【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第1分科会 「新しい公共」と自治体職員の働き方 |
地域住民の参加と意思に基づいて処理する行政運営、そして社会情勢を無視することはできない労働組合運動。この基本となる世論について、今話題となっている事柄から考察することにより、今後の組合運動や行政運営への参考とするもの。 |
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1. 世論は正しいか (1) 地域政党の首長からの考察
また、財務省の資料(2010年)にある「人口千人当たりの公的部門における職員数の国際比較」では、フランス86.6人、アメリカ77.5人、イギリス77.2人、ドイツ54.3人、日本31.6人となっており、ここでも低い人数である。 |
② 公務員給与について |
(2) 原発事故からの考察 |
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震災後の1年余、この相容れない二つの事柄を具体的な報道や発言でみたとき、拙速な行動を慎み、深慮ある対応が求められていることを痛感する。原発推進派には、新たな日本の将来のエネルギーのあり方や地球環境問題からの意見として理解はできるが、プルトニウム239の半減期は2万4千年と長く、人類の英知を超えた自然の力に対し、再度事故が発生した場合にどのような責任がとれようか。また、原発再稼動反対派にとっても、地元の雇用問題や国内産業の空洞化などに対する一定の考えを持ち合わせていなければならない。いずれにしろ国民間の十分な議論が重要であることに相違ない。議論とは、お互いが尊敬しあい、相手の意見を尊重してお互いの意見の中から答えを導き出すものであり、決して自分の意見を相手に押し付けるものではない。国民自らが考え、十分な議論を踏まえた上でこれからの将来像を導き出す必要がある。 このグラフは、縦軸が「頻度(リスクレベル)」で横軸が「重大さ(ベネフィット)」として非許容リスクと許容リスクを説明する図である。この図から私たちの生活は、交通事故の危険を理解しながら車を運転し、火災の危険を知りながらもストーブを利用する。つまりリスクのうえに成り立った文明・文化を享受しており、個人の考え方によって「許容リスク」、「受任限度内リスク」の判断を行っていることになる。原発問題についても、この個人の考え方の違いで論じられているように思われる。しかし、どれほどリスクが小さくベネフィットが大きくあろうとも、このグラフでは論じられないのが原発問題ではなかろうか。それは、リスクの範囲は想定内のものであり、人知を超えた放射能の半減期や想定外の自然の営みは考慮されていないからである。原発問題は、経済や生活などを優先させ(ベネフィット)、ある程度のリスクは止むを得ないとするリスク&ベネフィット論は成り立たず、大きな矛盾を内包した問題であるということを認識することが必要ではないか。 2. 民主主義の弱点 最初にインターネットに出ていた埼玉県知事の上田清司氏の記事を、そのまま引用させていただきたい。現在の日本国債の膨張やユーロ圏の債務超過など、民主主義国家の財政赤字における弱点を次のように述べている。 3. まとめ 今回、二つの視点から現在の世論を考察してみた。「(1)地域政党の首長からの考察」では、世間で声高に叫ばれる公務員数及び給与の削減が必ずしも正しいものではなく、それはある意味、情報の少なさや民主主義の弱点などからもたらされていないのか。首長は、市民目線で行政運営すべきだが、それは、将来を見すえた全体の利益のために行うとともに、私利私欲をからませてはいけない。また、組織の長とし、職員の能力を最大限に発揮できるよう民間社長のマネジメント術を学んでほしい。その中には社員を嫌悪した対立はありえない。 |