【自主レポート】

第34回兵庫自治研集会
第1分科会 「新しい公共」と自治体職員の働き方

 廃棄物行政は住民が安心して生活していく中で一日も欠くことはできない行政(仕事)であることは明白です。最近では地球温暖化やレアメタル等の資源問題などもあり、3Rの確立やごみの発生抑制など循環型廃棄物行政の構築が求められています。そのためにはより強い住民の意識(モラル)向上や自治体への協力が必要であり、その啓発活動の一環として以下の活動を提起します。



幼児期からの環境教育によるやさしい街づくり
自治体へのより強い信頼関係の構築

石川県本部/金沢市従業員労働組合 酒井 巨志

1. 廃棄物行政の責任と活動目的

 自治体が担う役割、責任の一つとして、環境問題は重要な一つにあげられると思います。
 その中において、一般家庭からの適正なごみの排出は、循環型社会を促進する上での、廃棄物の発生抑制やリサイクルの推進を図る取り組みとして、非常に大きな役割を担います。それは、住民一人一人の意識(モラル)と協力により行われ、住民全員が携わることからも、循環型社会を形成する上での重要な役割を持っています。また自治体においてもその意識の向上を図ろうとする事は、環境問題に対する責任の一つと言えるのではないでしょうか。そのためにも、ごみを減らすための3R(リデュース・リユース・リサイクル)の周知とその実現や住民のより強い協力などは欠かせないものだと考えます。
 このような状況を踏まえ、金沢市従業員労働組合(青年部)においても自治体の中においての役割と責任の一旦を担う立場として、日々従事している清掃業務に加え、以下の活動に取り組んでいます。

2. 主な取り組み

(1) 環境紙芝居
① 環境紙芝居とごみ収集車の機能説明(実演)
  循環型社会の促進を図る観点から啓発活動の一環として、次世代の担い手であることと、また家庭内全体における意識の向上にもつながるという思いから保育、幼稚園児を対象とし、より楽しく興味もって考えてもらうため、紙芝居を用いてリサイクルの必要性や分別の大切さを訴える。


<紙芝居の内容> 「ゆう太君とリサイクルマン」
 ごみ収集車のパッカーくんがごみを荒らすザンパンマンの悪戯に困ってしまいます。
 そこへリサイクルマンが助けにやってきますが、分別されていないごみの前に力が出せず倒されてしまいます。
 主人公のゆう太君や町の人たちがごみを分けなおすことでリサイクルマンが復活し、みんなの協力でザンパンマンを追い払うという内容で、ごみの分別やリサイクルなどについて一緒に考えてもらいます。

② 園児参加のクイズで分別にチャレンジ
  実物のごみサンプル等を使ってのごみの種類当てクイズをします。
  リサイクルやごみの分別を楽しく勉強することを目的として、紙芝居に関連性をつけることで園児を飽きさせないことも考慮し、紙芝居の途中にクイズ形式の分別体験を行います。
  また、分別、排出方法が今年度から変わったためにクイズや質問等でその変更点の注意や確認を園児やその家族の方に説明しています。


③ 実際のごみ収集車を使ってごみ収集の実演
  安全を充分に確認した上で収集車を使っての機能説明、ならびにごみサンプルでの収集作業を見てもらっています。収集車とその機能を見てもらうことにより、よりごみに対しての興味も高めてもらえればと思っています。
  さらに日常での危険回避のために収集作業や収集車の危険を説明して事故防止にもつなげています。

 園児たちには、紙芝居を見て一緒に勉強してくれたお礼と、今後もごみに対して思いやりをもって接してほしいという想いから、組合員(青年部)で手作りしている収集車のパッカー君のマグネットをプレゼントします。



(2) ダンボール・コンポスト
 ごみの減量(再利用)の促進を図る意味での模範的活動の一つとして、ダンボール箱を容器として用いて、生ごみを分解する堆肥を作り、庁舎内で出る生ごみ(一部)の減量化を図ります。
 又その堆肥を利用し、植物や野菜などの栽培に活用します。



 この取り組みについては、住民に対しての直接的な活動ではありませんが、ごみの排出抑制及び、生ごみを堆肥に変えて有効活用するという、家庭内で行えるリサイクルの取り組みとしての模範的活動になればと思っています。また今後、このダンボール・コンポストの活動により出来た植物の種などを、紙芝居を観て頂いた園児達にプレゼントすることにより、この活動を住民に知って頂くと共に、家庭内での環境に対する活動の呼びかけにもなればと思っています。

3. 活動の課題と展望

 自治体が行う活動には地域住民の理解と協力が不可欠であることは明らかですが、そのためには住民の自治体に対する信頼や自治体職員と住民とのより強いコミュニケーションが必要だと考えます。
 それは清掃現場で毎日、地域住民に接する現業職員だからこそ成しえることだと思います。
 環境紙芝居をとおして園児だけでなく、その家族の方々ともより強い信頼関係を築いていくことが廃棄物行政に対する住民の理解、協力につながるのだと考えます。
 「環境紙芝居」と「ダンボール・コンポスト」の活動は、現在ボランティアとして行っています。
 この活動(環境紙芝居)を、自治体の取り組み(公共サービス)として取り入れ、住民への啓発活動の一環として行うことは、自治体だからこそできる取り組みとして、地域に対して自治体が担う役割の一つを果たすと言えるのではないでしょうか。
 環境紙芝居は2009年より活動してきましたが、年に4、5回のペースで保育、幼稚園や地域イベントにも参加するなど、ボランティアではありますが地道に活動を続けています。
 地域イベントの中には他の単組主催の「給食現業フェア」などもあり、住民と自治体のつながりだけでなく自治体職員同士の横のつながりをさらに強化することで、より充実したサービス(活動)が提供できると考えます。
 そしてこの活動を通して、自治体と住民が協力した「ごみにやさしいまち」づくりにつながればと思うと共に、我々金沢市従業員労働組合(青年部)においても、今後も住民の意見などを取り入れながら、住民に必要とされる活動になるよう努めていかなければいけないと思っています。