【自主レポート】

第34回兵庫自治研集会
第2分科会 地方財政を考える

 津久見市職労は、2004年2月に「臨時大会」を開催し、2007年度には「赤字再建団体転落」の予測がされたため、その阻止に向け、「市職労自治体改革」~市職労の新たな出発~を提起し承認されました。
 その後、津久見市では、2004年10月に「緊急行財政改革実行計画」を策定、2006年3月に「集中改革プラン」を策定しています。
 今回は、特に「実行計画」、「集中改革プラン」の改革前、改革後と決算を比べて、際立って改革されている事業費等の見直し、総人件費の削減について、2004年度以降の状況を簡単に解説していきたいと思います。



~「健全で自立可能な自治体として
将来にわたって運営できる津久見市」を目指して~

大分県本部/津久見市職員労働組合

 私たち津久見市職労は、2003年11月に行なわれた市長選終了後の2004年2月に「臨時大会」を開催し、2007年度には「赤字再建団体転落」の予測がされたため、その阻止に向け、①人件費削減への対応、②少ない人数での行政運営、③経費節減に向けた事務事業の見直し、④歳入増政策と市民に理解される市役所像、⑤市町村合併について、を柱とした「市職労自治体改革」~市職労の新たな出発~ を提起し承認されました。
 その後、津久見市では、2004年10月に「緊急行財政改革実行計画」(以下、「実行計画」という。)を策定、2006年3月に「集中改革プラン」を策定しています。
 「実行計画」では2008年度で、13億2,500万円の赤字、「集中改革プラン」では、16億4,600万円の赤字が生じるという試算が示され、歳入の確保対策、事業費等の見直し、総人件費の削減、教育部門の見直しという改革項目に則り、改革数値目標を掲げました。
 実際に、2008年度の決算状況では、基金総額が20億円以上の保有があります。
 今回は、特に「実行計画」、「集中改革プラン」の改革前、改革後と決算を比べて、際立って改革されている事業費等の見直し、総人件費の削減について、2004年度以降の状況を簡単に解説していきたいと思います。

 まず、これまでの経過について、簡単にまとめました。

2003年(平成15年) 11月  市長選挙    【公約:採用停止・新庁舎建設凍結等】
2004年(平成16年) 2月  市職労臨時大会
2004年(平成16年) 10月  「緊急行財政改革実行計画」策定  職員給一律5%カット
2005年(平成17年) 1月  臼杵市・野津町合併  「新臼杵市 誕生」
2005年(平成17年) 3月  佐伯市・南海部郡合併 「新佐伯市 誕生」
2006年(平成18年) 3月  「集中改革プラン」策定     庁舎建設用地売却
2006年(平成18年) 4月  地域給導入           指定管理者制度導入
          12月  「保育所民営化ガイドライン」 策定
2007年(平成19年) 4月  市議会議員選挙(1名減)・
          12月  市長選無投票当選(2期目)
2008年(平成20年) 1月  職員給4級以上昇給停止
          3月  健全化計画策定(公的資金繰上償還実施・退職手当債許可)
          4月  保育所民間移譲
2009年(平成21年) 1月  職員給3級以上2号抑制
2009年(平成21年) 3月  職員給一律5%カット 終了
              「第2次津久見市緊急行財政改革実行計画」策定
2009年(平成21年) 4月  職員給5%カット(管理職は7%)1年間
2010年(平成22年) 4月  給与構造改革 実施

1. 事業費等の見直し

 上記の見直しで、まず注目するのは、投資的経費です。
 下記の表は、各計画と決算の数値ですが、2006年度~2008年度が計画に比べて、著しく減少しているのが分かります。特に、投資的経費の単独事業が数億単位で減少しています。
 2009年度以降、補助事業、単独事業ともに、学校耐震化、学校給食拠点施設、中学校体育館、各施設・道路の維持補修等々、市民の安全・安心のための事業を順次行なっていく予定があり、これ以上の落ち込みはないことが予想されます。
 また、行政として、雇用を維持する面からも一定程度の投資的経費(特に単独事業)は必要ではないかと思います。



