【自主レポート】 |
第32回北海道自治研集会 第Ⅴ-①分科会 自然環境保全と循環型社会 |
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羅臼町は北海道の東北端、知床半島の南東側に位置し、南は植別側を境に標津町に接し、東に国後島を望み、西北一帯は標高1,661mの羅臼岳を最高峰とする知床連山を境に斜里町と接しています。
知床は4項目ある登録基準のうち「生態系」と「生物多様性」の2点について評価され登録となっており、生態系については『海の生態系と陸の生態系の相互関係が顕著な見本であること』、生物多様性については『シマフクロウやシレトコスミレなど多くの希少種があることやサケ科魚類、トドや鯨類などの海せい哺乳類にとって世界的に重要な生息地であること』、また『オジロ・オオワシなどの海鳥類にとっても世界的に重要な地域であること』が挙げられます。 |
1. 遺産登録前まで 世界自然遺産に登録されるほどの知床は、先に述べたとおり、日本の中でも原生的な自然を残していると言われています。それは国内でもトップレベルの法律による地域指定がされていることが大きな要因のひとつです。特に有名なのは知床国立公園ですが、これは自然公園法により環境省により管理されている地域です。その他にも原生自然環境保全地域など4つの制度により自然が守られて、極端な開発行為は一切行われることなく、現在に至っています。
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<知床の法整備> |
法 律 |
官庁 |
(ha) |
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知床国立公園 | 自然公園法 | 陸域では特別保護地区が61%を占め、全国で最も保護に重点を置いた国立公園といえる。 | |||
遠根別岳原生 自然環境保全地域 |
自然環境 保全法 |
国内で5箇所のみ指定されており、そのうち最も広い面積を有し、国立公園よりも厳しく保全されている。 | |||
国指定知床 鳥獣保護区 |
鳥獣保護法 | 鳥獣の保護繁殖のため、捕獲及び殺傷の禁止を定めている。 | |||
知床森林生態系 保護地域 |
国有林野 経営規定 |
木材生産を目的とする森林伐採は行われず、生態系の保全を最優先する地域。 |
2. 遺産登録後は 世界自然遺産登録により、また新たな法整備がされたのでしょうか。実は何も変わっておりません。すでに国内での保全方法が確立されていたため、新しく規制を加える必要は何もなかったのです。 |
3. 羅臼町の財政 羅臼町の財政は、基幹産業である漁業の低迷や少子・高齢化の進展等に伴う経費の増大に加え、国の「三位一体改革」による地方交付税の削減などにより非常に厳しい状況にあり、今日の厳しい財政状況に対応するため、これまでもさまざまな行財政改革に取り組んでいます。 |
4. 羅臼町の取り組み
世界遺産の町として主催する自然環境の保全に関する事業については、ほとんど取り組めておりません。厳しい財政事情のため「あれもこれも」の推進型から「あれかこれか」の取捨選択型へ切り替えていかなければなりません。 |
5. 《自助》は町民の努力
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6. 《共助》は力の結集 共助は町民や団体、自治体が力を合わせ事業を進めていくものです。ここでは、教育委員会が進めている4つの事業と町が進めているまちづくり基金を紹介します。 (1) 中高一貫教育 (2) 高校生の水産教室<対象:高校3年生、年20回程度>
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(3) ふるさと体験教室「知床kids」<対象:小学校4年生~6年生、年10回程度>
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(4) ふるさと少年探険隊<小学校4年生~中学生、5泊6日> |
(5) 知床・らうすまちづくり基金
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7. 《公助》は支援・補完 (1) 知床岬クリーンボランティア |
(2) いきいき地域提案型事業 |
8. 課 題 このように新しく事業を企画しなくても、現在までにもいろいろな取り組みが行われていることがわかりました。 |