平成18年3月31日に4町(国見・国東・武蔵・安岐)が合併し、国東市が誕生した。
国東市の財政状況は、歳入における自主財源比率が平成21年度決算で23.4%で、県内18市町村中13位と低い順位であり、交付税に頼らざるを得ない財政体質だといえる。
その交付税については、資料1のとおり近年増額の傾向にあり、その影響に加えさらに国の経済対策等臨時交付金の影響もあり、基金残高も資料4のように、毎年右肩上がりで伸びてきている。
交付税は、合併後10年間は、普通交付税、臨時財政対策債は旧町が存続したものとして算定される。国東市の一本算定額との差額は、資料2・3のとおり平成22年度で約17億円であるが11年目(平成28年度)から段階的に減額され、16年目(平成33年度)から合併の恩恵はなくなる。
これが、今後どのように財政に影響するのか、今回ごくシンプルに交付税と基金残高のみを変動のファクターとしてシミュレーションしてみたいと思う。
まず、資料4のように平成18年度から21年度までの4年間の確定数値の平均値を算出し交付税以外の項目を固定化する。そして、歳入歳出差引の調整を財政調整基金で行うこととする。
交付税の減額については資料2のとおり、交付税が優遇されたと見る平均値を、単年度16億74百万と仮定し、資料3のとおり段階的に減額し、資料4に反映させる。
資料4の結果、交付税1割・3割減の2年間は、差引が黒字だが、3年目から赤字に転落し財政調整基金の取り崩しが始まる。そして、完全に一本算定となる6年目には、当初約30億円あった財政調整基金の残高は、8億8千万円まで減ることとなる。そして、その時の歳入歳出差引を見れば10億6千万円の赤字となっており、この赤字額は翌年度以降も続くため、翌年度には財政調整基金では補填が出来ない状況が明らかになってくる。
これは予測の数値であり、当然将来的な数値がこのまま推移するとは考えられない。歳入の減額に応じた歳出の抑制が図られることであろう。その時に、それがどこに向くのか、投資的経費なのか、補助費等なのか、それとも人件費なのか。
我々自治研部は、このごく近い将来の厳しくなっていくであろう財政の状況をしっかりと把握した上で、その有効的な解決策、打開策を検討していきたいと考えている。 |