【自主レポート】 |
第32回北海道自治研集会 第Ⅴ-①分科会 自然環境保全と循環型社会 |
|
私は、昨年まで環境課に配属しており6年間勤務しました。日ごろ勤務する中で、ごみを処理することから資源として循環することに興味が沸いてきました。資源を持たない国日本とよく言われますし、食料の自給率が40%にも満たない日本の状況の中で、特に、鳥羽市ではホテルが多いために生ごみが可燃ごみの約50%を占める状況にあります。多くの税金を投入しごみとして処理をすることに疑問を感じてきました。本市の人口は、現在約23,000人で、観光地ということから一人当たりの廃棄物量が県下で最も多い地域となっています。一般廃棄物の処理方法は、資源化が10%、埋め立てが10%、焼却が約80%です。可燃ごみの焼却処理は、地球温暖化に大きな影響を与えます。また、埋め立て処理した不燃ごみや焼却灰は将来も消えてなくなることはありません。こうした環境に負荷の高い処理を改め、持続可能な社会を目指して、ごみを資源として循環するコストの安い方法を考えなくてはならないと思ってきました。資源循環型社会を実現するための一つの手段として取り組む事になったのが、「リサイクルパーク」の試みです。 1. 事業発案のきっかけ 2005年、三重県の衣装ケースによる「生ごみ堆肥化研修」に、市民のみなさんが何人か参加し地域で実践が始まりました。この「衣装ケースによる生ごみ堆肥化」を継続するには、床材(とこざい)と呼ばれる衣装ケースに入れておく籾殻やコメヌカの入った微生物の資材が必要です。また、家庭において2~3ヶ月で一杯になった衣装ケースを回収し2次処理(約3ヶ月かけて発酵処理)し、堆肥化することが必要だとわかりました。こうしたことから、市民グループ代表の皆さんと行政で、「生ごみリサイクル連絡会」を結成しました。 2. グリーンアドベンチャークラブの試み 職員組合の呼びかけで、市職員と市民を加えた10数人で、資源循環のための生ごみ堆肥を活用した野菜づくりを目的に活動を始めました。私もその一員です。比較的簡単に野菜づくりが楽しく取り組めました。また、市役所玄関横に花壇を整備し生ごみ堆肥のおかげで花も活き活きと咲いています。こうした活動を通して生ごみ堆肥の良さを実感することが出来ました。 |
3. 一番工夫した事 計画段階から市民のみなさんに行政と共に考え実行に移す作業を2年余りかけて、完成することが出来ました。先進地の視察なども行いながら毎月1回以上の会議で、楽しく激しい議論を繰り返しました。 |
4. 『リサイクルパーク完成までの道のり』 |
5. 2007年3月11日リサイクルパークオープン リサイクルパークは、2006年度三重県ごみゼロ社会実現プラン推進モデル事業として、1/2県補助で、市の保有する土地に、約2,300万円で事務所、堆肥舎等を整備しました。土地の面積は、420平方メートルです。 |
6. 「ひなたぼっこ」の利用方法 ① 家庭で、一次処理として2~3ヶ月間「ひなたぼっこ」で減量化します。各自、リサイクルパークへ搬入し一次処理物と引き換えに、新しい床材と完熟堆肥20リットルを無償で受け取ります。 |
○『ひなたぼっこによる資源循環』 |
7. 人材育成 「ひなたぼっこ」を考案したのは、有機農業を実践されている橋本力男先生です。堆肥化するためには、発酵技術と堆肥を利用した野菜の栽培技術が必要です。毎年、橋本先生のコンポスト学校(20日間)に派遣しています。これまで、環境課職員2人、NPO2人が卒業しています。今後も継続して派遣する予定です。 8. 事業の一番の成果 新しい行政のあり方の見本であり、市民参画のお手本が出来たことです。試験的に古着や廃食油を回収しリサイクルするなど、現在でも毎日が試行錯誤の連続で、新たな行動を常に考え前進しています。他の地域のNPO等との交流が盛んになってきましたし、視察も増えてきました。NPOのメンバーは、資源循環型社会に貢献する意義深い活動に生きがいと誇りを感じ活き活きと約20人が活動しています。リサイクルパークの活動が、鳥羽市の活性化に繋がり、元気が出て来ると思います。他の分野にもこうした活動が影響を与えることを期待しています。 9. 将来の課題や展望 リサイクルパークの利用者は、1年間で約13,000人となりました。「ひなたぼっこ」の取り組み人数は、300人を超え増加の傾向です。今後は、さらにリサイクルパークの活動を広く情報提供し、ネットワークを拡大することです。昨年12月に、リサイクルパーク情報誌「ひなたぼっこ通信」を発刊しました。また、2008年度には、ホームページを開設する準備を進めています。 |