【自主レポート】

第32回北海道自治研集会
第Ⅴ-①分科会 自然環境保全と循環型社会

ごみの分別・リサイクルについて考えてみました
~別海町職自治研修部の取り組み~

北海道本部/別海町職員組合

1. プロローグ

 2007年春のこと。「ごみはどうですか?」というある組合員の提案からこの計画は始まりました。当時、別海町はごみの分別率が悪いと新聞報道までされ悪い意味で注目されていました。
 そこで「町職員」として町民の見本となり「役場の人」として当然の知識を身につけるため、学習会をはじめとする「ごみの分別・リサイクルについて考えよう」という大きなテーマに私たち別海町職員組合は2年間に亘り取り組んでまいりました。
 活動の基本となるのは次の3点です。

  ① ごみの分別を通しての地域貢献
   ・ リングプル回収箱の設置

  ② リサイクルの広報・啓発活動
   ・ リングプル回収の標語募集

  ③ ごみに関する意識の向上および学習
   ・ 学習会の開催など

 私達が行ってきた、これらの活動について報告したいと思います。

2. リングプル回収・標語募集

 リングプルは、たくさん集めると車イスに変わります。嘘のような本当の話です。別海町では、社会福祉協議会が回収の窓口となり、車イスへの交換そしてその車イスを町民へ貸し出すということを行っています。ごみの分別を通して、その活動に少しでも役に立ちたいということで、リングプル回収を行い社会福祉協議会へ寄贈することとしました。
 回収にあたり、職員組合独自で回収箱を作成いたしました。何とか作り終えて、勤務時間外(夜)に設置したところ、ごみ庫においた一個は翌朝ごみと一緒に処分され、皆さんの目に留まる事は一度もありませんでした。最初からつまずいてしまいました。
 結局庁舎の1階・3階の自動販売機前と、2階喫煙室の計3箇所の設置によりリングプル回収がスタートしました。リングプルの回収数は、わずか9ヶ月で3,000個以上にもなりました。(推移は図1のとおり。)これが、次に車イスの一部に変わるわけです。


図1 リングプル回収結果

  2007.8.17 2007.10.9 2008.1.15 2008.2.18 2008.5.19
1F 430個 550個 1,120個 1,200個 1,480個
2F 31個 650個 750個 750個 820個
3F 9個 220個 480個 570個 1,060個


 リサイクルの広報・啓発活動として、リングプルに関する標語を募集し、優秀な作品を表彰することとしました。しかし、応募数がわずか13通にとどまってしまいました。その原因は、例として作った「リングプル、プルプルとって、リサイクル」が、あまりにもインパクトが強く、応募しにくかったらしいです。そんな中でも、素敵な作品がエントリーされ、執行委員全員での審査の結果、次の3作品を表彰いたしました。

   1位   リングプル 集めてつながる こころの輪
   2位   リングプル プシュッとあけたら 車イス
   2位   捨てる前 ちょっと待って リングプル

 このほかにも、とてもユニークな作品の応募もあり、次点のこの作品を特別賞としました。

   特別賞  リングプル プルプル震える 二頭筋

 「プルプル」が内輪で流行り出したのは言うまでもありません。

3. レベルチェック・学習会

 「ごみに関する意識の向上および学習」というテーマでは、レベルチェック(テスト)を行い、その回答を学習会で説明するという活動を行いました。(問題は別紙のとおり)
 組合員250人に対し回答者は116人。回答率46.4%と半分以下の結果になりました。回答率もさることながら、回答の内容が楽しみな反面ものすごく怖いというのが本音でした。やはり予想以上の最悪な結果でした。また、全体的な回答についても、Q4分別の例題については難関と想像はしていたものの、全問正解率26%と4分の1に留まってしまいました。この結果が、別海町の危機的状況を物語っていると思います。町の職員がこの結果なら、町民レベルで考えときはどうでしょう? 決して良いはずがありません。別海町の分別率の悪さが納得できます。


1回目 ゴミだしルールレベルチェック結果

  点 数  比率 
たいへんよく出来ました 100~90点 48%
よく出来ました  85~75点 37%
普通  70~60点 12%
がんばりましょう  55~40点 2%
もっとがんばりましょう  35~0点 1%

