【自主レポート】 |
第32回北海道自治研集会 第Ⅴ-①分科会 自然環境保全と循環型社会 |
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1. はじめに 地球環境によいとされる活動が様々な分野で行われ、エコと名のつく商品が次々に開発されている。私たちもごみの減量化やリサイクルなど自分たちで出来ることを行い、少しでも地球環境の改善になればと考えている。その中でも私たちは「洗い物」にはかかせない洗剤、石鹸について考えてみようと思う。今時代はリサイクル。石鹸についても食生活の中から出てくる廃油を使用した廃油石鹸が商品化され、地球環境によいものとして注目を浴びてからある程度年月が過ぎてきている。そこで廃油石鹸は地球環境にやさしいのか? 本当に合成洗剤よりも優れているのか? 今使用している合成洗剤を全て廃油洗剤に替えて洗い物をして大丈夫なのか? 2. 合成洗剤と石鹸の歴史 まず石鹸と合成洗剤がどのようにして私たちの暮らしの一部となっていったかを調べることにより、生活との関わりを考えてみたい。 (1) 石 鹸 (2) 合成洗剤 以上のことから人は「自然」を対象に石鹸を作り「洗い物」をしていたが、大量生産、大量消費に耐えられるものとして、また洗濯機、食器洗浄器などの機械の普及に対応できるものとして「便利さ」を追求した結果が合成洗剤の普及につながったものと考えられる。 |
3. 石鹸と合成洗剤の特徴 次に私たちの生活に必要である2つの必需品。それぞれの特徴をならべてみよう。
好気性バクテリアが、水中の有機物を酸化分解するのに必要な酸素量で、水質汚濁の指標の1つ。普通20℃において5日間に消費する量を、ppmまたはmg/lで示す。化学的酸素要求量(COD)が海域や湖沼で用いられるのに対し、BODは河川の汚濁指標として用いられる。
参考資料のデータからも石鹸のほうが、数倍BOD値が高い。 以上のことから人体や水の中の生物への影響については石鹸の方が少ないが、沢山の量を使用する石鹸のほうが有機物汚染(酸欠状態)をおこしやすいことがわかる。 4. 日出町の生活排水状況 次に分析のデータとして日出町の現在の生活排水処理状況を調査する。 |
日出町の総人口28,423人(2008年3月31日現在)のうち約54%の町民が全ての生活排水を浄化しており、下水道の普及及び浄化槽の更新に伴い整備率は年々上昇している。 5. 日出町公共下水道の現状 日出町浄化センター |
現在の処理状況表 |
上記の状況表のうち流入BODについては、季節によって変動はあるものの、平均値においては処理場の流入水質を超えた汚水が流入していることがわかる。その汚水を放流する段階では4.7mg/リットルとしており、許容値を下回る数値の浄化水を放流している。 |
この図から浄化センターで消費する電力のうち、実に41%がブロワ設備(注1)に要していることがわかる。 6. 分 析 現在ほとんどの一般家庭、及び公共・民間施設で使用されている合成洗剤を、石鹸詳しく分類すれば廃油石鹸で対応した場合の日出町の排水処理状況を分析する。 まず合成洗剤と廃油石鹸について、もういちど大まかに比較してみると、 (1) 合成洗剤 (2) 廃油石鹸 以上の特性を考慮したうえで、現在の浄化センターに合成洗剤に替わって廃油石鹸を使用した汚水が流入すると仮定して分析を行うと、以下のとおりとなる。 7. 政策提言 以上の分析結果から日出町の特性を活かした洗浄剤のあり方を考え、以下のとおり提言する。 (1) 公共下水道及び合併浄化槽が整備されている人口が集中している区域は、廃油石鹸は手洗いやシューズ洗いなど単発的な使用とし、それ以外は合成洗剤を使用したほうが良い。 今回合成洗剤と廃油石鹸を比較した背景には、これからの地球環境の改善について漠然と考えるより、まず自分たちの住んでいる町の環境についての方向性を示すことで、おのずと全体の方向性も見出せるのではないかと思ったからである。 |
(注1)ブロワとはエアレーションタンクに空気を送り込む機械のことであり、汚水中の酸素が少ないと微生物の動きが鈍くなり、なかなか浄化しない事態を改善するための設備である。 |