(2) 今後の問題点の整理
県内の財政状況は国の対策(交付税の増額等)により、三位一体改革のダメージを徐々に回復しつつあると言った状況ではないかと考えられます。しかしながら依然として政局の不透明さや、景気低迷さらに震災復興支援といった状況を考慮すると実質的な回復とは言えない状況であり、交付税増額も年限を定めた一過性のものであることは明白で、交付税財源も国の赤字補てん要素となっています。また財政分析においては新たに設けられた指標を基軸に論点を整理すると上記「(1) 県内自治体の財政構造の変化」で整理したように、財政健全化に向けた取り組みにより将来の健全度合いを示す比率は低下(健全化)に向かっています。(資料④「県内団体の将来負担比率の推移」参照)しかし、この指標は現時点での債務や交付税等を推測した数値であり合併した自治体が抱える交付税の算定替が起こった場合或いは合併特例債を多額に使用した場合等実質的な将来健全度を図るものではないため注意が必要といえます。また現在(6月現在)国会では、消費税の議論が活発にされていますが、どうも本質的な議論がされているとは言えず、政府が主張している『社会保障と税の一体改革』の不透明性が隠せない状況で、このことは、必ず自治体財政に転嫁・影響を及ぼしていくことを想定しておかなければいけないでしょう。
3. 県本部専門部会での活動成果
大分県本部自治体自立専門部会としては、これまで行ってきた財政分析を基に昨年より県内団体の状況を一覧化し、『分かりにくい財政構造を、分かりやすいものに!』という目標に本年も取り組んできました。その一環としてこれまで使用してきた「財政分析シート」を改修し新たな指標(実質赤字比率・連結実質赤字比率・実質公債費比率・将来負担比率)を盛り込みより現時点に則したものとし、且つ組合運動と自治体財政との係わりについて、シミュレーションを行う(第54回大分県自治研集会日田大会で実施)等、多くの人に自治体財政の仕組みや今後の諸課題についての説明を行い、新の地方自治・住民自治に向けた活動を行っています。しかしながら毎年行っている財政分析も、経済状況の変化や構造改革・行政改革により多様化・複雑化しており、特に合併の問題に関しては旧制度との違いから比較対象が難しくなっています。
4. 終わりに
大分県内の自治体は合併特例期間を残すところ3年~4年となっており、特例期間の終了時にはどのような状態となっているのか、引き続き注視をしていかなければならないと考えています。これは大分県内に限らず全国どの地域においても不安視される状況にあり、特に震災復興等多くの課題を抱えた中、更に経済状況を考えた中では国政の健全化が、第一ではないかと考えます。そうした中で自治研活動としては、多くの住民にむけて「真の住民自治確立に向けた取り組み」を分かりやすく・丁寧に語りかけていく事ではないかと思います。 |