【自主レポート】

第34回兵庫自治研集会
第1分科会 「新しい公共」と自治体職員の働き方

 公務員を取り巻く環境は厳しくなる一方であり我々組合(公務員)の賃金や労働条件改善という要求自体国民(町民)からは理解できない時代になってきています。我々は、今だからこそ社会へ大きく奉仕・貢献していくべき役割があります。本レポートは我々が社会の奉仕者である組織として取り組んだ活動について報告します。



職員組合としての「社会貢献」への取り組み


島根県本部/飯南町職員組合

1. はじめに

 飯南町職員組合は、組合員118人(2011年4月1日現在)で構成しており、一致団結して日々の組合活動に取り組んでいる。
 我々は公務員という傍ら、組合員として当局との交渉を進めながら、職場環境の改善や生活水準を守るために、日夜努力しているところである。しかしながら、そもそも組合とは自分達を守るためだけのものではなく、本来、与えられた公務員という国民全体の奉仕者としての使命を果たすべく、社会へ大きく奉仕・貢献していくべき役割を担う組織でもある。
 したがって今回は、我々が取り組んでいる社会貢献への取り組みと、その取り組みが社会へ及ぼす影響について、レポートに取りまとめた。


2. 社会の奉仕者として

 2005年1月1日、降り続く雪が舞い降りる中、飯南町が誕生した。我々飯南町職員組合は、同年1月24日に発足し、旧頓原町と旧赤来町の組合員が手を取り合い、決意を新たに歩みはじめた。しかし、我々にとって今日までの組合活動は、決して輝かしい足跡を残してはおらず、その活動のほとんどが「ひたすら耐え忍ぶというものであった」と言っても過言ではない。
 昨今、公務員を取り巻く現状は、言うまでもなく厳しい状況である。過去の小泉政権から始まった「構造改革」により地域は疲弊し、衰退の一途をたどっており、その影響によって、我々も大きなダメージを受けており、人員の削減や給与カットを余儀なくされている。新町発足以来、組合から要求しているものは何一つなく、現状の維持と我々の生活を守っていくのが精一杯となっている。
 そのような中、我々が何か積極的に取り組んでいけるものはないかと模索し、毎年実施しているのが「清掃活動」である。行財政改革によって見えてきた綻びの一つとして、道路や公共施設の維持管理に影響が出てきており、春から夏にかけては、いたるところに雑草が生い茂っている。我々は、率先して社会の奉仕者としていく組織であると考えており、保育所や支所の清掃活動の取り組みを始めたのである。
 最初は組合員だけで取り組んでいたが、地域住民の皆さんから理解をいただき、一緒に奉仕作業に取り組んでいただく方も現れた。この取り組みによって、当局にも我々の意思が伝わり、町職員として全員で「国道54号の清掃活動」に取り組むことになった。そしてその活動の輪は、沿線住民の皆さんを巻き込んでの大きな社会奉仕活動へと広がっていったのである。
 我々にできることはほんの些細なことではあるが、その地道な取り組みは少しでも社会を、地域を明るくしたいという気持ちから行っているものである。町民からまちづくりの付託を受ける我々公務員として目に見える形で社会貢献していくためにも、この活動を今後も続けていくつもりである。


3. おわりに

 飯南町当局は、「行財政改革」という大義名分の下に、飯南病院や保育所民営化など様々な合理化案を検討しているのが現状である。現在の世論は、政府やマスコミによる公務員バッシングによって、我々に対しても厳しい目を向けており、我々のような田舎の公務員であっても同様の状況に追い込まれつつある。そのような中、我々が当局と交渉をしていくに当たり、ただ漠然と自分たちの生活を守るために戦い続けて何かを勝ち得ても、町民の理解は得られないであろう。
 飯南町職員組合の存在価値をアピールしていく上でも、現在取り組んでいる清掃活動のような「社会的貢献」を続けていくことは大きな意義があると考えており、今後も継続していくべき取り組みであると考えている。