【要請レポート】 |
第32回北海道自治研集会 第Ⅴ-①分科会 自然環境保全と循環型社会 |
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1. はじめに 浜中町は、北海道の東端の根室市と釧路市の中間にあり、1869年に佐賀藩からの12戸の移住から始まり、今年町政施行45周年を迎えました。 |
2. 付加価値としての環境政策 消費者は、価格が安いものを選びますが、価格競争では、人件費の安い中国や韓国など東南アジアの諸国に勝てません。しかし、その競争の前提にはBSEや中国産餃子などでクローズアップされたように食の安全があるのです。食品には、価格以上に厳密な「安全・安心・正直」が求められるのです。食品会社や老舗料亭が産地偽造や残り物の使い回しで、消費者の信用を失い見放され倒産したことでも明確です。 |
3. レジ袋の原料は石油 一方、待ったなしの状況になっている地球温暖化や限りある石油資源も考えなければなりません。レジ袋の原料は、ポリエチレンなどの合成樹脂、石油から作られるプラスチック製品なので削減すれば石油が節約できます。統計を見ると、2002年度以降レジ袋用ポリエチレン袋の国内生産量はわずかに減少し続けていますが、逆に輸入量は2006年までの4年間で1.4倍に急増しています。つまり、石油を製造と運搬に二重で使っているのが現状です。経済産業省から出されている数字を人口7,000人の浜中町に当てはめるとレジ袋使用は、年間一人300枚で210万枚、重量21トンとなり、原料となる石油は40トンにもなります。それを、「マイバック」、「風呂敷」、「ダンボール」、「レジ袋の再利用」で削減することを考えたのです。レジ袋は生ゴミを出すときにも使いますが、実際にごみ処理場で確認すると、3割から4割程度しかありませんでした。私たちが考えたのは、レジ袋の廃止ではなく、無駄なレジ袋の削減です。 4. 手軽にできる温暖化防止策 環境対策には多くの取り組みがありますが、「アイドリングストップ」では、車を運転する人しか実践できませんがレジ袋は違います。なぜなら一昔前なら買い物かごが当たり前だったはずです。白色トレーやラップを減らしましょうでは、食品の運搬や販売方法を考えると非常に難しい課題があります。レジ袋なら代替え品としてのマイバック、風呂敷はもとより、ダンボール箱で持ち帰る、更にはレジ袋を2回、3回使う事で使用量は減らすことが可能です。 5. レジ袋削減検討(推進)委員会の役割 浜中町では、ごみの有料化は35年前の1973年から実施しています。分別は5分類15種類で町民にご協力をお願いしています。その結果、ごみに対しての意識は他市町村より高く、また天然記念物に指定されている霧多布湿原と生活が隣接していることで環境保全の心が育っていると思います。だからと言って「レジ袋有料化」は、一方的な押しつけでは実施できません。商店の協力が絶対条件で、更に町民の理解が無ければ「無料店」に流れてしまうという最悪の結果になりかねません。
6. 商店及び町民への周知作業 商店の理解が得られなければ、「有料化」は実施得ず、「辞退率」を上げることはできないことから、2007年12月から3月末まで最低4回、延べ300回ほど店舗に説明に伺いました。最初は訝しげな対応だったのが、新聞やテレビで取り組みが紹介されることで積極的に「問題点」「疑問点」を出すようになりました。 7. 代金はあなたの環境意識(任意) レジ袋の代金は、当初は先進事例の5円で検討しましたが、インターネットでの意識調査では、代金の妥当性は5円が27.9%、1円が22.5%、有料化になればマイバックを持参するが28.5%であり、1円と5円では5.4%しか差がありません。(出所:マイボイスコム(株)) 8. 支払いは「レジ代金箱」へ(自発) レジスターでレジ袋代金を商品と一緒に処理するためには、袋へのバーコード印刷など新たな手間が必要となることから、商店に負担が発生しないシステムも検討しました。「商品」と「レジ袋」の代金の流れを別にするため、レジカウンターに役場で用意した代金箱を設置する方法です。商品代金の支払いとは別にレジ袋代金を「箱に入れる」行為が、面倒と感じればレジ袋を断る一つのきっかけになるのではないかと考えたのです。 9. レジ袋代金はお店の収入(商品) レジ袋は、卸店から仕入れるのですから、本来はミカンやバナナと同様に利益を上乗せして販売することが当然です。なぜか、サービスにしているのです。2007年12月までは、売上代金の町への寄附も検討しましたが、実施段階ではそれに気が付いて、売上代金は商店の収入としました(寄付はありがたくいただきます!)。町は、有料化によりレジ袋が減り、環境問題を考えるきっかけとなれば良いとだけ考え、商店に「有料化で経費を削減しましょう」と呼びかけました。 |
10. マイバックの共有化(意識) 有料化に先立ち、無料配布することで削減が円滑に進むとの意見もありました。レジ袋はただでもらうためゴミになりやすいのに、無料で配っては環境意識が芽生えるはずがありません。 11. なぜ2008年4月1日からの有料化 2008年7月から北海道で洞爺湖サミットが開催され、メインテーマが地球温暖化防止対策です。米国の元副大統領やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の地球温暖化の啓発行為に対してのノーベル平和賞授与などで明らかなように人類にとって重要な問題です。しかも、温室効果ガスによる気候変動が連日のようにマスメディアで紹介されています。多くの国民、道民、町民がこれほど環境に対して意識が高まっている時期はありません。この時期だからこそ、「有料化によるレジ袋の大幅削減」が可能だし、最初に取り組むことで多くのメディアに紹介され「エコの町浜中」のイメージアップを図ることができるはずです。
12. 有料化後の反響 「年商4億円のコープはまなか店では日平均300人の来店者の7割がマイバックを持参しています。「1月までは1割程度だった」と店長も驚きを隠さない。町内10店舗のレジ袋辞退率を尋ねたが、8店舗で5割を超え、うち5店舗から「8割」と聞いて驚いた。支払いは強制でないのに、住民は有料化の意味を良く理解しているのだろう。(出所:北海道新聞2008年5月26日)」 この活動が全国に広がり、地球温暖化防止の一助になることを期待しています。 |
レジ袋有料化の問い合わせ先 |