 学習会は、多くの人が参加できるように、2回開催するという手法を取り入れました。結果、1回目は18人、2回目は29人と予想以上に2回開催の成果があったように思われます。
 また、2回目の学習会では講師の配慮もあり、パネルや写真を使い、よりわかりやすい形にしたことも要因となって、質問だけではなく提案まで出されました。
 「ごみの減量化のために使い捨てカップをやめて、マイカップやマイボトルを活用してはどうか?」とか、「缶やペットボトルを洗って捨てるように徹底してはどうか?」などの提案が出され、とても有意義な学習会となりました。

4. 迷路への突入

 しかし、この活動により新たな課題が生まれてしまいました。それは、組合員から出された提案をどういう形で活動に盛り込むかです。使い捨てコップの撤廃? 缶は洗ってから捨てる指導? 一体誰がどうやって、どんな方法で行っていけばいいのだろう……。私は途方にくれました。自治研修部内でも話し合いましたが結論は出ません。ただ私としては誰かが押しつけるのではなく、「自らの意思で改善して欲しい。」というのが本音でした。職員組合がリードするのではなく、これらの活動による「個々の意識の変化」これを期待していたのです。出口の見えない迷路に迷い込んでしまいました。

5. プラスの連鎖

 その時、一人の組合員が動き出しました。3階自動販売機ごみ箱の近くに張り紙をしたのです。「空き缶を捨てる前に、必ず水で濯いでください。」
 そこから、事態は急変します。今まで、分別に興味がなかったような管理職の方などが空缶を洗い出しました。そして、リングプルにも関心を持ち、取らなきゃならないのか? など、私に聞いてくるようになりました。この効果の表れが、3階のリングプル回収数の伸びでわかります。また、逆の作用で、缶を洗ったり、リングプルを取るわずらわしさから、「やっぱりマイボトルにするか……」といった独り言も聞こえてきました。実際、3階にはマイボトルを使っている人がいます。私もマイボトルを用意することにしました。これはプラスの連鎖だなと感じました。




6. 評価 ~ 2度目のレベルチェック

 さて、いよいよ評価の時がやってきました。少しずつですが、ごみの分別への関心が高まってきているだけに、実際の理解度を数字で見るのは怖いものがあります。しかし、ここで逃げるわけにもいかないので、予定通り2回目のゴミだしルールレベルチェックを行うこととなりました。また、当初は1回目と同じ問題で行う予定でしたが、1回目の問題はクレーム等があり、同等レベルの問題を再度作り直すこととしました。
 組合員252人に対して、回答者92人と回答率は36.5%に下がってしまいました。
しかし、90点以上が63%となり、全問正解者が44人と48%にもなりました。この数字は、1回目の90点以上と同じ数字です。この結果から、昨年と比較して明らかに理解度が上がったと考えられます。ホッと一安心です。


2回目 ゴミだしルールレベルチェック結果

点     数 1回目 2回目
たいへんよく出来ました 100~90点 48% 63%
よく出来ました  85~75点 37% 15%
普通  70~60点 12% 13%
がんばりましょう  55~40点 2% 8%
もっとがんばりましょう  35~0点 1% 1%

7. これから ~ 改善へ向けて

 私たち、自治研修部はこの「ごみの分別・リサイクル」という大きなテーマの中で、「町職員」として町民の見本となり「役場の人」として当然の知識を身につけるため、さまざまな試みをしてきました。その結果、分別に対する理解度も上がり、また自主的に周りに働きかける人まで出てきました。
 これまでの活動は、それほど大きな物ではないと思います。啓発活動・学習会・理解度の確認という一連の流れの中で、個人個人がそれぞれ理解を深め、自ら行動する事、少し気をつける事、その積み重ねが周りへ影響を与え、全体の結果意識レベル向上へと繋がってきたと考えられます。まだまだ、不十分かもしれませんが確実に意識は向上しています。
 意識が上がってくると、必ず疑問がわいてきます。その証拠に、2回目のレベルチェック時には、いくつもの質問が寄せられました。それらを整理し、フィードバックする事も考えていかなければなりません。
 まだまだ、やれることは沢山あると思います。最近は、会議でお弁当が出るときには「マイ箸」を持参しては? という案も出ています。今後もこのような個々の主体性を大切にし、個人レベルで出来る小さなことから地道に改善していこうと考えています。


(別紙)「ゴミだしルール」常識度レベルチェック