【自主レポート】 |
第32回北海道自治研集会 第Ⅴ統合分科会 環境と調和する地域 |
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1. はじめに 今日、地球上における環境問題が取りざたされ特に地球温暖化については、相当以前からも問題になっていましたが、近年、その影響は著しいものとなっています。 2. 環境基本条例制定にむけて 1993年に国は「環境基本法」を公布し、地域的な環境問題を全国的な環境問題への転換として捉え、次世代への配慮、社会の持続性発展を新しい基本理念として示し、そして1996年には北海道でも「環境基本条例」が制定され、こうした動きのなかで斜里町においても21世紀を展望した環境施策の指針となるべき基本的な条例の制定を目指して、2001年に取り組みが始まりました。策定には町内検討組織での素案作成、そして専門知識を持つ7人の委員による検討委員会の設置、また公募による委員によりワークショップを開催し、条例の骨子案を作成して町民に示したうえで意見を求めると同時に、自然保護審議会や公害対策審議会などでも検討を行いました。その後、策定委員会では、それらを基に条例の基本的な「在り方」を内容とした一時答申を行い、さらに、その内容に具体的な内容を肉付けして、条例文整理の作業を進め、最終答申までにワークショップを4回、策定委員会11回を開催し2002年12月の定例議会で条例制定を可決、2003年4月から施行されました。 3. 「斜里らしさ」の創出 同様の条例はすでに各地で制定されていたことから、いかに「斜里らしさ」を創出していくかということに苦労しましたが、この条例は環境施策の基礎的な考えにたつと同時に斜里町の環境に対する最上位条例として位置づけするということが基本的な考えであることから、前文に「みどりと人間の調和を求めて」という町づくりの基本理念を明記のうえ、さらに知床の価値を踏まえて、これまでの自然保護施策を基盤とした生活環境を含めた環境行政全般もバランスよく発展させていくこと、さまざまな施策の展開や環境学習の重要性を明確にしていくことなども取り入れられた内容としたものとしました。 4. 条例が対象とする環境の保全・創造について ひとくちに環境と言っても様々な要因が含まれていると考えられます。水質、土壌、生態系など、人が健康で文化的な生活を営むうえで欠かすことのできないものですが、万が一損なわれた場合には、復元して将来の世代に引き継ぐことも現在の私たちの責務として認識しなければなりません。さらに、保全にとどまることなく、新たな環境の創出について重要な課題として条例では以下のとおりとしています。 (1) 公害の防止 (2) 人の健康及び生活環境に関わる被害 (3) 自然環境の保全・再生 (4) 快適な生活・地域循環創造 (5) 循環型・環境保全型の社会構築 (6) 地球環境の保全 (7)環境教育の推進と環境学習 考え方や捉え方は随時変還していくと認識し、常に見直しを行っていくものと整理しています。 5. 条例に盛り込まれた内容 斜里町にはこれまで環境施策として自然の保護と利用に関し、さまざまな独自施策を展開してきましたが、今日の環境問題は私たち自身が引き起こす都市型・生活型公害、廃棄物問題などに代表されるように身近な生活に密着しているということを改めて認識すると同時に環境に関する最上位に位置づけることを前提とした「前文」を配置し、その趣旨はつぎのとおりとしています。 (1) 前文の趣旨 (2) 目的や理念 |
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6. 条例制定によって 斜里町は大自然の恵みに生かされた中で住民生活が営まれ、その中で生産と生活、文化が維持され、そしてその調和を求め続けることで町の個性を創造していこうとしています。 7. おわりに 今年、この北海道で「洞爺湖サミット」が開催され、世界中で注目される中、各国首脳は豪華夕食会や昼食会で何を論議したのでしょうか。いま、本当に私たち人類が何を、どうしていこうとするのかを真剣に考える時代と考えます。 |
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