【自主レポート】

第34回兵庫自治研集会
第3分科会 自然災害に強いまちづくり~災害から見えた自治体の役割~

 2008年8月、岡崎市は有史以来ともいえる豪雨にみまわれました。また、その8年前の9月にも東海豪雨に市内各地で、床上、床下といった浸災被害にみわまれた。市民に雨に対する危機意識というものを持ってもらうと共に近いうちに来ると言われる東海地震に対して、ハザードマップが作られました。現業職のあり方、2度の災害から、学んだ事、災害に対する組織の構えというものを築きあげる事になりました。



2008年8月 豪雨災害に学ぶ


愛知県本部/岡崎市従業員労働組合

1. 岡崎市の概況

・徳川家康公 生誕の地
・中部地区、愛知県のほぼ中央にあり、東に山間部、西に平野部を有する所に位置します。市内には一級河川の矢作川が南北に流れ、国道1号線も東西に通る交通の要所でもあります。また、他にも何本もの河川が矢作川に流れ込んでいます。
・西部、南部地区は、主に田畑を埋め立てて宅地開発を行ってきました。また北部、東部の山間部に置いても宅地開発を行ってきました。その結果、山林が少なくなって雨水を貯める所が減り過去幾度となく、冠水にみまわれている地区も少なくありません。

2. 災害の被害状況

・今回は、1時間当たり150ミリ以上という、物凄い勢いの雨が市内に降り、河川の氾濫する所も堤防の決壊するところもありました。
・お二人の尊い命を奪い、3,000棟を超える家屋が被災されるという被害がありました。
・中心部の市街地には2メートル以上という浸水被害にみまわれた所もありました。

3. 浸水ごみ回収体制

・1班8人を基本とするチームをつくりました。
   パッカー車2台(可燃、不燃)と低床車2台(畳、粗大) 各2人
・町内会から依頼のあった場所、地区に随時回収。

4. 収集量


区分
車数
重量(t)
可 燃
929
884.32
不 燃
667
684.72
合 計
1,596
1,569.04
 
内訳
種別
車数
重量(t)
直 営
可 燃
349
582.00
 
不 燃
307
248.81
 
小 計
656
830.81
応 援
可 燃
99
172.59
 
不 燃
62
59.67
 
小 計
161
232.26
一 般
可 燃
481
129.73
 
不 燃
298
376.24
 
小 計
779
505.97
 
合 計
1,596
1,569.04

5. 課 題

(1) ごみの区分
 地区によっては、区分が出来ておらず、可燃ごみ、不燃ごみが混ざった状態で回収することに成り、作業の効率も落ちるばかりでなく、作業に従事する者にとっても危険な状態であった。また、パッカー車においては、カセットコンロ等と思われる物による火災の発生もあった。
 可燃ごみ、不燃ごみの大まかな区分別が出来ていた地区においては、スピーディーな作業が行われ、地区の方々からは、高い評価を受け喜ばれた。

(2) ごみ置き場について
 粗大ごみステーションが無い為、道路(歩道)脇などに山積みにされ、車、歩行者の通行の妨げに成るばかりか回収の妨げになり回収を遅らせる原因にもなった。

(3) 重量物の取り扱い
 浸水により水を多く含んだ物は、想像以上に重く、畳などは、3人~4人で持ち上げないと持ち上がらない程であった。家具などは、水を含んで壊れ易くなっている為、運搬には気を使うものであった。

(4) 便乗ごみの問題
 市民のモラルの問題だが、本来捨ててはいけないはずの家電四品目までも夜間に捨ててく状態であった。

(5) 通常業務との兼ね合い
 今回は、まだ、浸水災害ごみに対する回収体制が整っておらず、場当たり的なところもあり、通常業務を終わらせた車から各地区に入るという状態であった。
 当然、連日業務と成り職員には、負担が多くかかったが、士気の下がる事はなく、おおよそ2週間程で目途を付ける事ができた。


 
町内の幹線道路や生活道路は浸水災害ごみでいっぱい。車や歩行者の交通の妨げになり、とても危険な状態で一刻も早くかたずけなければならなかった。  
堤防の決壊で地区内に流れ込んだ河川の水。
  深い所では、2メートルを超える所もあった。

岡崎市における被害の状況
人的被害
死   者
2
家屋被害
全 壊
6
半 壊
3
床上浸水
1,110
床下浸水
2,255
農 地 等
田畑の冠水
719
ha
農地の被害額
39,884
千円
林道の崩落等
9路線、法面崩壊 12
箇所
農業用施設(水路、農道等)の被害
125
箇所
橋  梁
落 橋
3
箇所
橋台洗掘等
3
箇所
河  川
破 防
3
箇所
潅水・護岸崩壊・その他
126
箇所
道  路
冠 水
72
箇所
陥没・隆起・法面崩壊
193
箇所
避 難 所
設 置
98
箇所
避難所避難者
204

6. まとめ

 およそ2週間の間に約1,600トンにも及ぶ大量の浸水災害ごみが排出された訳だが、これには多くの問題と課題を残すこととなった。現場と事務所との間では、情報の交錯する場面がみられ、無駄足を踏むと言ったり、また逆に車が集まり過ぎて身動きが取れない場面もみられた。浸水被害地では、道路に問題が発生する場面が多く、車が集まり過ぎるのも問題であった。今回の浸水災害地では、町内会の特色が出てしまい、町内会と作業員の情報で作業を進めて行った為、回収作業に偏りがでてしまった。
 浸水災害は、地域性が大きく出る為、無関心の人が目に付いた。東日本大震災に措いてもそうであったが多くのボランティアが来てくれたにも、関わらず受ける側と提供する側の準備が出来ておらず特に受ける側、に問題があった。こういった事から災害は、いつ起きるかわからないので、受ける側の体制というものは、常に用意して置くもので、現業職がどう動けるか、動かしたらいいのかの準備はしておかないといけない。
 岡崎市では、とにかく被災地に早く入り情報の収集に努める事にしている。そして2008年8月の様な通常業務との兼ね合いをせず、朝一番から1班~4班程を現地に向かわせる様にしている。ただ可燃ごみに対しては、採り置きはせず、不燃ごみや資源ごみについては、行政から広報活動をしていただいて、日を改めて回収すること。そして場合によっては、通常業務との兼ね合いの中、行政の方の力も借りてオール岡崎で対応して行く事になっている。


 
浸水被害に遭われた地区に入って泥の回収をする現業職員(ヘルメットの高さまで水が入った。)   ボランティアの人たちと一緒に浸水ごみを運ぶ地区の人たち