のリーダーに依頼し住民を集め調査の説明をする。(左上)。 家屋の土壁を中心にサシガメの生息を調査、殺虫剤散布の計画を立てる(右上)。 |
殺虫剤散布は一時的な効果しか期待できないが、住民の理解と協力には欠かせない(左上)。 文字が読める女性は少なく、協力隊作成の紙芝居を現地職員が活用し説明する(右上)。 |
デング熱の発生した集落には患者の拡大を防ぐため殺虫剤散布が緊急に行われる(左上)。 伝統的産婆の影響力は強く、また信頼されており病気予防の教室を各地で開く(右上)。 |
滞在中は住民による食事の提供を受ける。手に持っている貴重な肉はアルマジロ(左上)。 投薬の計画は医師・看護師の「国境なき医師団」の現地チームより助言を受ける(右上)。 |
担当する県の教育事務所の責任者に交渉し、作成したポスターを全ての学校に配布(左上)。 EUの援助によりNGOが運営する看護助手の育成学校で血液検査の方法を授業(右上)。 |
手を洗う習慣がないだけでなく、水の確保も難しい山岳の集落にはお腹に寄生虫をもっている子供が多く見られた、下痢による乳幼児の死亡率が高い原因でもある(左右上)。 |
男性優位と宗教上の教えから多くの女性は10代で出産し、平均6人の子供を育てる(左上)。 コップを持っている子供。栄養状態の改善のため国際機関が給食を援助している(右上)。 |
地方ではごみはただ捨てられるだけ、写真は行政の正式なごみの廃棄場所(左上)。 山岳地域の屋根だけの学校で衛生の授業。教員の数に比べて子供たちの数は多い(右上)。 |
4. 現在の制度等 国際貢献長期休職制度については、2006年にようやく人事院勧告の「自己啓発等休業制度」の一部として意見の申し出がされ、現在では多くの自治体において制度が確立されています。また京都市では2009年度の職員採用で、一般事務上級に青年海外協力隊経験者枠を設け、24~42歳を対象に採用を予定しています。なお京都市教育委員会は、教員試験にすでに協力隊経験者枠を4年前に導入し、現在27人が採用されており、さらに協力隊と教員採用の両方に合格した場合、教員採用を2年間先延ばしできる制度を今年度より導入しています。 5. 個人としての感想 政府派遣のボランティアという肩書は途上国では大変効果があります。つまり資金を確保したうえで企画書を持ち込めば、現地の教育・保健機関またNGOの責任者との直接交渉が容易にできる立場にあり、現地の責任者のサインをもらえればその組織の全面的な協力を得られるのです。 |