【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第1分科会 「新しい公共」と自治体職員の働き方 |
2011年2月『「豊後大野市自治基本条例(仮称)」に関する提言書』がまとめられたことを受け、豊後大野市における自治基本条例制定の取り組みを報告する。 |
|
1. 議会議決までの取り組み
「地方分権」ということばがよく聞かれるようになった1990年代以降、わたしたちのまちは、急激に過疎化・少子高齢化が進行し、財政の悪化等厳しい状況にありますが、「自分たちの地域のことは、自分たちが主体的に決定する」という考えのもと、町村合併を経て、これまで以上に地域の実情に応じた施策が必要とされ、併せて将来のまちのあり方が問われるようになっています。そこには行政と住民が一体となった「協働のまちづくり」がテーマとしてありました。
|
2. 豊後大野市まちづくり基本条例条文
|
3. 現在の状況及び今後の取り組み 豊後大野市まちづくり基本条例は、2012年10月1日より施行されます。この基本条例の目的は、「市民が主体の地方自治の実現と市民、市議会と行政による協働のまちづくりの推進」です。そのための豊後大野市における自治の考え方(基本理念)とその進め方(基本原則)を明らかにし、自治を担う市民、市議会、行政の役割や責務、情報の共有や市民参加、協働などを定めています。また、最高規範として位置づけることで、この基本条例の趣旨を最大限に尊重してまちづくりを進めていくことになります。市の条例や計画等は、原則としてこの基本条例の規定に適合するように制定(策定)又は運用されることになります。2012年度、市役所内では、「豊後大野市まちづくり基本条例検証職員プロジェクトチーム」 (※7) を設置し、まちづくり基本条例とその他条例等の整合性やまちづくり基本条例と事務事業の整合性、「協働のまちづくり」について検証し、2012年度末までに一定の方向性を出します。また、この基本条例が遵守され、その実効性を確保する仕組みとして、識見を有する方や公募市民等で構成される「豊後大野市自治推進委員会」 (※8) を設置し、市長の諮問により条例の運用状況や自治の推進等を審議し、その結果を市長に答申します。一方、市民に対しては、条例の目的や内容について理解をしていただくため、解説書の全戸配布や市報の連続掲載、ホームページ掲載、ケーブルテレビの放送、市民座談会を定期的に開催します。 |
4. 条例制定後の課題
豊後大野市まちづくり基本条例に対する市民の理解度や関心度は高くありません。今後は、この基本条例や市政に対する市民の関心を高めていくことが第一の課題となります。市民がまちづくりについて主体的な取り組みを進めていくためには、市民と行政が情報を共有していくことが大切です。行政は、市民のまちづくりについて理解を深め、市政の各分野において、その現状や課題、今後の展望も含めた情報を市民に開示し、施策について説明責任を果たしていくことが求められます。 |
※1
自治基本条例市民会議……公募等による市民で構成(20人以内)され、3年間で47回開催し、グループ討議や全体討議を重ね、今年2月14日にその結果を市長に提言しました。 |