 ほかに、公共施設の見直しとして、第3セクターであった仙水遊漁センターの廃止(指定管理者制度で2011年4月から観光施設「うみたま体験パークつくみイルカ島」へ・・・後段記載)、市民プールの廃止、各施設の指定管理者制度導入、事務事業の見直しとして、公用車の配置基準の見直し、公園等施設の維持管理に係る委託料の見直しとしてアダプト制度導入によるボランティアとの協働、光熱水費の削減、旅費制度の見直し、臨時職員の支給単価、雇用形態等の見直し、補助金等の見直しを行なってきました。
 各種見直しとも、市民の方にも痛みが直結するものにおいては、市民の方々と行政が十分に協議を行い、また職員の勤務労働条件に関するものにおいても労使交渉を重ねてきました。

2. 総人件費の見直し

 まず、職員数(津久見市財政規模経緯 後段記載)を見ますと、2003年度327人(消防職含む。)でしたが、実行計画終了時(2009年4月1日)は255人、集中改革プラン終了時(2010年4月1日)は246人と凄まじい勢いで減少しています。
 実行計画の目標数値(262人)も、集中改革プランの目標数値(251人)も大幅にクリアしたことによって、人件費総額、とりわけ職員給にあっては、2003年度決算と2009年度決算をくらべると、約6億弱減少しています。
 要因は職員数減少、一律5%カット(2004年10月~)、昇給停止、昇給抑制等によるものですが、特に職員数減少が凄まじかったため、組織機構再編や事務事業の見直しがそれに追い着いておらず、職員一人ひとりの業務量が年々増加しており、メンタルヘルスなど、体調不良で病気になる職員が増加しないか危惧しています。
 今後も職員数が減少していくことが予想されますが、年齢構成バランス解消や市内での雇用の場のために、毎年度、新規採用を求めていきたいと思います。

3. 今後について

 津久見市では、2009年3月に新たに向こう5年間の「第2次津久見市緊急行財政改革実行計画」を策定し、改めて行った向こう5年間の財政収支の試算では、第1次の行財政改革を行っているのにもかかわらず、このままいくと2013年度には基金が枯渇し、約7億3,700万円もの財源不足となることが判明しました。
 第1次の行財政改革が濡れたタオルを絞ったのだとすれば、第2次の改革は、一度絞ったタオルを更に固く絞る必要があり、市民にとっても、職員の勤務労働条件等にとってもこれまで以上苦しい状況が続くことが予想されます。
 また、防災計画の見直し、学校施設の耐震補強、消防庁舎(築50年以上)の建設用地の見直し、ごみ・し尿処理施設等の老朽化に伴う維持管理補修、学校給食拠点施設の建設等々、津久見市における課題は山積みであり、職員にとっても、職員数減による業務量の増大、メンタルヘルス対策、組織機構も見直し等々、勤務労働条件に関する課題も山積みです。
 しかしながら、津久見市職労は、津久見市として、健全な財政を目指し、活性化等も含めた住民サービスを行っていく必要があると同時に、職員の勤務労働条件等を改善・維持していかなければいけません。今後も様々な情勢を考慮すると非常に厳しい状況が想定されますが、私たち津久見市職労の基本である職場オルグやアンケートを実施しながら、組合員の意思結集をはかり、「健全で自立可能な自治体として将来にわたって運営できる津久見市」を構築していきたいと思います。

4. 終わりに

 上記のように厳しい状況ですが明るい話題もあります。
 2011年年4月に自然の海をそのまま利用した、「ふれあい・癒し」がテーマの新しい観光施設「うみたま体験パーク つくみイルカ島」が津久見市四浦にオープンしました。来場者数も予想を上回っており、帰りに市内に足を運ぶ方も確実に増加しています。
 また、花火大会や扇子踊り大会、巨大な遊具で遊び心満載の「つくみん公園」、未来に残したい漁業漁村の歴史文化財百選の「保戸島」、おおいたグルメグランプリ2連覇に輝いた「ひゅうが丼」など魅力はタップリです。
 津久見市民とともに、市が活性化していくことで、健全な財政を確立することによって、職員もますます元気になっていけばと思います。



津久見市財政規模経緯(各年度決算)