【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第2分科会 地方財政を考える |
新潟市が2007年に政令指定都市へ移行したが、移行後の財政分析を行う。日本海側初の政令指定都市として、田園型政令指定都市、分権型政令指定都市をめざすとして合併が行われた。旧新潟市民・旧新潟市以外の市民の移行後の世論調査も紹介し分析を行う。 |
|
1. 政令指定都市制度について 新潟市は、2007(平成19)年4月に中核市から政令指定都市への移行を果たした。それにより、政令指定都市として多くの事務が新潟県より委譲された。また行政組織上や財政上などの政令市としての特例により政令指定都市「新潟市」が新たにスタートすることとなった。
|
① 政令指定都市の特例に基づく財政需要経費について |
2. 新潟市は政令指定都市で何を目指していたのか (1) 日本海側初の政令指定都市をめざして(パンフレットより抜粋) (2) 政令指定都市として力を入れてほしいものは「保健・医療体制の充実」 |
3. 前回までの財政分析状況について 2007・2009の2回にわたる新潟県自治研究集会において、新潟市の財政状況を継続的に調査・分析を行ってきた。 |
|
2007年のレポートでは、合併前の10年間にわたる1994(平成6)年度から2003(平成15)年度の新潟市と編入合併前の旧自治体の特徴的な部分を、2009年のレポートでは、政令指定都市への移行を目指した編入合併と県からの事務委譲の中で、編入合併から政令指定都市移行までの新潟市財政の2004(平成16)年度から2007(平成19)年度の間の決算の特徴的な部分を分析した。 |
|
4. 政令指定都市移行後の財政状況(財政分析) 2007(平成19)年度から2009(平成21)年度までの財政分析状況は次のとおり。以下、特に年度表記がない場合は最新年度である2009(平成21)年度を指す。 |
(1) 歳入について
① 国庫支出金の増……定額給付金事業など国の経済政策 ② 地方債の増…………合併建設計画の推進など ③ 諸収入の増…………中小企業融資制度の充実 ④ 地方交付税の増……国の地方財政対策によるもの ⑤ 地方税の減…………景気の低迷による税収減 ※ これらの増減により歳入総額が伸びている実態が明らかになった。 |
(2) 歳出について
① 建設事業費の増……国の緊急経済政策や合併建設計画の推進による増加) ② 補助費の増…………定額給付金支給など ③ 扶助費の増…………医療費助成、生活保護費等の増加 ④ 人件費の減…………職員数削減 ⑤ 物件費の増…………国の緊急経済対策による増 |
(3) 財政的な自立度
※ 政令市となってからの3ヵ年は0.70で推移し、比較的安定している状態である。
|
(4) 財政の健全性
※ 実質収支比率は、都道府県で5%、市町村で20%以上の赤字になると地方財政再建特別措置法を準用した財政再建を行わないと起債が認められなくなる。 ※ 政令市となってからの3ヵ年は、1%以内の状態で推移している。
|
(5) 財政の弾力性
80~90%程度はやや弾力性を欠く 90~100%程度は弾力性を欠く 100%以上は財政が硬直化し、新たな投資的経費がない。 ※ 政令市となってからの3ヵ年は、従来より少し財政が硬直化してきている状態である。
|
※ 財政硬直化を招かないため、警戒ライン15%以内の範囲にあることが望ましい。 20%を超えると危険ラインと言われている。 ※ 政令市となってからは、合併時の水準よりやや改善し、3ヵ年は横ばいの状態である。
|
実質公債費比率が35%以上になると財政再建団体となり、財政再建計画の策定が義務付けられ、計画について国の同意手続、地方債が制限される……レッドカード団体。 ※ 政令市となってからは、合併時の水準よりやや改善し、3ヵ年はほぼ横ばいで、若干減少傾向の状態である。
|
※ 政令市となってからは、減少傾向の状態である。
|
(6) 借金の状況
|
※ 地方債残高比率が200%を超えると財政運営が厳しくなると言われていて「身の丈を越えた借金で首が回らなくなりつつある」姿を示している。 ※ 政令市となってからは、増加傾向の状態であり、08年度からは200%を超え悪化傾向にある。
|
債務負担行為現在高(住民一人当たり)約14.1万円
|
目に見えない部分も含めた借金の状況は、前回の分析同様、厳しい。
|
(7) 貯金の状況
|
|
〇財政健全化法に基づく指標の状況等
|
① 企業会計状況 |
自治体財政健全化法の施行により、2008年度決算から実質赤字比率をはじめとした4つの指標に基づく数値の公表が義務づけられた。また、それにより公営企業会計状況や関係する一部事務組合の状況等も踏まえた上での財政分析を行うことが必要となっている。 |