【自主レポート】

第32回北海道自治研集会
特別分科会 夕張からわがまちの財政を考える

国体開催による臼杵市財政への影響


大分県本部/臼杵市職員労働組合

1. はじめに

 新市発足後三年が経過し、財政的には苦しいながらも住民ニーズの高い分野の整備が順調に成されてきているところである。しかし、地方財政を取り巻く環境は非常に厳しく、三位一体の構造改革による交付税の削減、景気低迷による地方税収の伸び悩みや、団塊の世代の退職に伴う退職金の増加等により今後も窮屈な財政運営が予想される。
 また、財政健全化法の施行、新地方公会計制度の導入により、より一層の財政の透明性や説明責任が求められている。
 このような中、本年9月~10月にかけ、1966年以来の「チャレンジ おおいた国体」が県内16市町で63競技が開催される。この国体開催における開催自治体の財政負担は施設整備、運営経費等において非常に重いものと思われる。
 ここでは国体開催における臼杵市の財政に与える影響を検証する。

2. 開催競技

・開催種目:軟式野球・女子ゴルフ
・開催期間:軟式野球・2008年10月3日~4日
      女子ゴルフ・2008年9月11日~13日・公式練習9月9日・10日
・開催場所:軟式野球 臼杵市民球場、野津町吉四六ランド野球場
      女子ゴルフ 臼杵カントリークラブ

3. 職員体制

・課 名:国体推進室(2006年度より)
・職員数:6人(うち1人臨時職員)

4. 財政への影響

 別表に示したのが、2006年度~2008年度における国体関連の事業費の内訳である。事業費は3ヶ年総額で約10億円となる(うち地方債4.2億円、一般財源0.8億円)。
 道路(アクセス道)、施設整備(野球場)には、国庫補助金、地方債(合併特例債、過疎債等)を主な財源としている。実行委員会補助金については、県補助金、基金繰入金を財源としている。
 国体は持ち回り開催であるため、交付税措置等もほとんど無く、施設整備については開催自治体の裁量で財源を求めなければならない。当然の事ながら、財政当局は既存施設の有効活用により、最小限の経費で国体を開催したいと考えるが、担当課は競技団体等の要望もあり、既存施設の大改修や運営経費増を要求する。
 財政当局・担当課等も充分今後の財政運営への影響を考慮し、既存施設の活用、運営の簡素化を図ってきたところであるが、それでも年平均3億円強の事業費となっている。
 単年度毎における一般財源の持ち出しは2千万~3千万である。自治体の財政規模(一般財源)は毎年大きく変わるわけではないので、国体経費を捻出するには、他の事業の縮減や基金の取り崩し等において対応しなければならない。
 また、後年度の負担となる地方債については、3年間で4億円強が見込まれている。交付税措置の高い地方債を充当しているが、実質負担として1.5億円(元金)が予想される。現状の臼杵市の財政状況は、2006年度決算において経常収支比率94.4%、実質公債費比率17.4%と県内では高水準に位置しており、国体開催経費の地方債償還が今後の財政指標の悪化に繋がる恐れがある。

5. まとめ

 大分県をあげての大型イベントであり、マスコット「めじろん」の浸透により認知度も高まっていると感じる。また、兵庫国体よりの簡素化に向けた取り組み等もあり、開催自治体の財政負担も前ほどではないかと思うが、現状でも上記した金額が係ってくる。大型イベントの開催により社会資本の整備が進むというメリットがあるということも事実である。しかし、イベントが終わった後に整備したものをどう使っていくかということが大切であり、一番行政として考えておかなければならない点である。
 組合としても、今後の市当局が実施する大型事業については、真に住民サービスの向上に繋がるものなのかを充分注視しながら、財政的裏付け等をしっかり分析する必要がある。