【自主レポート】

第34回兵庫自治研集会
第1分科会 「新しい公共」と自治体職員の働き方

 近年、相次いで登下校中の児童生徒等が巻き込まれる交通事故が多発していることを踏まえ、通学路における交通安全の確保を図るなど、浦河町職労で取り組みを行っている街頭啓発運動について提言します。



街頭啓発運動の取り組みについて


北海道本部/浦河町職員労働組合

1. はじめに

 我々の生活や経済活動には、道路交通が必要不可欠なものであり、全国において交通事故を減らすことは永遠の課題だと思います。
 今日まで、交通事故を減らす様々な取り組みが行われておりますが、そのひとつとして、街頭啓発(人の波)運動があり、北海道の中で一番初めに行ったのが浦河町であると言われております。
 現在も浦河町では、全国的な交通安全運動と連動して街頭啓発運動を、年に5回程度実施しています。毎回、町内自治会をはじめ、役場職員、各事業所の方々を中心に行われております。この街頭啓発運動には、浦河町人口の一割にあたる人が参加して、各々タスキを着用し、各地区の主要道路沿いにおいて交通安全を呼びかける運動を継続して行っております。


2. 小学生の交通事故について

 全国的に小学生の交通事故は非常に多く、死亡に至る事故も少なくはありません。
 道内的にも、過去5年間(2007~2011年)の『小学生の交通事故実態』(北海道警察本部交通企画課調)をみてみると、死傷者の数は2,986人(死者13人、傷者2,973人)となっております。特に低学年(1年生・2年生)の児童が事故に多くあっていることがわかりました。


【参考】事故の特徴
    ・5月から7月に事故が多く、特に6月が注意
    ・登下校時(7~8時、14時~16時)に多発
    ・道路横断中が多い
      (特に横断歩道のない場所)
    ・児童側の違反では「飛び出し」が多い
      (1年生は約6割が違反している)
    ・自宅付近での事故が多い
    ・自転車事故も多く(特に2年生男子)、
      「安全不確認」が最も多い

 暖かくなってくると、子ども達の行動範囲は広がり、保護者の目の届かないところでどのような行動をとっているのか気になるところです。
 保護者として、子どもに対し、交通安全についての教育をきちんとしていくことも大事なことだと思います。そのためには、保護者自身も交通安全教室や講習会に参加するなど、積極的に関わっていくことが重要です。


3. 通学路の交通安全確保について

 通学路の整備状況については、歩道が確保された通学路、防護柵設置、道路端のカラー舗装など簡易な方法による整備を含めて、通学路全体の約半分しか整備されていない状況にあります。
 今後において、子どもたちの通学路の整備も含めた安全確保を働きかけていかなければならないと考えます。


4. 浦河町職労の取り組み

 浦河町職労では、役場課長会と共同で『春の全国交通安全運動』にあわせ、4月上旬(新入学児童への声かけも含めて)に街頭啓発運動を実施しています。
 「児童への交通安全の呼びかけ」と「組合員が運動に参加することにより自らの交通安全意識の高揚を図ること」を目的として、1996年から現在まで16年間運動を行ってきました。
 浦河町内、5つの小学校のうち、3校(浦河小学校・堺町小学校・荻伏小学校)は課長会及び補佐、主幹で、2校(東部小学校・野深小学校)を組合で担当し実施しています。
 組合執行部役員を中心に各分会より代表者数人を選出してもらい1日5~7人、延べ6~9日間、街頭啓発運動を行っています。



5. 効果について

 毎年、4月上旬に継続して実施している街頭啓発運動ですが、児童に直接声をかけることにより、交通安全の意識向上、交通事故防止へ少なからず貢献できているものと思っております。
 また、組合員が街頭啓発運動に参加することにより、自らの交通安全意識の高揚を図るという目的は組合員に十分浸透していると思っております。


6. 今後の課題と取り組み

 こういった運動というものはすぐに結果が見えるものではなく、目に見える成果というものをなかなか感じにくいものであると思われます。
 しかしながら、毎年の地道な運動の積み重ねが、交通事故の減少という結果に繋がっていくものと考えられることから、今後においても、積極的に運動に参加していくことにより、地域の交通安全へ微力ながら貢献し、さらに、組合員一人一人が社会の一員としての意識付けを図っていかなければなりません。
 また、子どもたちを交通事故の被害から守ることこそ、我々がすべき大事なことではないでしょうか。
 私たち自治労浦河町職員労働組合は、街頭啓発運動をはじめとし、今後も地域とともに連携することにより、より多くの問題を共有し、少しでも解決できるよう、また、住みやすい明るいまちづくりをめざすことを念頭に入れながら運動を進めてまいりたいと思います。