【要請レポート】 |
第32回北海道自治研集会 第Ⅴ統合分科会 環境と調和する地域 |
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1. G30の導入 横浜市では2003年、「平成22年度におけるごみ排出量を平成13年度に対して30%削減する」という「G30プラン」を策定しました。 |
分別品目の拡大と市民への啓発活動により、平成17年度にはごみ量が平成13年度比▲33.9%と、目標であった平成22年度を5年前倒しで達成することとなりました。 これにより横浜市は、可燃ごみの減量に伴う2つの焼却工場の廃止により、建て替え費用等1,100億円の経費削減と、63万トンの二酸化炭素排出削減という効果を得ることとなったのです。 |
2. 行政の一員として、清掃職場のプロとして しかし「G30プラン」は、横浜市政全体から見れば「横浜市中期計画」という大きな政策の中の重要課題の一つにすぎません。そのため、横浜市が同時に進める財政健全化のための予算削減に伴う人員削減と民間活力の導入が、この施策に携わる清掃職場の職員に対して大きな重圧となって襲いかかってきました。それは「平成15年度からの技能職採用試験の中止」と、「平成18年までに3行政区の民間への委託提案」でした。 3. G30推進に向けた様々な取り組み G30の推進に向けては、さまざまな取り組みを数多く展開してきました。 |
4. 新たな施策展開 2006年、横浜市は「次期中期計画」を発表し、そのなかでごみ減量化の数値目標を2003年に示した30%~35%へと高くしました。加えて、「分別の徹底・定着等に向けた新たな施策」として4つの新規事業を発表し、重点施策と位置付けて2007年度から取り組むこととしたのです。
「分別の徹底と定着」には、市民のさらなる理解と協力が不可欠であり、取り組みの成果を実感してもらうことが大事になってきます。この4つの施策については、市民に対してパブリックコメントを実施し、その結果を踏まえて立案されたものでした。 (1) 路上喫煙者に対する罰則の導入 (2) 地域還元 (3) 収集回数の変更 (4) 罰則制度 そこで横浜市は、2007年9月28日に「横浜市廃棄物等の減量化、資源化及び適正処理等に関する条例」の一部を改正し、市民・事業者ともに、分別区分、排出方法等に従うことについて義務化、さらに2008年5月1日から分別ルール違反者への過料の適用を実施することを決定しました。 違反者への手続きとしては、分別がされていないごみ袋等を開封して調査を行い、そのごみ袋を出した家庭を特定し、指導を行う。 指導後も従わない者に対しては、勧告、命令と手順を踏み、命令後1年以内に従わずにごみを出した者には、罰則(過料2,000円)を科すとしたものです。(調査や指導、勧告・命令・罰則の手続きについては、すべて横浜市職員が行います。) 制度開始からの2ヶ月間では、開封調査数15,105、不適正排出者の特定件数3,926、指導889件、勧告2件となっており、命令及び過料に該当する事例はまだありません。 |
5. 組合として と同時に、私たちの仕事がより快適な住民生活に寄与し、かつ、公務労働でなければ出来得ないものに創造していくためには、市民との合意形成をはかることが大前提となります。そのため、住民懇談会や啓発活動、さらには収集作業中の市民とのコミュニケーションを通して理解を求めてきました。 これらの施策はまだスタートしたばかりです。今後は取り組み状況を検証し、問題点や課題点を洗い出し、より質的に高めて行くことが必要です。それが横浜市における今後の廃棄物行政のあり方だと受けとめ、さらなるごみの減量化が実現されるよう、市民協働の廃棄物行政に育て上げていかなければなりません。 それはごみの減量化だけに限られたことではなく、すでに実施している「ふれあい」個別収集、地域防犯パトロール、救急救命活動などの業務においても、直営だからこそ出来る業務として、さらに付加価値を高めていくことが求められています。 6. 今後は…… ごみの減量化に関しては、現在行っている分別の推進だけでは、ある程度の段階でブレーキがかかることは必定です。したがって、さらに減量化を目指すためには、発生抑制と新たな再資源化の道を見出す必要があります。 |